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17.graveyard
結局ヘヴンズフィールドへ舞い戻った。
クリシアの道案内で山手の小高い丘を目指した。
生い茂る緑の山道を抜けると光が射し込んだ。
そこは海の見える小さな広場。
その慎ましく緑豊かな光景にライセンスは思わず声を発した。
「……ここは楽園か?」
「いや、墓地さ。ジャックのな」
車から降りる三人。
芝に覆われた敷地のほぼ中央、平らな二つの墓石が顔を出している。
一つはジャックのもので、もう一つはジャックの両親のもの。
〝 ジャック・パインド ここに眠る 〟
ブリウスとクリシアは膝をつき、手を合わせ祈った。
ライセンスはじっと見届けた。
潮風が濡れる頬を宥める。
波が静かに泣いている。
ブリウスは煙草に火を着けた。
ジャックのための一本を。
「……やあ、ジャック。どうしてる?」
白い墓石の向こう、耳を澄ませばあの熱い息吹が聞こえる……。




