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OUT OF HERE  作者: ホーリン・ホーク
15/25

15.suitcase

「三人とも始末しろ!」

 そう言ってウォルチタウアーは受話器を置いた。


 しばらくしてその部屋に一人の男が入ってきた。

 男の名はトミー・フェラーリ。

 かつて栄えたスプンフル・ファミリーの残党で、その破壊的で狂気じみた行動から『暴走機関車』『壊れたフェラーリ』などと呼ばれていた。


 無作法に入って来たトミーを見るなりアーロン・ウォルチタウアーは怪訝な顔をした。

「あ。すまん、ノックでもすりゃよかったか?」

「……トミー。金は確かにその中か?」

 トミーの手には黒い革張りのスーツケース。


「おお、そうだ。見ろ、〝NPC〟のロゴ入ってる。開けてみてくれ」

 NPCとはある闇組織の略称。

 そして見つめ合う二人。


「鍵掛かってんだよ。ほら、開けてみてくれ」

「……ちょっと待てトミー……ということは中を確かめてないのか?」

「当たり前だ。お前が持ってんだろ鍵」

「知らんぞ」

「え?」

「お前は(金を手に入れた)と電話でっ!」

 ウォルチタウアーの目がつり上がった。

「お、おい落ち着け、アーロン、入ってるよ! 持った重さでわかるって、間違いねえ!」



 二人は地下工作室へ入った。

 鍵穴をいじっても駄目、トミー・フェラーリは次に無理矢理バールでこじ開けようとした。

 しかめっ面で黙っているウォルチタウアーにトミーは言った。


「そんな顔すんなよ。こうやって俺は一生懸命やってんのに」

「……あいつらを始末するように手配したんだ」

「ブリウスって野郎は何も知らねえさ」

 トミーはスーツケースをたんたん叩いて言う。

「九年……。俺は地下組織ソサエティのリーダー、ダグラス・ステイヤーを追い続けた。国中を駆けずり回った。奴の根城を探し当て、こうして! ……ついに手に入れたんだ」

「ああ。お前のことは一応信用してたさ」

 ウォルチタウアーはうんうん頷いた。


「ダグラスもジャックも諦めたんだろうよ。全然開かねえ。ビクともしねえ。まるで金庫だ」

 傷もつかない凹みもしない。

 ヤケになったトミーはバールを放り投げ、言った。


「ええい! バーナーで焼っ切るか!」

「待てトミー。やはり目には目をだ」

 そう言ってウォルチタウアーはトミーを制し、N()P()C()()()()()()()を握った。



挿絵(By みてみん)

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