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14.wanted
もうじき夜が明ける。
薄暗い部屋にはテレビの画面が輝いている。
煌々と照らされるブリウスはあれこれチャンネルを変え、ニュースを探していた。
――俺たちことは出ていない。あれから丸二日過ぎたというのに。何かおかしい……
と、ブリウスはフゥッと息を吐き、また煙草に火を着けた。
「……おはよう」
ベッドの上、眠っていたクリシアがブリウスの膝に擦り寄る。
「あ、ごめん……起こしたかい?」
「もう行くの?」
「いや、まだだ。寝てろよ疲れたろ」
「うん……。ねぇ喉乾いた」
ブリウスは立ち上がり、冷蔵庫からミネラルウォーターを持ってくる。
「おいしい……」
「クリシア……あのさぁ、ジャックのことだけど」
「え?」
「ジャック。……金のことで何か言ってなかったか?」
「何? お金?」
「九年前の話だけど」
「九年前? 知らないわ。お兄ちゃん私を避けてたから」
「……それはちょっと違うよ、わかってるだろ? ジャックは指名手配で……そうせざるを得なかったんだ」
クリシアは顔を伏せ、口を閉ざした。
その背中を抱きしめるとブリウスはまたつらくなった……。




