11.desire path
ブリウスとライセンスは獣道を歩いていた。
「クリシアはしっかり者なんだ。俺たちはいつか結婚する」
「いつまでも待たせるんじゃないぞ」
ブリウスは短く立ったブロンドの髪を搔き上げた。
「……ブリウスよ。その店で待ち合わせて、その後は?」
「すぐ町を出るさ」
「俺も連れてってくれるよな?」
「ああ。北上して国境を越えよう。ノースフォレストまで」
そう言ってブリウスはいきなり立ち止まった。
「何だ?」
「……いや、俺の車は狭いからな。あんたデカイから」
「心配いらん。ずっと狭いところにいた。慣れてるよ」
「そうだな……ハハッ」
再び歩き出す二人。辺りは暗い。
虫や蛙の鳴き声が寂しく響いている。
空は不気味に黒雲がトグロを巻いている。
「ウォルチタウアーにやられた傷、痛むか?」
右肩をさするブリウスにライセンスは訊いた。
「ああ。だいぶ引いたがな……チッ! あの野郎! 今度会ったらタダじゃおかねえ!」
木の枝をポキリと折り、その後ブリウスは呟くように言った。
「……今頃……報道されてんのかな」
「何がだ?」
「俺たちのことさ。トップニュースで」
「そうだな……確かに」
やがて二人は国道へ出た。
用心深く物陰に隠れ、五番通りへ向かった。