表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
OUT OF HERE  作者: ホーリン・ホーク
10/25

10.chrisia

 クリシアはもう我慢の限界だった。

 ブリウスは危険だから会いに来るなと言った。


「ジャックはある組織の残党に追われていた。今度やってきたウォルチタウアーもその一味だった。そのうち気付かれる。いや、もしかしたら俺を狙って……。だから今後、面会は無しだ。手紙だけにしよう……」


 それから半年、慣れたつもりでも会えない寂しさはどんなものでも他の誰でも埋められない。



 クリシアはブリウスを愛している。

 二人の絆は強く、永遠だ。

 いつもそばにいる、たとえ何があっても待っていると誓い合った。

 ブリウスが捕まったことで兄のジャックを恨んだりしたが、虚しくなるばかりだった。

 ジャックはもう本当にこの世にはいないのだ。



 ジャックは優しかった。

 兄として、時には父親として彼女を守り、育ててくれた。

 そこには温かい眼差しがあった。慈しみと悲しみがあった。

 クリシアにとってジャックはかけがえのない、今でも限りなく大きな存在。

 楽しかった思い出だけを頼りに、彼女は今日を生きている。



挿絵(By みてみん)


 

 クリシアは明日、ブリウスに会いに行くつもりだ。

 黒髪を梳かしベッドに横になり、クッキングブックを広げる。

 ――差し入れに何持っていこうか。

 と、ふと気がつくと電話が鳴っていた。


《元気かい? クリシア。旅に出るぞ》

 受話器の向こう、それはハスキーなブリウスの声だった。


「ブリウス!」

《嬉しいよクリシア。今、外からかけてんだ》

「え?! ……どうして?」

《話は後にしよう。時間がない。必要なものをバックに詰め込んで〝pony-boys(ポニー・ボーイズ)〟で待っててくれ》

「ちょ、ちょっと待って!」

《長話はできない。急いで町を出たいんだ。頼む。……夜は冷えるから重ね着した方がいい。気をつけてな》

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ