真・三國無双3エンパイアーズ 〜脾肉の嘆〜
ファンの間では光栄は非常に魅力的でフランクなゲームメーカーだったのです。しかし作るゲームはいたって硬派。まあ、十八禁ゲームを出した前科もありますが、ファンの間では黒歴史でしょう。PSでリリースされた三國無双もまた、当時の悪い意味での「真面目な光栄」を象徴するようなゲームでした。挑戦はしてるんだけど、今ひとつ弾けきれてない、そんなゲームだったのです。あの歴史パラダイスのパワーを知るファンにとっては、大変もどかしかったのでは、と、推察されます。
それもそのはずで、家庭用ゲームハードの主流がスーファミからPSに移行していた時代は制作費の高騰がすでに背景としてあり、冗談でゲームが作れる時代ではもうありませんでした。そのため、光栄とはいえ、あまり挑戦的な試みはできなかったのでしょう。評価は決して低くはないけど、突出した面白さはない、と。しかし、当時の筆者は知りませんでしたが、光栄にしてみればそれでもよかったのかも知れません。
なにしろ光栄の主戦場はパソコンで、歴史SLGは世界的なシェアを誇るドル箱だったからです。それがあるからこそ国内家庭用ゲーム機で新規参入もできるし、新作もリリースできます。翻ってブランドイメージを落とすようなゲームは作りたくはなかったのでしょう。しかしファンとしてはどうにも消化不良です。他にもエニグマとか秘宝の館といった新ジャンルも開拓はしていますが、どちらも怪作扱いです。
中には西遊記や太閤立志伝と、隠れた名作も放ってはいますが、世に埋もれた感は拭えません。大航海時代シリーズも安定のヒット作ではありますが、これもパソコンからの移植です。やはりPS時代は光栄ファンにとっては冬の時代だったのです。
そんな冬の時代の間にも、少しずつですがPS2での大ブレイクの萌芽がありました。
それこそが後に真・三國無双を世に出すコーエーの社内チーム、オメガフォースが手がけた箱庭アクションゲーム、「デストレーガ」だったのです。