装甲騎兵ボトムズ 青の騎士ベルゼルガ物語 〜シャドウフレア〜
まさに怒涛の展開。小説、青の騎士ベルゼルガの主人公、ケイン・マクドガル駆るゼルベリオスとのドリームマッチです。(今度読まなきゃ)
ちなみに先刻の選択肢でクリス・カーツの誘いを断ると、「ならば、死ね!」と問答無用でクリス・カーツ操る最強AT、シャドウフレアとのバトルになだれ込みます。
さすがにラストバトルだけあってどちらも強敵。こっちも最強装備とリトライを駆使して対抗。敵の攻撃に当たらず、こちらの攻撃を当てる、の基本を愚直に守ります。
苦戦の末、どうにか撃破。いよいよ感動のエンディングですが、なぜか街の無法者の解説ばかりの謎エンド。まあ、取ってつけたようなハッピーエンドよりはるかに納得できますが。
……と、概要の説明だけでかなりの紙幅を割いてしまいましたが、ツッコミどころ満載なのはご理解いただけたと思います。ただ、筆者はバカにしたい意図は爪の先ほどもないんです。むしろ評価してるんです。そうでなければここまで長々と書いたりしません。つまり、このストーリーはツッコむのが正解なんです。(原作レイプかもしれんけど)
装甲騎兵ボトムズはハードなストーリー、世界観で有名な作品というのは見たことない筆者も知ってるくらいだから相当なものなのでしょう。それをゲーム化するのだから脚本家の苦悩は察するに余りあります。原作のアニメにしても、「あのストーリーが当時の小学生に理解できるわけもなく、放送時は物議を醸した」なんて解説されるくらいなんだから、版元のタカラにしてもゲームで同じ轍は踏みたくないと思ったに違いないのです。
しかし、あまりソフトにすると世界観が壊れてしまう。旧来のファンが納得しない。でも、小、中学生がターゲットのゲームではあまり露骨な描写もできない。
そこで、制作が死中に活を求めたのがツッコミどころ満載の無法者ストーリーなのです。
言ってしまえば漫画、「北斗の拳」の裏ギャグです。核戦争が起きて「いい時代になったものだ」などと吐かすイカれた聖拳伝承者とか、「はい! はい! はい!」と、凶器を投げ合って自滅するジャグリング兄弟とか(なんで考えうる限り、一番自滅しそうな凶器の使い方をするのか)、等々、思わずツッコまずにはいられない、あの妙な世界観。
バイオレンスを少年漫画でやっちゃう斜め上の手法。あれを本作で採用したのです。そして成功しています。
アクションパートだけ見れば、本作ははっきり言っていまいちなデキです。後年、ショップのデモ機でバーチャロンをプレイしましたが、正直、本作と比べるのは気の毒なほどの操作感でした。やり込んだわけでもないので筆者に比較はできませんが、ロボットを動かしてる感で言えばバーチャロンの方が上でしょう。でも、ゲーム的には本作は決して負けてないと思います。だって、筆者は未だにこのゲームを覚えてますもん。断片的な部分は忘れてますが、ウン十年も経ってまだ記憶に残ってるって、凄いことです。筆者は本作に教えられました。ツッコミどころ満載でも、予算もデキもいまいちでも、ユーザーの心にわずかでも爪痕を残せば、それだけで名作たりえるのだ、と。
次回は、もうちょっとゲーム内容を掘り下げていきます。