野獣刑事 〜ストーリー攻略〜
本作は恐らく昭和の刑事ドラマをリスペクトしているのでしょう。元ネタは西部警察とか太陽にほえろあたりでしょうか。筆者はよく知らないのですが。あと、最近一部でメジャーになったカルトドラマ、警視Kのエッセンスも入っているかと思われます。製作陣がそこまでフォローしていたかは謎ですが。
ただ、それらのオマージュでありつつ、中身はバカゲー。昭和の刑事ドラマの売り、白昼の銃撃戦とか、派手な爆発とかいった、明らかに無理のある部分を確信犯的にクローズアップし、ネタとして昇華させているのです。このスタンスは賛否あるでしょうが、個人的にエールを送ります。
なにしろ初っ端の事件が「燃える、秋野山」で、ゲームショップ街、秋野山が爆破テロの標的になるという、明らかにコッチを笑わせてやろうという意気込みがビシバシ伝わってきます(燃えると萌えるをカケてるんでしょうね)。
テロリストが占拠するゲームショップに単身乗り込んだ宍戸が「ゲームみたいに、一階から攻略してやるか!」と、いきなりメタ発言です。これ、ゲームじゃん!
んでもってその主犯格が拳法使いのコードネーム、ブルーファイブというハチャメチャぶり。モーさんに「フォーはどうしたんだ?」とツッコまれる始末(脚本家がそれをやりたかっただけなんだろうな。多分)。そもそもゲームショップ街を爆破することになんのメリットがあるのか? 面白い以外、考えつきません。そのゲームショップ街も人気ゲームの発売日前日で、徹夜組が行列作ってるさ中爆破されるという、なんかもう、制作サイドこそがそれをやりたかったんじゃ? と、勘繰ってしまいます。
そのブルーファイブにしても真・三國無双でおなじみの、諏訪原寛之氏描くめちゃくちゃリアルなビジュアルで、なんか笑えるという(しかも全然ブルース・リーに似てない!)。諏訪原さん、もちょっと仕事選ぼうよ……などと不遜な考えが頭をよぎります。
その後もハチャメチャな展開が続きます。捜査の一環で管内の暴力団に単身ガサ入れすれば組長は外人でオネエの婿養子だったり、主人公、宍戸がデパートを占拠したテロ組織の不意を突くためにヘリから飛び降りたり。そんなバカな展開がこれでもかと胸焼け起こすほど続くのです。
……しかし、しかしながら、残念なことに本作のストーリーははっきり言って破綻しています。
いや、ストーリーに無理があると言いたいわけではないのです。バカゲーにストーリー性を求めるのは間違いでしょう。ここで言う破綻とは、バカがバカでなくなっている、という意味なのです。
この部分については誤解を招かないよう、次項できちんと説明しておきたいと思います。