野獣刑事 〜攻略開始〜
攻略とはいいつつ、いわゆるゲームの攻略法ではありません。ゲームの基本的な進め方の解説およびツッコミと理解していただければ幸いです。
前述したようにプレイヤーキャラも飛び道具は使えます。設定上、ゴム弾となっているので殺傷能力はありません。パンチ、パンチ、ピストルといったコンボもありますが、タイミングが厳しめで威力も高くないので見せ技の部類になります。弾数制限もあり、単発では発射までのインターバルがあるので敵との間合いがないと発動前に潰され無駄なダメージを食う、というリスクばかりが目立ちます。それでも命中した時はめちゃくちゃ気持ちいい、という動機からつい、使いたくなるのが人情ってモンです。
それはロケットランチャーや火炎瓶にしても同様で、ピストルより使い勝手が悪いです。ロケット砲を食らっても即死しないってどうよ? とも思いますが、それができるようになるとただの残虐ゲームになってしまうので小学生もターゲット層のDSでは無理だったのでしょうね。ここはぜひ残虐描写マックスのR指定版、「野獣刑事リヴェンジ〜大人の事情解禁〜」とかいう十年越しの続編を出してほしいものです。Tamソフトウェア様、待ってます。
そういえばこのTamソフトウェアって、あの出世魚作品、「THA 地球防衛軍」も手掛けていたような気がします。記憶違いかも知れませんが。
それはさておき、飛び道具は基本、使い物になりません。中には装甲車やフォークリフトと戦うステージがあって、ここでは飛び道具主体の戦術が求められますが、サービスステージの色合いが濃く、やはり基本は肉弾戦です。
多数の敵と戦うステージがほとんどなので、敵に囲まれると途端に苦しくなります。そこでダッシュ攻撃や掴み技で敵をまとめてふっ飛ばし、一人に集中攻撃を仕掛けて確実に一人ずつ倒す、というやり方が基本でしょう。ダッシュ攻撃はまとめて敵を飛ばせる利点がある割にはダメージが小さく、掴み技も発動中は無敵でダメージも大きいのですが、掴み判定の狭さとボタン同時押しを求められるのが難点です。効率のいい戦い方を求めるなら、敵との間合いを上手くとってパンチコンボ二発止め。これを繰り返せばいいだけです。これでほぼすべてのステージを攻略できるでしょう。
しかしこれではただの作業ゲーです。でも、筆者のようなアクション苦手なプレイヤーには救済措置にもなっています。カッコよく、華麗に決めたい向きにはキックコンボや飛び道具も織り交ぜてフィニッシュ、というやり方も可能なのです。でもそれをやろうとすると難易度が上がります。このバランスが非常に絶妙で、攻略は作業で行い、楽しみたければフリーステージで思うままカッコいい戦い方を追求できるという自由度があります。この自由度の高さはアクションゲームでは貴重でしょう。間口を広くして、アクションヘタなユーザーをもフォローしているのです。このあたりの心配りは大ヒット作、真・三國無双に通じるものがあります。
とはいえ、手放しで高評価できるほどでもありません。ライン移動は少し煩雑で、別に一ラインでもよかったんじゃ……と、思わなくもありません。敵に囲まれるとハメられたり、飛び道具が見え辛かったり、等のアラも見えたり見えなかったり。それでも、本作はアクションゲームとしては楽しめる作品ですし、アクション苦手なユーザーにも親切に作られている点を考えれば、かなりの良作と言えます。
大体このテのバカゲーはゲーム性はついでのような感覚で制作されてクソゲーになる、というのがほぼ定説です。しかし本作はアクション部分も丁寧に作られている点が数多のバカアクションゲームとは一線を画しています。これはなかなかできることではありません。バカゲーでありながら非常に真面目に作られているところに好感が持てます。決していい加減に作られた作品ではないのがひしひしと伝わります。なにより、筆者のようなアクションは好きだけどヘタ、というヌルユーザーでも最後まで攻略でき、隠しステージまで出せた2Dアクションなんて後にも先にも本作くらいです。こんな心配りができるメーカーが存在していたというのは筆者にとっては奇跡的なことです。前述したアラなどは瑣末な問題と言えるでしょう。
と、本作のシステム面については概ね高評価なのですが、それだけでは本作の魅力は語れません。本作、野獣刑事はなんといってもそのバカなストーリー、世界観、キャラクター等々こそ重視すべき点でしょう。次回はソフト面についてその魅力を探りましょう。