真・三國無双3エンパイアーズ 〜落鳳坡の衝撃〜
味方は味方だからといって、常に協力してくれるとは限りません。プレイヤーが前線で頑張ってるのに、戦局に全く関係ない自陣の奥でじっとしてる奴がいたりします。これはどうもAIが戦局を見て、パワーバランスを保つための措置としてやってるっぽいのですが、そんなことは気になりません。戦場で真面目に働かない奴なんて、いない方がおかしいのです。
戦後の論功より生き残り最優先の奴とか、洞ヶ峠を決め込む奴とか、ひどいのになると寝首を掻くべく機会を窺ってる奴とか、数え上げれば枚挙に暇がありません。まあ、本作で味方が寝返ることはないので心配は無用ですが、そういう人間臭さが味方武将からも感じられるのです。
まだあります。重要拠点を落とすべく敵と激戦やらかしてるのに、味方の後詰は全くなし。やっとの思いで拠点を落とした頃にノコノコ現れて、「やったな! いい連携だった」なんて言う奴がいたりします。オイッ! と、言いたくもなりますが、それも楽しい。戦場ではよくあることです(合戦に参加したことなんてもちろんありませんが)。歴史上の猛将だって、手柄泥棒の一度や二度、やってないとは限りません。
そうかと思えば、「儂が攻める。お主はここを守るのじゃ」なんて言って勇躍攻めこんだ奴があっさり負けて退場したり。妙に人間臭いんです。これってネットゲームの楽しみ方に通じるものがあるんじゃないでしょうか。筆者はネトゲ未プレイなのでよく分からないのですが。
人間臭さは他にもあります。本作は拠点の勢力下で倒した武将は捕らえて捕虜にできます。捕虜にした武将は当然ながらもう復活はできないので、積極的に狙っていきたいところです。しかし、敵もさるもの。なかなか危険地帯に踏み込もうとはしません。そこでプレイヤーが計略を用います。弓矢で敵武将を挑発し、こちらに向かってきたらスタコラ逃げ、捕縛可能なエリアまで誘い込んで捕える、といった寸法です。これがもう楽しい。暗殺ができなくても気になりません。ルールの不備ではありませんが、ルール内でズルした気分になれるのです。
この技を駆使すれば敵武将の大半を捕虜にできます。捕らえた敵は戦後、条件が揃えば配下にもできて一石二鳥です。
さらに、高等テクとして、プレイヤーがわざと大きく迂回するように進軍し、中央に敵将が集中したところで敵の急所の拠点を落とせば、オセロゲームのように戦局をひっくり返せるのです。かなりリスクは高いですが、決まった時は爽快です。敵はすぐに反転して安全地帯に逃げ込もうとするのですが、あらかじめ逃げ道に伏せ、敵が逃げてきたところを悠々捕える、なんてことも可能です。赤壁から落ち延びる曹操を待ち構えた張飛たちも、こんなゾクゾクするような興奮を味わっていたのでしょうか。いや、あのシーンは創作っぽいですが。
他にもあります。真面目に戦って兵力が減少した味方が拠点で休んでる場面に出くわしたので、しばらく眺めてるとどんどん兵士が補充されています。どうなるんだろうなと思って観察し続けてると、兵士が一杯になったところで「あの拠点を落とすぞ!」と、進軍を開始したではありませんか!
なんてリアルなんだ! ただAIがコントロールしているだけなのに、血の通った人間のようです。本作は一人プレイのゲームでありながら、まるでネトゲを遊んでるような気分にさせてくれるのです。