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RYTHEM  作者: 香坂皐月
8/23

poco a poco クリスマス

 Q,恋人達の三大イベントと言えば?

 A,誕生日にバレンタイン、そして…クリスマス。


「…」

 そんなキャッチフレーズを何回聞いただろう。実体験してみるとこんなに人がいるなんて。恋人だけじゃないけれど、それでも多い。


「あ、さいっ」

「三上君」

「遅れて、ごめんっなっ」

「それほど待っていないから平気だよ。それより息整えて、ね」

 待ち合わせ時間より遅いが急いで来てくれたことがわかる。ショーウィンドーの光が、息苦しそうな表情を照らし出してくれた。


「…悪い。もう大丈夫だから行こうか」

「うん」

 促されて賑わう大通りを歩き始めた。子供から大人、友達から家族、皆隣と視線を交わし笑いながら歩いている。


「やっぱり混んでいるな」

 大通りから少しそれた道に入っても混雑は続いている。

「テレビで取り上げられていたからかな」

 この道を少し歩いた所に、飾り付けられたもみの木街道がある。


「それだけじゃないと思うけど、テレビに踊らされたみたいで悔しいな」

 そう言ってちょっと顔をしかめた動作が幼く見えて、小さな笑みが顔に浮かぶ。


 見に来たのはもみの木街道。光も押さえめ、飾り付けも派手じゃないから穴場だと誰かが言っていて。けれど今年は地元テレビに取り上げられたからか、とても混んでいる。


「…あれ」

 気付くと隣にいた姿が見えなくて、一気に混乱する。

「どうしっ」

「浅井っ。良かった、見失ったかと思った」

 声と同時に強めに引っ張られた腕。驚きより安堵が(まさ)った。

 焦っていた表情が安堵、そして心配そうな様子に変わっていく。

「…どうかした?」

「見つけてくれて、ありがとう」


 探してくれて、ありがとう。心が暖かくなっていく、嬉しくなって見上げて微笑む。掴まれた腕に力が込められた。


「…三上君?」

「…敵わないなぁ、亮子には」

 名前を呼ばれる。腕から離された手が自分の手を握る。顔を見合せ、視線が交わされる。


「行こうか」

「…うん、(しょう)君」

 初めて名前を呼びあって、手をつなぎあわせて。また視線が交じり、どちらともなく笑いあう。


 1人で見る景色は好きだと感じる。2人で見た景色は…幸せを、感じた。

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