表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RYTHEM  作者: 香坂皐月
5/23

poco a poco ハロウィン

「ねぇねぇ、今日何の日か知ってる?」


 どのクラスにも1人はいるお祭り好きな人間。


「へ?」

「知らないのかね?亮子君」


 あたしのクラスでは女の子で。


「では今日は何月何日か答えよ!」


 ビシッと指先を向けてきた彼女は友達で。


「えっと、10月31日」

「そうっハロウィンなのですよ!っということで…Trick or treat!」


 差し出された掌に反応して。


「え、うそっ。言ってみるものだね、愛してるよ亮子ちゃん!じゃねっ」


 1つだけ残っていたノンシュガーの飴。嬉しそうに握り締め、声をかけてきた時と同じ勢いで去って行く。反応に戸惑う言葉を残して。


「…照れるなぁ」

 急に熱くなった頬を冷やすように手をあて、思い切って冷たい風に触れたくなって廊下に出て窓を開け放った。


「あれ、浅井。寒くなってきたから教室で待っててって言わなかったっけ、俺」

 気付くと辺りはずっと暗くなっていて、いつものように景色を見ていたみたいで。


「三上君」

「風邪ひくかもしれないよ」

 苦笑して開けっ放しの窓を閉めてくれた。視線が交じる、表情が曇った。


「ちょっと顔赤くないか?風邪ひいたんじゃ」

「大丈夫。冷たい空気に触れていたからだと思う」

 笑いながら言うと、安心したように表情が緩んだ。曇った顔より、こっちの方が絶対良い。


「そっか。でも気を付けろよ、今年は風邪が流行るっていうから」

 親のようで、思わず吹きだしてしまう。


「え、浅井?」

「な、何でもない…そう言えば三上君は今日何の日か知ってる?」

「今日?…ああ、ハロウィン?」

 誤魔化すための話題があっさり返されて悔しい。鞄を持ってきて隣に立つと、彼女に言われた言葉を繰り返してみた。


「そうだよ、だから…Trick or treat?」

 一瞬疑問の表情の後、考えるように鞄やポケットを探す彼。


「…ごめん、何もない」

 いきなりでも反応してくれる、それが何だかくすぐったい。


「でも、悪戯は?」

 不思議そうに聞いてきた回答は…悪戯で誤魔化さないと、まだ言えない言葉。


「好きなの」

「!?」

「この帰り道が」

 落胆させてごめんなさい。素直な気持ちと熱くなっている顔、見せる勇気がまだなくて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ