allegro お正月 後輩side
前話と同じです、考えつつ上げました。御守り投げつけた罰当たりなことをさせたのは覚えてます。そしてそんな事をさせてしまったとして作者も奈央子ちゃんも奮発した御賽銭をしてお許しを願ったような。
もう、幾つ寝ても今日は元旦です…。寝ても覚めても元旦です…。
大体ですね、受験生は今最後の追い込みでクリスマスもお正月もなくひたすら机とお友達な筈ではないでしょうか。
それなのに、あぁ、もう待っていらっしゃる…。
「…先輩、ここで問題集開くならご自宅でやりませんか」
「…奈央子ちゃん、最初にいう言葉があるんじゃねぇの」
「冷たっ。遅れまして申し訳ございませんっ。明けましておめでとうございますっ」
「賀正。今年も宜しく、は?」
「いやぁ、私の心がノーと言いまして」
「相変わらず素直だな。ちょっとは隠せ。俺から宜しくしてやるよ」
「冷たっ、痛、痛いですよ先輩っ。赤くなった、元旦から赤くなりましたっ」
偶々手袋していない手を、本を持っていたせいで冷たくなった手に握られる。そのまま引っ張られて歩き始められて。
「え、ちょ、先輩うわっ」
「一年の計は元旦にあり。勢いが大事だぞ」
人混みに突っ込むって!勢いありすぎですよっ。
人混みの中、先輩が道を開いていく、いつものように。引っ張られてついていく、いつものように。いつの間にか一歩後ろから斜め後ろに、そして横に、押されて並ぶ。
気持ちも悔しいが押されて、引っ張られて動かされついていくようになって、まだ正直に認められないけれど。
「さて願っておいたし、何か軽く食べるか」
「先輩」
「ん?」
「ふんっ」
「痛っ。ってお前これ」
「ちぇっ、落とさなかったから受かりますね」
超近距離弾道の勢いで投げたのに落とすことなく手にして、私の遅れた理由が分かったのか目を見張った。
「…愛されてんなぁ、俺」
「はいっ!?合格祈願の御守りに一言も書かれてないですけれどっ」
「じゃあおみくじ引こうぜ」
「どこにもつながってない脈絡ない言葉が何で出てくるんですかっ。わざとですよねっ」
応援している気持ちは渡せるから、他の気持ちも渡せるまで、待って下さいね、今年一年。あ、長すぎ?




