allegro クリスマス
今年の、カレンダーは、私に、喧嘩を、売って、いるんでしょうか。
「何でイブが日曜なのでしょう…」
「そりゃあ、俺と奈央のため?」
ハロウィンの時しおらしく見えたのは、目の錯覚か気のせいだった模様。
「せ、先輩は灰色の受験生というものでは?」
「一般的にはな。それが?」
「いえ、その…」
それなのに、喫茶店でのんびりお茶していて良いものなのか。
「奈央はどうするんだ?」
「へ、何がですか」
「文系理系、進学就職」
「そんな事」
「まだ早い、関係ないって言ってみろ、寒い中外を連れまわすぞ」
「文系ですっ、はいっ。進学希望です」
「…ふうん」
聞いてきた割には興味無さげに珈琲飲んでいらっしゃる。
「俺、N大だからあまり会えなくなるけど」
試験まだなのに決定のように言えるのが腹正しい!しかも国立かよ!流石腐っても鯛、性格悪くても先輩!でも…。
「何で県外なんですか?近場で国立あるのに」
偏差値も変わらなかった気がする。
「なんだ、やっぱり寂しいのか」
「諸手を挙げて送り出してさしあげます」
「反応良くなったな」
「先輩に連れ回された月日の積み重ねです」
頬杖つきながらにやにや笑っているのを見ると、負けたようで悔しい。窓へ視線を向けた。
「そうだな、県内にしようと思わなかったのは近くにいると奈央に毎日会いに行くだろうしな。からかいに」
「うげっ」
「…女らしくないな、本当に」
ほっといてほしい。奇声を発した位で差別だ。
「…と言うのは冗談で」
冗談に聞こえませんっ。
「やりたい事がN大にあったし、言葉もらわないままお前を付き合わせてきたからな。このままだと俺の我が儘で奈央子を駄目にするかと思って」
そう言いながら苦笑した顔は、困って弱って見えて。初めて先輩が人らしく感じられた。
「…本当に嫌いだったらもっと抵抗していますし…この場にいませんよ」
言いながら鞄をあさり、手にした包みを先輩に向かってポンッと投げた。…お決まりの、あれですよ。
驚きながらお上手に受け止めた先輩は、にやっと笑って?いつの間にか私の耳元に顔を寄せて。
「だから奈央子は面白い。礼はプレゼントとN大に入れるよう家庭教師してやるよ毎日」
反射的に逃げようと動いた私の体も、しっかり押さえ込まれて…というか。
「さっきの言葉と違いますからっ。丸め込まれたクリスマス何て嫌ですからっ」




