最後の国に来ました
20万pv達成!
感謝感謝です!
今日は魔の国シェイダルです
前に来た時はすぐにシェイダルに向かったので観光としては初めてです
…そして、ここが最後の国です
グンバーオやリューンはまた行きたいけど、帰れると分かったら早く帰りたい欲が出てきちゃった
だからこの国が最後、明日僕は地球に帰る
今日はみんなで過ごす最後の日
今日だけはみんなを外に出して思い出づくり
『『お兄ちゃん!あのお肉食べたい!』』
「ご主人様…。あの、あの大道芸が見たい…です」
『なぁなぁ!僕様はあれが食べたいぞ!』
『しぇらもしぇらもー!』
みんな落ち着け
「全部行くから、とりあえずあの串肉を買ったら大道芸を見に行こうか。その後であのお店に行こう」
『今日という時間はたっぷりあるのだ。皆の行きたいところに順序良く回るぞ』
おぉ、レイがリーダーっぽい…
みんなも頷いたし、とりあえず串肉を買おうか
ご飯を食べた後、みんなで海に来た
思い出作りと言えば海だよね!
シェイダルの海はオブライシアとはまた違った綺麗さがある気がします
みんなが遊んでいるところを眺めていたらダンが辺りをキョロキョロしながら近づいてきた
『タツト、ちょっといいか?』
「ダン?何、どうかした?」
『…この後俺とガウ、別行動してもいいか?』
ダンとガウが別行動?
俺としては最後の日だから一緒にいたかったけど、何やら真剣な顔
覚悟を決めた男の顔をしてらっしゃる
ここでダメとは俺には言えない
「いいよ。でも2人だけで何するの?」
『…タツトならいいか。誰にも言わないと約束できるか?』
「するよ。約束」
『……告白すんだよ。ガウに』
・・・
マジか!
「頑張ってね!応援してる!」
『…おう。もし振られたら胸貸してくれよ?』
「その時はいくらでも」
そう言うとダンはニッと笑いガウの下に向かった
2人が付き合うことになったら嬉しいな
『ダンとガウが別行動をするらしいがタツトは聞いているか?』
「うん、さっきダンから聞いたよ。俺が許可した」
『ならいいのだが、理由は何だったのだ?』
レイも気になるようだ
だが、ダンとの約束だ
「内緒!帰ってきたら本人に聞いてみたら?」
『ふむ、そうするか』
…何か思いついた顔をしている
しかも悪い顔
「尾行したら怒るよ?ラグとルエも後を追おうとしない」
『ばれた!?』
『おかしいっす!完璧に隠れてたっすのに!』
みんなの考えることなんてお見通しです
それに、今回ばかりは許しません!
「みんなは俺と一緒に遊ぶの!向こうに行ったら怒るからね!」
『『『…はい』』』
分かればよろしい!
…あ、そう言えばやり残したことが一つあった
「ご主人様、ここって…」
ポポロたちを買った場所とは違う奴隷商会に来ていた
やり残したこと、それは…
「「「売らないでご主人様!」」」
そう、ポポロたちを…売りませんよ!?
「売らないよ!何言ってんの!?」
「え、でも…ご主人様はもうすぐ元の世界にお戻りになられるんですよね?」
「だから俺たちはもうお役御免だろ?」
「…売られる」
あ、あぁ~、なるほど…
俺の所為?なのかな?
「説明してなかった俺の所為だね。ここに来たのはポポロたちを売るためじゃないよ。ポポロたちを開放するために来たんだ」
そう、やり残したこと
それはポポロたちの解放
御者として買ったけど最近馬車に乗ってないから忘れてたよね
奴隷解放の手続きはあっけなく終わった
もっと早くやってあげるべきだったな…
「…ご主人様、僕らはどうすれば?」
「それはポポロたちが決めることだよ。何かやりたいこととかないの?」
「やりたいこと…ですか?うーん…」
3人とも悩みだした
まぁ、いきなりやりたいことはないかと聞かれてもパッとは出ないよね
「…ご主人様に甘えたいです」
「ご主人様に抱き着きたい」
「…ご主人様に甘えられたい」
おっとぉ…斜め上の物が出て来た
甘えたいと抱き着きたはいいよ、いくらでもどうぞだ
ただし甘えられたい、貴様は
「…ダメ、ですか?」
ダメじゃないです!
クソぅ、かわいい!断れぬ!
「とは言ったものの、甘えるってどうしたらいいの?」
宿に帰ってきてベッドの上にテオと向かい合って正座する
ポポロとケオにはレイたちの部屋に行ってもらっているため今は2人だ
流石に甘えているところは恥ずかしくて見せられない
「…えと、ご主人様に撫でてほしい時のレイ様たちみたいな感じ?です」
なるほど、あれか…
テオのためだ
恥ずかしいけど我慢だ
「テオ…ぎゅーって、して?」
「…はい、ご主人様」
テオは俺の体に手を回し優しく包み込む
…あったかい
そういや、人肌に包まれたのは久しぶりかもしれない
「頭も撫でて?」
「…わかりました」
頭にテオの手が載せられゆっくりと動かされる
…なるほど、これは気持ちいい
レイたちがああなるのがわかる
「気持ちいいよ、テオ」
「…ありがとうございます。ご主人様の髪の毛さらさらで僕も気持ちいいです」
「あはは、ありがとう。…たまにはこういうのもいいね」
出来ればもっと早くに気が付きたかったな
そうすれば、もっとテオに甘えられた
テオだけじゃない、ポポロにケオ、レイやラグたちにも
こんな、帰る前日に気付きたくなかった
「…ご主人様?」
「ごめん、痛かった?」
少し力が籠ってしまった
身をよじったテオを慌てて離し痛みの有無を確かめる
「…大丈夫です、甘えてほしいと言ったのは僕なので。…ありがとうございました」
「こちらこそありがとう、テオ」
俺はお礼代わりにテオの頭を撫でた
少し震えてしまったが気づかれていないことを願う
次話、最終回




