魔神スクワールド(1)
「…さて、貴様らは何だ?」
魔王たちがタツトたちに連れ出されたあと、魔神スクワールドは残ったレイたちを軽く流し見しながら聞いた
『貴様を討つものだ』
「余を討つ?クハハ!これは面白い。蜥蜴風情が神である余を討つと申すか。ならば」
突如レイたちは心臓を握られるような圧迫感に襲われる
「これくらいは…む?」
『ほっほっほ、それは相殺させてもらおうかな』
しかしそれは一瞬でノーブルの手によって打ち消された
ノーブルもまたスクワールドと同等の威圧を放ち打ち消したのである
「蜥蜴の神がいたのか。まぁよい、いくら集まろうと余の前で『長過ぎて欠伸が出そうだ』≪闇球≫
レイはまだ喋っているスクワールド目掛けて≪闇球≫を飛ばす
しかし闇球はスクワールドが何もしていないにもかかわらずスクワールドに触れる直前で消えてしまった
「やはり蜥蜴だな。力の差を見せてやろう」≪破断≫
≪影法師≫≪三原山≫≪魔法陣展開:ウォールオブアス≫
ヴァス、ガン、ハイドが壁を三重に出現させる
直後壁が一瞬で二つ破壊された
最後の一枚も罅だらけで防御に使えるような状態ではなくなっていた
「ふむ、復活した手でまだ加減ができていないか。まあいい、次第に慣れるだろう」
『本来の力が戻っていない今のうちに勝負を決めるぞ!』
『了解デース!』≪悪魔召喚:フェニックス≫
カムの第三の目が光ると目の前に炎の体の大きな鳥が姿を現した
【我、ソロモン72柱、序列37番フェニックスなり。贄を差し出せ】
高いような低いような声でフェニックスが語り掛ける
カムは自身の鱗を7枚剥すとフェニックスの前に置いた
『これが贄デース。これでミーたち、主にサヴィのサポートをしてくだサーイ』
【よかろう。その願いを受領する】
フェニックスが一層体を燃やすとレイたちの体が淡く光りだす
そして体の奥底から力が湧き出してきた
【身体能力向上、及びHP、MPの上限を一時的に上昇、自然治癒能力付与、MP消費量減少、以上。上空で待機】
『感謝しマース!もう一人来るデース!』≪悪魔召喚:アモン≫
【我、ソロモン72柱、序列7番アモンなり。贄を】
現れたのは梟の頭をした狼だった
カムは尻尾を10センチほど切り取り血と共にアモンの前に置いた
フェニックスの力のおかげで傷はすぐに塞がったが尻尾は短くなってしまっていた
『これで魔神と戦うの手伝ってくだサーイ』
【引き受けた】
アモンは長刀を構えるキッシュの隣に並び立ちスクワールドに威嚇する
地面から炎の柱が立ちスクワールドを取り囲んだ
スクワールドは特に気にする様子もなくただレイたちを見ている
『行きます!』
【契約内容、魔神との戦闘の支援を開始】
キッシュとアモンがスクワールド目掛けて迫る
キッシュは首、アモンは腕に攻撃を試みた
しかしどちらも見えない壁に阻まれスクワールドに傷を負わせることはできなかった
「この程度か。ぬるいな」
『まだだ』≪闇槍≫
『ミーもいくデース!』≪魔法創造:雷砲≫
スクワールドを挟む形でレイとカムが魔法を放つ
しかしやはりスクワールドに触れる直前に止まり消えてしまう
『(今のは…確かノーブルの本にいいものが載っていたな。…やってみるか)カム、ヴァス、ガン殿!集まってくれ!ハイド、キッシュ、サヴィは少し時間を稼いでくれ!』
レイに呼ばれた三人はすぐに集まった
『攻撃が通りまセーン!』
『見えない壁に阻まれておりますな。あれをどうにかせねば倒せぬのぅ』
『集めたのはその事についてであろう?どんな方法だ?』
『うむ、ノーブルに借りた本の中にこんなものがあってな。…どうだ?作れないか?』
『土台はできますじゃ』
『ミーもできマース!』
『我はこれに影をつければよいのだな?それくらいならば朝飯前だな』
『では早速頼む』
『我が封印されし右手の力を食らうがいい!』≪黒礁≫
『凍えろ!』≪吹雪≫
【契約内容、魔神との戦闘の支援を開始】≪エクスプロージョン≫
『私ぃ~回復要員なんだけどなぁ~』≪聖域≫
【契約内容、サヴィのサポートを再開】≪サンクチュアリ≫
黒い珊瑚礁がスクワールドの足を掴み猛吹雪と爆発が襲う
足元には優しげな光が溢れスクワールドの動きを阻害している
しかしそれも一瞬ですぐに霧散してしまう
それでもハイドたちは何度も魔法を発動する
レイたちの作戦が完了するまで
『待たせた!みな、離れろ!』
『発射じゃ!』
レイの声にハイドたちは咄嗟に横に飛びのく
直後風切り音とともに魔神の腹に黒い槍が突き刺さった
まさか自分に攻撃が入ると思っていなかったスクワールドは少し驚いた表情になった
『やったぞ!成功だ!』
『おまけだ、こいつも喰らうがいい』
ヴァスが指を鳴らすと槍から黒い影が針山のように伸び体中を貫く
すぐに槍も影も消えるが腹に開いた穴が攻撃が通ったという事実を物語っている
ただ一度攻撃が通っただけではあるがレイたちにとってはやっと見ることのできた希望の光だった
次回の投稿ちょっと遅れるかもしれません




