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強いのは僕ではなく僕の龍たちです  作者: 七面鳥の丸焼き
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魔王戦(4)

強欲の魔王戦


辺り一面の砂の世界

ここではどんな生き物も生きられない

そんな場所に影が3つ立っていた


「僕の相手は君たちですか。僕はゲルガ、こんな形ですが強欲の魔王をやらせてもらってます」


小さな人間の男の子がお辞儀をしながら挨拶をする


『おう!俺様はダン、こっちがガウだ。悪いがサクッと殺らせてもらうぜ!』

『たたた倒しちゃダダダだめですよ!』


シュッシュッとエアーボクシングをしているダンをガウがおろおろと止めている


『わぁってるよ、今のは言葉の綾だ。俺様たちの目的はあいつの足止めだ。お前もいつまでもおろおろしてないで援護頼んだぞ!』

『ふぇええええ!ままま待ってくださいいいいい!』

「あはははは!足止めですか!…できるといいですね?」≪強欲≫


ゲルガは手を自信に向かってくるダンに向けて伸ばす

ゲルガの手からオレンジの魔力がダンに向けて放たれる

しかし魔力はダンに巻き付くとパンッと軽い音を立てて弾けて消えてしまった


「あれ?おかしいな。もう一回!」≪強

『やらせるわけねぇだろ?』≪通背拳≫

「げはぁっ!な、なん、で…!?」


ダンからゲルガまで10メートルほどあいていた

ダンの腕の長さでは届かない

ゲルガはそう思っていた

しかしダンの攻撃はゲルガの鳩尾に吸い込まれていた

ゲルガは地に膝を着きながらもダンを睨みつけた


『なんでって言われてもそういう技だとしか言えねぇな。俺もノーブルの本を読んでこういう技があるっていうのを見ただけだし』

「…チッ、これだから天才ってやつは…」

『休んでるとこ悪いけど、まだまだ行くぜ?オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!』


怒涛の攻撃がゲルガを襲う

魔王と言ってもその体は人間の物

ましてや要である≪強欲≫ができていないゲルガに破断の攻撃を止めるすべがなかった

ダンの拳が止まるころにはゲルガは動く気力すら残っていなかった


『ありゃ、やりすぎちまったか?悪いガウ、お前の番無くなっちまった!』

『そそそそれはいいんですけど、いいい生きてますか?』

『俺が手加減できないとでも思ってんのか?安心しろ、息はしてる』


確かに息はしている

しかしそれも虫の息である

顔はゲルガと特定できないほど腫れているし全身痣だらけだ

ご丁寧に逃げられないように両手足の骨は砕かれている

どちらが魔王かわかったもんじゃない


(ややややりすぎですよぉぉぉ…。ここここれじゃダンの方が魔王ですよ…)

『かぁ~、動き足りねぇな!ガウ、悪いけど相手してくれや!』

『ええええぇえええ!?いいい嫌ですよ!』

『俺様の頼みが聞けないってのか!あ、コラ待て!』


その後、強欲の魔王と戦った時間よりも長く二人の鬼ごっこは続いたのだった





憂鬱の魔王戦


「待てー!」

『『待たなーい!』』


2匹のドラゴンを半透明の少女が追いかける

ボロボロの廊下、蜘蛛の巣のはった台所、今にも崩れ落ちそうな階段

館のいたるところを動き回る


「面白くない。別の遊びしよ!」

『『いいよー!何する―?』』

「うーん、かくれんぼ!」


そこからまた新たな遊びが始まった

これでかれこれ5回目

遊んでいてもたびたび「面白くない」や「飽きた」と言って別の遊びを提案する


「『『ジャーンケーンポンッ!』』」

「『ギナが鬼―!』」

『ちぇー、いーち、にー、さーん』


しかしギナとリゴは嫌がることなくその都度楽しそうに乗ってあげる


ここは暗闇の館と呼ばれアンデッドの巣窟となっていて誰も近づかない

幽霊である憂鬱の魔王ことシェーライムの庭と言ってもいい場所だった

ギナとリゴはあえてそこを選び一緒に楽しく遊ぶことにしたのだ


『きゅーう、じゅ―!もーいーかーい!』

「『もーいーよ―!』」


10秒数えた後ギナは館内に隠れたシェーライムとリゴを探しに向かった


『リゴ見っけ―!』

『くっそー!やっぱり見つかった―!』


ものの数秒でリゴは見つかった

さすが双子というべきかどこに隠れていてもすぐにお互いを見つけられる


『シェーラも見っけ!』

「見つかった―!うーん、かくれんぼ楽しいけど飽きちゃった。別の遊びしよー!」

『いいけど他にやってないのって何がある?』

『うーん、あ、外の木を使って〝ドミノ゛を作ろ!』

「どみの?」

『木の板を立てて並べていくの!最後に最初に立てたやつを倒す遊び!面白いみたいだよ!』

『どうせならあの[なんたらスイッチ]みたいなの作ろ!そしてタツトに見せるの!』

『『絶対に褒めてくれる!』

「あたしもする―!」


こうしてドミノスイッチを作ろう会が発足した

まずリゴが木を切りギナが小さく、そして立てやすいように切っていく

シェーラは館にあるボロボロになったカーテンやその他使えそうなものを集めた

そして3人で館玄関から始まり10分かけてゴールにたどり着くドミノ倒しを完成させた


「『『やった―!あっ!?』』」


完成して喜んだ拍子に始まりのドミノが倒れてしまった

3人は必至で止めようとするが間に合わずドミノはどんどん進んでいき結局ゴールまで行ってしまった


「『『・・・』』」

「『『すごーい!すごいすごーい!!』』」


せっかく作ったものが台無しになった喪失感よりも自分たちが作ったものがちゃんとゴールしたという達成感が勝った

3人はその後違うルート、違うギミックのドミノ倒しをたくさん作りその都度自分たちで倒して楽しんだ

タツトに見せて褒めてもらうという当初の計画はどこかに行ってしまっていた

結局バトルらしいバトルなしに魔王戦は終了!

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