魔王戦(1)
戦闘(?)シーンですよ!
メグさんがゆっくりとこちらに近づいてくる
俺はコノハをしっかりと構えてメグに対峙する
にしても何か魔法でも使っているのか背筋がゾワゾワする
メグ隙無さすぎ…
ただまっすぐゆっくりと歩いてるだけなのに攻撃したら確実にカウンターされるっていうのがわかる
強くなりすぎじゃない?
「…疲れた、めんどい…」
「…へ?」
あともう少しで近接戦というところでメグから戦意が消えた
「いくら強くなったって言っても私は怠惰の魔王。めんどくさいことはしたくない。たとえそれがスクワールド様のためだとしても、私はめんどくさいことはしない」
「えぇー…」
ど、どうしよう
こっちとしては何もせずに時間稼ぎができるからいいけどメグよ、それでいいのか!?
いや、さすが怠惰の魔王と思うところもあるんだけどもね?
さすがメグとも思いますけどね?
最終決戦がこれって…
「タツトは私と戦いたいの?」
「…戦わなくて済むなら戦わない」
「そう、ならいい。どうせ私はタツトと戦っても勝てないから、それならめんどくさい戦いはカットして最後にめんどくさくないように一撃で仕留めてくれたほうがいい」
…どこまで行っても怠惰な魔王なんだな
さすがメグだ
一方その頃
傲慢の魔王戦はというと
すでに勝負は決していた
開始数分ほどで傲慢の魔王が無残にもバラバラに切り刻まれるという結果で
時は少し前
ルゼとシュアは復活した傲慢の魔王を半ば無理やり人気のない島に連れてきた頃に戻す
「蜥蜴風情が何匹集まろうとこの私、傲慢の魔王カウウェル様を倒すことなんてできないのだよ!」
『倒す~?何言ってるの~?』
『僕様たちの目的は時間稼ぎだ。お前を倒すのは魔神を倒してからだぜ』
「お前たち下等な生物がスクワールド様に敵う筈がないだろう?馬鹿なのか?あぁ、馬鹿だったな。貴様らのような下等な生物に賢さを求めるのが間違いだった。主人が最下等な人間、それも私が掛けた呪いのせいでさらにゴミなのだ。そんな主人についた蜥蜴が賢いはずあるわけなかったな!」
ヒュン
そんな風切り音とともに傲慢の魔王の頬に鋭い刃物で切られた跡が一筋ついた
後ろを振り返ればかなり離れたところに生えている木の幹に深々と刺さっていた
いつ弓を引いたのか、カウウェルには認識できなかった
『あれれ~、おっかしいな~?首を狙ったはずなのにな~?』
『仕方ないな。僕様がやってやるよ』
ルゼはカムとニャル合作の収納袋から刀をずらっと出すと鞘ごと地面に突き刺した
『≪居合百刀、沈丁花≫』
チンッ
一瞬
ほんの一瞬だが時が止まる
その一瞬の後に、カウウェルの体はバラバラになり崩れる
「な、なんなのだ、これは!」
普通なら生きてはいられないような状態だがカウウェルは生きていた
バラバラにされた体からは血が一滴も出ていない
『≪居合百刀、沈丁花≫、この技は早く、相手の感覚器官が反応するより早く切ることで相手の脳に切られていないと錯覚させる技だ。本当は貴様をぶっ殺して地獄に突き落としてやりたいところだが、それだとタツトやレイたちに怒られるからな。貴様にはレイたちが魔神に勝つまでそのまま待っていてもらう』
『なは~、レイたちが魔神倒したら~、すぐに殺してあげるから安心してたらいいよ~』
カウウェルはようやく理解した
自分では目の前のドラゴンには勝てないと
そもそもカウウェルの知る龍皇の強さの基準はレイとラグだ
二人は確かに強いが刀術や弓術を持つルゼやシュアのほうが物理戦に関しては上なのだ
『…やっぱだめだ。足と腕は消し飛ばしとこうぜ』
『そだね~。それくらいじゃ死なないと思うよ~。今度はシュアも当てるよ~!』
そして何よりルゼとシュアは怒っていた
自分たちのことを下等生物と言われたからもあるが、カウウェルがタツトに呪いをかけた張本人、そしてタツトのことを見下したからである
『≪居合一刀、百日紅≫』
『≪狙い撃ち≫2連射~』
「ぐああああ!なぜだ、なぜ繋がっていないのに痛みを感じる!」
『『相手の感覚器官より早く切ることで脳に切られていないと錯覚させる』と僕様は言ったはずだぞ?そんなことも覚えていられないほど頭が悪いのか?』
信じられない神業である
ルゼは当たり前のように言ってはいるがこれはルゼがドラゴンで刀術の天才だからできることだ
人間や獣人の体ではどれだけレベルが上がろうと刀を一瞬で百本も居合なんてできない
そして何より、「感覚器官より早く切る」なんてのは何百何千年と居合をしてこないとできない技である
『さて、まだムカムカするがこれ以上やったら此奴を殺してしまうな。あとはレイたちが終わるのを待ってからにしよう』
『そだね~。いつになるかな~?』
『さぁな』
バトルシーンが来ると思った?
残念、バトルシーンなんてなかった!
キャラ的にもバトルやるぞ!ってキャラじゃないし…
次はちゃんとバトルする…はず!