連れて行かれました
「武器…だよね?」
『だと思う…』
『しかしこれは…』
『どう見ても名状しがたき物っすね…』
『『\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!』』
ノーブルの武器を遠巻きに囲みながら俺たちはこれをどうするか話し合っていた
その間もこの武器?はウゾウゾと動き時折ビチビチと跳ねていた
不気味を通り越してただただ気色悪い
「ノーブルはこれ使うの?」
『使えれば何でもいいとは思っていたが、これはさすがにごめんこうむりたいな』
『なんでや!こんなかわいいのに!』
か、かわいい…だと…!?
お前の美的センスはどうなっているんだ!?
見ろ!全員が目を丸くしてお前を見ているぞ!
普段驚いても笑い飛ばすラグといつも眠そうなサヴィでさえもだぞ!
『せっかく原初の輝石で作ったのに…』
「作り直しは?」
『時間があらへんわ。それにいくら作り直したかてどのみちこうなると思うで。もう性質として固定されてもうたからな』
なんやて○藤!?
じゃぁこれどうすんのさ!
『…儂が使う他あるまいて』
「…いいの?」
『そなたが使うか?』
全力で遠慮します
その意思を首を全力で振って答えた
『だろうな。儂も嫌だがせっかく作ってくれたのだ。使わなければフィフにもこの剣にも失礼だ』
「ノーブル…」
そこでめっちゃ嫌そうな顔してなければ超かっこよかった!
もう露骨に触るの嫌って顔してる
触り方が汚い物を持つ感じだ
『さて、武器も手に入った。あとは明日を待つばかりだな』
『おいらたち国守組は一足先に行くっすね』
「うん、行ってらっしゃい。気をつけてね?」
『それはおいらたちのセリフっすよ。…行ってきますっす』
ルエは俺の額に軽く口をつけるとリンシェンへ向けて飛んでいった
ルエのが飛び去った後、ネア、ディック、ヒューラ、キッド、ニャル、ラビ、フィフも俺の額に口をつけてから各々飛び去って行った
「…さて、最後の追い込みをしようかな」
『明日は早い。やるのは程々にしておけ』
「わかってる。ギナ」
『まっかせてー!』
ご飯の時間になるまでギナに剣術を教えてもらった
おかげで何回かギナに攻撃を当てられるようになった(手加減バリバリされてるけどね)
『今日はねー、カツ丼だよ!ノーブルに料理本借りて作ってみたんだ~!』
まさかこっちでカツ丼が食べられるなんて!
「いただきます!」
久しぶりの日本食
やばいっす
体に染み渡るっす
日本食万歳
作ってくれたラグ万歳
「ルエたちにも食べさせたかったな~」
『食べてるよ?』
「えっ!?」
『さっき届けてきたから』
…ラグさんマジ優秀過ぎて崇め奉るわ
そっかぁ、ルエたちもこれ食べてるんだ…
騒いでるんだろうなぁ…
「御馳走様でした。あとはお風呂入って寝るだけだ!」
『…タツト、ちょっといい?』
「いいよ。なに?」
『一緒に行きたいところがあるの』
ラグの頼みごとなんて初めてだ
それも深刻そうな内容
「いいよ。どこに行くの?」
『連れて行くから僕の背に乗って?』
言われた通りラグの背に乗る
そして鱗をしっかりとつかむ
『えっと、≪囲い≫≪空間内:空気転送≫≪温度減少時間:遅≫あと何が必要だっけ?あ、≪気圧自動調整≫も必要だね』
「え、えっと、ラグさん?どこに行くつもり?」
『…えへへ!』
笑って誤魔化された!
やばいよ怖いよ今日のラグ怖いよ!
いったいどこに連れて行かれるのか!
『…綺麗だね』
「…ラグのほうが綺麗だよ」
なんてロマンチックな雰囲気のところすいませんね
あ、片方俺なんですけどね
何故、何故私は月にいるんですかね?
アスベルクの夜空に浮かぶ赤い月
俺とラグはそこに座りアスベルクを眺めていた
『えへへ。この間レイが僕らが作った温泉で告白したでしょ?僕も告白するならロマンチックにしたいなって思って、どうせなら僕しか連れていけない場所に連れて行ってあげたいなって。それがここ』
確かに俺をここに連れてこれるのは空間魔法の使えるラグだけだ
でもいきなりはやめてほしいです
何の情報もなしに急上昇されて風圧と重力で落ちそうになったからね
『タツト、僕タツトのことが好き。レイにも他のみんなにも負けないくらい大好き!僕とも番になってください』
俺もラグのことは好きだ
レイと同じ位に大好きだ
だからこそ聞きたい
「俺は既にレイと番だよ?」
『ドラゴンはね、強い者や魔力が多い者、魔力が上質な者のところに集まるの。だから一匹の雄に何匹の雌とか普通なんだよ』
「…レイもラグも雄じゃん」
『確かに僕らは雄だよ。でも僕らは龍皇。龍皇ってね、普通のドラゴンと違って雄同士でも卵が残せるんだよ。子孫を多く残さないといけないからね』
ナ、ナント…
合法BLが許されるのか…
しかも子供も生まれるとか…
世のドララーさんが奮起するね!
『僕もタツトとの子供は欲しいけど、それがなくてもタツトと番になりたいの。タツトが大好きだから!理由はそれだけだよ!』
…ラグらしい、なんの捻りもない素直な言葉
だけど、それがすごく嬉しい
「俺も、ラグのことが大好き!これからも俺の隣にいてね!」
『うん!』
「アスベルク」が見守る中俺とラグは抱き合いキスをした
ラグとの初めてのキスは少しカツ丼の味がした
『う~ん』
「ラグ、どうしたの?」
『ファーストキスはレモンの味ってノーブルから借りた本に書いてあったのに全然違った~…』
「そりゃカツ丼食べた後だから仕方ないね…」
『じゃぁ、レモンを齧って再チャレンジ!』
「さすがにそれはちょっと…」




