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強いのは僕ではなく僕の龍たちです  作者: 七面鳥の丸焼き
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闘技大会に出ました(4)

今回も少し長いです

[皆様おはようございます!知らない間に準決勝になっていて驚いているわたくしクアリアス・レオルが本日も実況をさせていただきます!]

[[解説は俺たちギナとリゴがやってくよー!]]

[オレ、イル。コトバ、ムツカシイ、ガンバル]

[本日の解説は火龍皇のギナ様、水龍皇のリゴ様、そして死霊龍皇のニャル様でお送りいたします!それでは闘技大会3日目、本日の出場者4名をご紹介いたします!まずはこの人!武器?そんなもの必要ない!そう、この筋肉があればな!我らが獣人の期待の星、粉砕のゲルクグ選手!]


最初に紹介されたのはネズミ?獣人の男だった

なぜ「ネズミ?」かって?

みんなはネズミと聞いてどんなイメージがあるだろうか?

ハハッ!とか言いながら夢の世界に誘ってくるやつ?

ポケットなモンスターの電気野郎?

多分そんなかわいらしいものを想像するだろう

俺だってそうだ

だが、目の前のものを見てくれ

筋肉モリモリな体、人を余裕で殺しそうな極悪面、体中には様々な傷がついている

そんな奴を見てはたしてネズミと断言できるだろうか?

俺には無理だった

そんな俺を余所に実況は次の人を紹介し始めた


[お次はこの人!強さとは力だけではありません!さぁ、私の魔法をくらいなさい!遥々魔の国シェイダルからの参加!氷の魔女、ビオラ選手!]


次に紹介されたのは「私魔法使いです!」って前面に主張している女性

黒のローブに黒いとんがり帽子、そしてなんか賢者とかが持っていそうな木の杖を持っている

多分箒も持ってるな

それも竹箒

しかし、魔の国シェイダルからってことは魔族ってことだよな?

見た感じ俺たち人間となんら変わらないように見えたんだけど…?


[続いてはこの人!見た目は怠惰、中身も怠惰!怠惰の魔王がいなければこの人が一番の怠惰であろう!怠惰の申し子、メグ選手!]


おい魔王

お前討伐対象なんだからもっと隠せよ

獣王直属の騎士様もそこまで言ってなんで気づかない

ポンコツしかいないのか?


[何故か誰かからバカにされているような気がしますが気にせず行きましょう!さぁ、最後はこの人!我ら生きとし生けるものの希望!龍皇を従え龍皇に愛された男!リヒテンバッグが召喚した龍の勇者、タツト選手!]


…なんじゃその紹介は

先の3人よりも大きな歓声が聞こえる

で、出たくねぇ~…

でも行かないと不戦敗だろうし、そうなったらレイたちからものすごく怒られるんだろうな…

俺は最悪の気分で戦いに行くことになってしまった


[それでは最初の対戦はこの2人だ!ビオラ選手対タツト選手!両選手は速やかに準備を整え舞台にお上がり下さい!]


うーわ、初っ端か…

はぁ…準備って言うほどの物もないしさっさと行こう…





「龍の勇者様と戦えるなんて光栄です!よろしくお願いします!」

「あ、はい。よろしくお願いします」


舞台に上がると既にビオラさんは準備を終えており俺が指定位置に立つと挨拶をしてきた

俺の勝手な偏見で魔族は粗暴な人が多いと思っていたからちょっと驚いた

それにしても龍の勇者か…広まるの早くないか?


[両者準備が完了したようなので試合を開始いたします!それでは、レディーファイッ!]


「≪分身の術≫!」

「それは既に一度見…た…」


俺は開始早々ヒュロウス戦でやったように分身する

しかし今回は相手の周りではなく舞台上に散らばる

それこそ空中にも沢山と


[タツト選手が増えた!?しかも浮いている!?いや、空中に立っている!?タツト選手空中に立っています!]

[[兄ちゃんすっげー!]]

[クウカン、カタメル、アシバ、フム]

[…つまり足元の空間を何らかの方法で固めてそれを足場にしているということですか?]

[是]

[なるほど、これにはビオラ選手も驚きを隠せない様子!タツト選手はこの後どう攻めるのか!]


「≪氷原≫!」


あたりに冷たい空気が漂いはじめた

吐く息が白くなり舞台が凍り始める


「≪氷柱≫!」


ビオラさんが凍った舞台に手をつくと舞台から氷の棘が四方八方に伸び俺の分身たちを串刺しにしていく

余裕を持って100人出したのに一瞬にして消し飛ばされた…

さすがここまで残っただけはある

これはちょっと本気出さないと負けるかもしれない…


「≪氷花≫!」


その言葉が発せられると地面からいくつもの氷の薔薇が咲き乱れる

しかし、それは俺を襲ってくるだとか何かしらのアクションを起こすとかは一切ない


「ふふ、準備は整いました。行きます!≪氷茨≫!」


氷の薔薇から茨がウゴウゴと現れ一斉に俺に襲い掛かってくる

さっきの魔法はこれの下準備だったのか!


「よけっ…!?」


避けようとしたが足が動かない

下を見ると足に既に茨が絡み付いていた

い、いつの間に…

足元に一瞬気を取られた隙に体中に氷の茨が絡み付く

振り解こうとしても茨自身がかなり頑丈、そして茨の棘が体に刺さりとても痛い


「これで最後です!≪氷華≫!」


先ほどと同じ言葉

しかしそれは全く違う魔法だった

足元から体に巻きつく茨ごと凍り付いていく

足から腰、肩、そして頭のてっぺんまで氷に包まれた

そしてその氷は大きな一本の薔薇となった


「≪氷華≫、別名「氷の棺」。これに囚われた者は一切の身動きを許されず、寒く冷たい中で静かに死んでいく。私が解かない限り勇者様はそこから出ることはできません。私の勝ちです!」

「そうもいかないんだよね」


俺はビオラさんの後ろから声をかける

ビオラさんは振り向きながら距離を取った


「な、なんで!?分身はすべて消した!あの薔薇に捕まったのは本物のあなたのはずよ!」

「うん、確かに捕まったのは僕だよ。でも、あれを見てみて」


俺は先ほどまで俺がいた氷の薔薇を指さす

ビオラさんはこちらを警戒しつつ指したほうを見る

そして目を見開いた

そこには俺の体はなく、代わりに丸太が囚われていた


「ま、丸太?なぜ丸太が…?」

「忍魔法≪空蝉の術≫」


空蝉の術、聞き馴染みのある言葉でいえば変わり身の術

攻撃を受けたと見せかけて、身代わりを立てて回避する術だ

忍魔法のlv:3で覚えられる魔法で、今回俺があの薔薇から逃れたトリックの答えである


「…ふふ、さすが龍の勇者様ですね。私の最大の攻撃を簡単に回避するなんて、いくら勇者様でもできるとは思ってもいませんでした」


…簡単ではなかったけどね

ちょっとでもタイミングを間違えたら≪空蝉の術≫は発動しない

攻撃を受けたと同時に発動しないといけない

しかし、ひとたび発動すればどんな攻撃でも回避できる究極の回避魔法

成功して本当に良かったと内心ホッとしている

失敗しても≪転移≫で逃げられたけどそっちはさらに運だからね

あれまだ制御できないし


「私の最大の攻撃が通じない以上私に勝ち目はありません。が、最後まで足掻かせていただきます!≪氷塊≫!」

「なら、勇者らしく勝たせてもらうよ!≪息吹≫!」


両手で筒をつくり口元に持っていく

そして大きく息を吸い込み手の筒に吹き込む

その息は魔力を帯び、大きな炎となってビオラさんに襲い掛かる


「…あは。これが、龍の勇者…」


炎は直ぐに止んだ

火傷を負い気を失ったビオラさんは舞台上に倒れた

龍魔法≪息吹≫

前にレイたちが使い魔物の大軍を一瞬にして消し飛ばしたブレス

龍の勇者らしく勝つならこれが一番かなと思った


「試合終了!決勝にコマを進めたのは氷の棺からの脱出劇を果たし、ドラゴンのようなブレスを吐いて勝利を勝ち取ったタツト選手だぁ!」


「「「「うおおおおぉおおおおおおおお!!!」」」」


歓声や拍手を受けながら俺は舞台を降りた

次が最後の戦い

気合を入れて臨もう

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