レイとピュア恋(?)しました
ギナとリゴの言葉を訂正しました
『『タツトよわ―!』』→『『お兄ちゃんよわ―!』』
グンバーオから帰ってきて1週間ほどたったお昼頃
俺が今でアロを膝に載せて寛いでいると誰かが玄関の扉をたたいた
扉を開けると鼠色のポニーテールをした女性が立っていた
その人は俺が扉を開けるとピシッと気をつけの姿勢をした
「お初にお目にかかります。ジャブフ・ウォン・グレスタイン帝王様の使いで参りましたエルッセンと申します。城までご同行願いたい」
帝王様の使いの人か
何かあったのかな?
「わかりました。着替えと書置きを残したいので上がって待っててください」
「かしこまりました」
俺の今の恰好って異世界に来た時の恰好なんだよね
さっさといつもの装備に着替えてポポロたちに書置き残さないと
コンコンコン
「勇者タツト様をお連れ致しました」
『うむ、入れ』
「失礼いたします」
今回連れられたのは執務室
謁見の間じゃないのね
エルッセンさんは扉を開けて俺が入った後に部屋から出て行ってしまった
部屋の中には俺とレイ、ラグ以外のドラゴンズ、帝王様しかいない
聞かれちゃまずい話なのか?
「好きに掛けてくれ。さて、さっそく呼んだ理由を話すとしよう。実はな、リューンの王竜王ウェグナム殿がお主に会いたいそうなのだ。リューンは竜の国、あの国では龍皇は崇拝するものだ。その龍皇を召喚する勇者に会ってみたいと何度も連絡してきてな…」
そこまで言うと椅子に凭れ掛かった
うんざりするほどされてるんだろうな…
ご愁傷さまだ
とはいえ、俺も竜の国に入ってみたいと思っていたところだ
竜人に会ってみたい!
そしてあわよくば触ってみたい!
『貴様はまた…触りたいと顔に出ているぞ…』
…もう諦めよう
どんなに出さないように頑張っても無理だと分かった
「竜人は他種族に触れられるのを嫌っておるからな。タツトなら願えば触らせてくれるだろうが、あまりお勧めはせんな」
触れられるのが嫌いか
今回は諦めるしかないか…
「わかりました。今回は諦めます」
「そうしてくれ。それとリューンへはレイ様方に乗って飛んで行ってほしい」
「飛んでですか?」
何か特別な理由でもあるのだろうか?
「ウェグナム殿ができるだけ早く会いたいと言っておるのだ…。竜車でも2か月はかかってしまうがレイ様方だと2~3日で着けるでしょう?」
『そうだな。タツトの事を考えなければ1日もあればつけるな』
考えてね!?
ただでさえ今の状態でも死にかけてるんだから!?
『…これだけ共に生活しているのにまだ信用されていないのか』
レイは明らかに機嫌を悪くしたようで俺を見る目がきつくなってしまった
いや、信用はしてるよ?
でもいざそれを乗せてくれるレイから言われると信用しててもやっぱり怖いというか…
「信用はしてる!レイはそんなことしないって思ってる!」
『ならばそのような顔をするな!』
…そうだよな
いくら信用してるって言っても暗い顔で言っても説得力ないよな
「…ごめん」
『…すまん。強く言い過ぎた…。タツト』
『吾輩は絶対にそんなことはしない。だから、吾輩のことを信じてくれ』
レイは俺前に飛んでくると俺の手を取り真剣な、それでいて悲しいそうな面持ちで言ってきた
俺はそんなどことなく必死なレイを見て吹き出してしまった
「ご、ごめ…。フフ…レイがあまりにも必至だから…はは!」
一度吹き出すとどんどん堪えきれなくなってきた
これ以上笑うとまた機嫌が悪くなってしまうから無理やりにでも抑え込む
「レイのことを信じるよ」
『そうか。ありがとう』
お、おぉ
レイから感謝の言葉がすんなり出てくるとは思ってなかった
出てきても
『感謝する』
的なシェキナベイベーだと思ってたからちょっと驚き
てか笑顔くっそ可愛かった!
レイ普段笑顔なんて見せないから貴重だし破壊力が違うよね
あ、みんな可愛いよ?
『…そんなに見つめられると恥ずかしいのだが?』
「あ、ごめん…」
『いや、その、すまん』
・・・
何だこの付き合いたてのカップルみたいな会話はあああああああ!
『僕たちのいない間にレイとタツトの関係が進んでる!』
『レイ、抜け駆けはずるいっすよ!』
いつの間にかこっちに来てたラグとルエがこの甘ったるい空気に入り込んできた
おい、抜け駆けって何だ!?
関係が進むって何だ!?
「おほん、タツト殿。悪いのだがさっそく向かってもらってもよいかな?」
「は、はい!行ってまいります!」
帝王様に挨拶を済ませて俺は部屋を出た
超恥ずかしい!
顔を赤くしながら町を出た
町の外でレイの上に乗り空に上がる
…大丈夫、怖くない
今は羞恥心の方が強い
『行くぞ?』
「うん。お願い」
『うむ』
レイはゆっくりと加速していく
冷たい風が気持ちいい
この気を抜けば飛ばされるほどの風圧さえなければもっと気持ちいいだろう
これが最大で3日も続くのか…
リュームまで持つかな…?
「ハックシュン!」
持ちませんでした!
さすがに無理!
寒すぎて手の感覚が無いよ!
『『お兄ちゃんよわ―!』』
「うるさい!そんなことは俺がよく知ってる!」
ここ3~4ヶ月で痛感したわ!
ギナを見てふと思い出したけどこいつって火の龍だよな?
「ギナ、ちょいとこっち来て」
『何何?何かくれるの?』
近寄ってきたギナを抱きしめる
…あったけぇ
なにこれカイロ?
ちっちゃな子供みたいに体温が高い
もう今日離さない
『俺は―?』
「リゴは…今はいいかな?」
『ぶー』
だって絶対冷たいもん
家に帰ったらしてあげるから今は我慢して?
「ハックシュン!」
あーやばい
風邪ひいたかな?
『タツト』≪火の精霊:火鼠の皮衣≫
アロが魔法を使うと寒さが無くなった
なにこれ温かい!
「これは?」
『火の精霊に頼んで温めてもらっている。これで寒くないはず』
「うん、とってもあったかい!ありがとう!」
そう言ってアロの頭を撫でた
アロは破顔して気持ちよさそうな声を出して快楽に身を任せた
普段のアロからは想像できないほどかわいい
他の誰よりも猫っぽいのが特にかわいい
『タツトが風邪ひいちゃったっぽかったからおかゆにしてみたよ!』
中からも外からも温まり俺の風邪は次の日にはきれいさっぱりどっかに行ってしまった




