なでなでしました
「それじゃあ操縦よろしくね」
「わかりました!ご主人様はゆっくりしていてください!」
それではモフパラ、もとい獣の国フィヨルドへ出発!
まだ見ぬ獣人が俺を待ってる!
『タツト、腹が減った』
うぅん?もうそんな時間?
いつのまにか寝ていたらしい
「ぐっすりでしたね。酔いもないようで安心しました」
「ラグ様様だな」
ラグが悪路でも馬車が揺れないよう空間を固定してくれているおかげで俺はのんびり昼寝ができた
今回の抱き枕はアロです
『私はまだ寝る…』
「お昼食べないの?」
『…zZZ』
寝ちゃったよ
仕方ない、ラグにサンドイッチ的なの作ってもらうか
俺たちのお昼はグロウラビットのシチューとBLサンド
いつものことだけどうまい
その後ポポロのお膝を枕にまたお昼寝
携帯もゲームも本さえもないから寝るしかないんだよなぁ…
高いけど本買うかなぁ…
「今日はここで野宿しますか」
と言ってもラグの≪別次元≫に行くので安心安全な野宿である
別次元に着くとポポロたちは寝床用のテントを張りに、ラグは晩御飯を作りに、アロとヴァスはスキル等で何かできないか試しに行ってしまった
俺は何もすることがないのでレイとルエを撫でて時間を潰した
「本当にいいんですか?」
「俺は野宿のときはいつもこうだからいいよ」
テントはポポロたちに使わせる
俺は外でレイとラグに挟まれて寝ないと外では寝れないのである
元々使わせるつもりで買ったから1個しかないしね
使ってもらわないと逆に困る
「ありがとうございます!」
「うん、それじゃあおやすみ。明日もよろしくね」
「はい!お休みなさい!」
ポポロたちが寝たのを確認してからレイとラグの下に行く
すでに大きくなり俺を待っている
『今日は我の番だ』
いつの間にやら俺の腕の中で寝るのは順番制になっていた
ルエはそれでいいのか?
『いつもタツトと寝たいっすけどそれだとアロやヴァスがかわいそうっすから。タツトがレイとラグ以外でも寝れるようになってくれると一番なんっすけど?』
ごもっともである
「それでは今日も元気に行こう!」
「「「はい!」」」
昨日同様馬車でフィヨルドを目指す
昨日はずっと寝てたから今日は何かしようと思う
てなわけで、ルエと一緒に新薬の調合をすることにした
『どんな薬を作るっすか?』
「病気を治すのがいいんだけど何かない?」
ポーションは怪我は治すけど病気は治らないからな
『風邪薬から抗生物質、インフルエンザのワクチンまで作れるっすよ!』
「とりあえず命にかかわる病気に効果のある薬を作っておこう。何時誰がなるかわからないからな」
『了解っす!……また鱗っすか』
「あー…なら鱗を使わないやつを作ろう」
『ごめんっす…痛いのは嫌っす…』
誰だってそうだから謝らなくていいよ
M以外は
ルエは何か見つけたのか馬車から降りると草原からいくつかの草を拾って帰ってきた
月草しかわからん
『これは消炎草と菌渦草っす!この3つが風邪薬の材料なんすよ!』
としっぽを振りながら話してくるルエを見ているともうただの犬にしか見えなかった
撫でても仕方ないよね?
『はにゃっ!?ふにゅぅ…タツトに撫でられるの気持ちいいっす~…』
「犬か猫どっちかにしなさい」
『ドラゴンっすよ!?』
そうだっけ?
撫でられただけでこんな表情になるドラゴンってどうなんだろ
『ルエばかり撫で過ぎだ。私も撫でろ』
『そうだな。それは不公平だ。我も撫でてもらおう』
ルエを撫でていたらアロとヴァスがきた
そういやアロとヴァスってまだ撫でてないな…
せっかくだし思いっきり撫でてあげよう!
「わかった、おいで!」
『…これはいい。風呂とはまた違う気持ちよさがある。……むぅ』
『…んぅ。こ、これは耐えられんん///んにゃぁぁ!』
ヴァ、ヴァスさん?
キャラ変わってません?
アロは声を出さないようにするので必死だし
え、俺のなでなでってそんなにすごいの?
でもレイとラグはあんな風にはならないぞ?
『それは吾輩たちがまだタツトが撫でるのが拙い頃から撫でられ続けられ徐々にうまくなっていくのに体が慣れたせいだろう』
『あとは撫でられる頻度が多いからかな?』
なるほどそのせいか
確かにレイとラグを撫でる頻度はほかのみんなより多い
今度からはみんな同じくらいになるように撫でてあげよう
その後は特に何もなく進んだ
多分だけどレイたちの誰かが威圧を使ってモンスターが来ないようにしていたんだと思う
ポポロたちも「こんなにモンスターに会わないなんて何かの前触れなんじゃ!?」なんて言ってたし
ま、たまには魔物に一切会わない旅ってのも悪くない
退屈ではあったけど
「ご主人様!あのゲンルトック洞窟を抜けた先がフィヨルドです!この洞窟は抜けるのに丸1日かかります。中間地点に停宿所があるので今日はそこに泊まろうと思うのですが?」
「ん、了解。そこまで安全運転でよろしく!」
「はい!」
「レイたちも人が多くなりそうだから威圧解いてね」
『仕方がない』
そう言うとみんながいくらか脱力したのがわかる
全員で威圧かけてたのかよ!?
過剰すぎるだろ!
てかよくポポロたちは平気だったな
『ポポロたちに背圧が及ばないよう調節していたからな』
『そうそう!それにこここまでの道のりには一撃蛙とかが出てくるんだから過剰ぐらいがちょうどいいの!』
なにその危ない名前の蛙は!?
そんなのもいるのかこの世界!
いや、やっぱりそれにしても過剰だろ
誰か1人だけでいいじゃん
『最初は吾輩がやるつもりだったのだが…』
『みんなタツトに撫でてもらいたいがために自分が自分がって言いだして』
『それならみんなで掛けちゃおうって話になったっす』
『そう言うことだ』
『レイのみがあれを受けるのは不公平だ』
いや、言ってくれれば撫でてあげますよ?
『『『『『龍皇としての威厳がなくなる(っす)!』』』』』
そんなもんもう無いに等しいじゃん
レイは子供みたいだし、ラグは優しいし、ルエは犬だし、アロは見た目がかわいいし、ヴァスに至っては…ねぇ?
「とりあえず撫でてほしければ言うこと!じゃないと撫でてあげない」
『『『『『!?』』』』』
ま、ご褒美では撫でてあげるけど
それ以外では撫でてあげない
『『『タツト!撫でて(くれ)(っす)!』』』
折れるの早いな
ラグとヴァスとルエが声をそろえてねだってくる
…声に出してはいないがアロも袖を引っ張ってねだってきている
龍皇の威厳どこ行ったよ
『!?貴様ら、龍皇の威厳はどうした!』
『『『そんなものよりタツトのなでなでの方が大事 (だ)(っす)!』』』
アロも首を縦に振って肯定している
これで残ったのはレイだけだ
さて、どうなる?
『わ、吾輩は…』
「ほれほれ~」
『はにゃぁ///』
『ふにゃん///』
『にゃぁぁ///』
『…んぅ///』
悩んでいるレイがあと一歩で落ちそうだったのでラグたちを撫でて誘惑する
みんな威厳を捨てたからか声を出して快楽に身を任せている
猫みたいな声出してるけど本当にドラゴン?
ドラゴンの着ぐるみを着た猫ってことはないよな?
くいっと袖を引かれる
そちらを見やると顔を真っ赤にしたレイが袖をつかんでいた
『わ…吾輩も…な、なでなで…してくれ…』
ついにレイが落ちた
そして俺も落ちた
やばい、レイのこんな顔初めて見た
超かわいい
何この可愛い生き物
俺はレイを引き寄せ抱きしめた
そして頭だけでなく背中や翼、しっぽに至るまで撫でた
『にゃっ!?タ、ツト!?そ、そこは、ダメ…にゃあぁぁぁ///』
おぉ、レイのこんな声初めて聴いた
めっちゃかわいい
『レイだけずるい!』
『そうっすよ!おいらももっと撫でてほしいっす!』
『右に同じ』
『我もだ』
「ご主人様、俺も…いいですか?」
「…僕も」
「ずるい!僕もご主人様に撫でてほしいです!」
みんな撫でられるのが好きだな
いいでしょう
みんなの気が済むまでなでなでしてあげましょう!
停宿所に着くころには俺も含めみんなぐったりとしていた
次の日に1話投稿すると言ったな、あれは嘘だ
…あ、ごめんなさい
思いのほか遅れてしまってごめんなさい…
今日もう1話投稿するんで見逃してくだせぇ…




