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強いのは僕ではなく僕の龍たちです  作者: 七面鳥の丸焼き
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奴隷は仲間になりました

『タツト、あっちにコボルトっぽい反応あるよ!』

「コボルト!異世界定番モンスターの一匹!」


ゲームとかで出てくる雑魚モンスターの中で一番好きな奴

あの犬顔が俺的にかわいくて好きなんだよなぁ




と思っていた時期が俺にもありました


「あ、あれがコボルト…?」


そこにいたのは犬の頭をしたゴブリン

その犬の顔も可愛さのかけらもない醜い物であった


『タツトの世界にいるコボルトがどんなのか知らないけどこの世界のコボルトはあれだよ』

「ご主人様の世界?そう言えば先ほど異世界と言っておりましたがご主人様は異世界の方なのですか?」


あ、そのことについて話してなかった

一番大事な事話し忘れるとか俺っておちゃめさん♡


「そのことについては町に戻ってから話すよ。とりあえずあいつらを倒そう。レイ」

『わかっている。ふむ、数は7体か。なれば』≪黒沼≫


レイがコボルトたちに向かって手を伸ばし魔法を唱えるとコボルトたちの足元の地面が黒く変色しコボルトたちを飲み込んでいく

コボルトたちももがいて抜け出ようとするが抵抗しようとすればするほど沈んでいく


「どう言う魔法なの?」

『あれは≪黒沼≫と言い相手を沼に沈め捕らえるというものだな。あくまで捕獲用の魔法で地面にいる奴にしか効果がないという闇魔法の中で唯一の非破壊魔法だ』


ほう、唯一の非破壊魔法

そんなのもあるんだね


『あいつらもう身動きできないみたいだよ。止め刺してきたら?』


ラグに指摘されコボルトの方を見ると顔以外は沼に沈み動けなくなっている

あれって知らない人が見たら恐怖だよな

草原にコボルトの生首が生えてるんだから

さっさと止めを刺してしまおう




「コボルト7体が銅貨35枚。ゴブリン10体が銅貨30枚。合計銅貨65枚です、お確かめください」

「…はい、確かに。ありがとうございました」


討伐報酬をもらいギルドを出た

レベルは2個しか上がらなかったよ

あれだ、コボルト狩るよりもゴブリン狩った方が儲かるわ

コボルト全然いない


『早く飯に行くぞ!吾輩は腹が減った!』

『おいらもっす!』


レイとルエの食いしん坊コンビのせいで考え事は強制終了された

昼飯もたくさん食ってたよな?

その小さな体のどこに入ってんだよ

まあ、俺も腹は減った

隠してはいるがポポロたちも減ってるみたいだし行くか


「はいはい、宿の食堂でいいね?」

『うむ!』





宿の食堂に着き奥の大人数用テーブルに座る

レイとラグが隣に座りルエがラグの隣に座る

ポポロたちもいいのだろうかと困惑しながら椅子に座った

気にせず座ればいいのに


「ご注文をどうぞ」

「おすすめは何ですか?」

「アクセルシープのトマト煮です」

「じゃあそれを10人前お願いします」

「かしこまりました。しばらくお待ちください」


10分くらいたって料理が運ばれてくる

真っ赤なトマトスープにブロッコリーとジャガイモ、それとアクセルシープの肉の入ったこの町の名物料理だそうだ

お味は言わずもがな

お肉は柔らかいしトマトスープがよく染み込んでいてとてもおいしかった

ポポロたちもすごい勢いで食べてたから気に入ったようだ




食べ終わり部屋に戻った

ポポロたちをベッドに座らせてコボルト戦の話の続きを話した


「さて、俺の事で話し忘れていたことを話そうか。もう大体察してるかもしれないけど俺は異世界から来たんだ。詳しくはまたおいおい話すな。俺はこっちの世界の常識とか全然知らないから教えてくれると助かるかな」

「異世界…。ご主人様は勇者様なのですか?」


やっぱ異世界からくる=勇者なんだな


「ポポロの想像通り俺は勇者だ。ただお前たちの思っているような英雄のような力を持っていない。それどころかそこら辺にいる一般人よりも弱い。だけど俺は君たちの事を肉盾には絶対にしないから安心してくれ。君たちを買ったのは御者をしてもらうためだからね。さて、今の話を聞いて「こんなご主人様は嫌だ!」って人は言ってね。開放してあげるしいくらかの資金も持たせてあげる。ただその場合今言ったことは絶対に秘密にすることが条件だけど」


ばれたところで何もないけどね

何だったらレイたちに乗って空の旅って言うこともできるし

…それもいいな


「い、嫌じゃありません!」


そう叫んだのはポポロだ


「僕よく失敗して怒られてたんです。鞭で叩かれたりナイフで刺されたり…。この耳の傷もその時のです。だから勝手に座ろうとしてしまった時叩かれると思ってたんです。でもご主人様は叩かず怒っていないと言ってくださいました。お腹が鳴ってしまった時も笑って頭を撫でてくださいました。頭を撫でられたのは初めてでした。優しい手でとても気持ちよくってとてもうれしかったです。そんな優しいご主人様を嫌だなんて思いません!」

「俺もご主人様のこと嫌じゃないよ。俺たち兄弟を一緒に買ってくれただけで俺はうれしいしある程度俺たちに自由をくれる。怒るときは怒るけど絶対に手をあげてこないし。弱いなんて知らない。俺もご主人様がいい」

「僕も、お兄ちゃんと一緒に買ってくれたのがうれしいです。モンスターへの攻撃が外れても怒らないでもう一度ってチャンスをくれて、当たると褒めてくれる。こんな幸せ他にはない。ご主人様のところがいい」


3人の眼は真剣でそれだけで今の言葉が言わされて言ったわけではないことがわかる

うぅ…感動して泣きそう

何この子達いい子すぎ

会って1日も経ってないのにこんなに慕ってくれるなんて


「…わかった。ポポロ、ケオ、テオ。これからもよろしく!」

「「「はい!」」」


それにしてもポポロの前のご主人様とやらはひどい奴だな

ちょっと失敗したってだけで鞭で叩いたりナイフで刺したりだなんて

そのせいで消えない傷になってしまってるし


「治してあげたいな…」

『できるっすよ?』


ボソッと呟いた言葉にルエが反応した


「本当!?」

『おいらの薬師のスキルを使えばポポロの耳の傷を治す薬が作れるっす!』


マジか!

さすがルエ!

伊達にポーション作ってない!


「なら早速作ろう!必要な素材は?」

『えっとっすね…。月草、龍の涙、満月水、そして星龍の鱗っすね。ちょうど今日は満月っすから運がいいす!』


薬師のスキルをルエに付けて正解だったかもしれない

なんていう自画自賛は置いておいて


「ラグは月草をお願い。龍の涙ってレイたちの涙ってことだよね?今出る?満月水ってどこで手に入るんだろう?ルエは鱗をお願いね!」

『落ち着くっすよ。龍の涙はおいらが鱗を剥す時に出ちゃうっすから大丈夫っす。満月水は満月の光を浴びた泉の水の事っす。だからラグには月草と一緒に満月水もお願いしたいっす!』

『了解!超特急で行って来るよ!』


俺も何か手伝いたい


「俺にも手伝えることない?」

『あ~…じゃあ鱗を剥すのを手伝ってほしいっす。自分でやると痛みに躊躇しちゃいそうっすから…。その際レイにはおいらが暴れないように押さえつけていてほしいっす』

『了解した』


ルエが暴れるってどれくらいの痛さなんだろう…

レイ曰く、人間的に生爪を無理やり剥すようなものらしい

うん、聞くんじゃなかった

そしてルエ、ありがとう


「それじゃ行くよ?」

『覚悟は決まったっす!崩れる前に早くお願いするっす!』


了解

せーので行くぞ…


せーのっ!


『―――――――――――――――っ!!?』


鱗を1枚掴み引き剥がすとルエが痛みに暴れだす

叫び声をあげさせないためかレイが口を押さえながら羽交い絞めにして動きを封じる

痛いのにそれを紛らわせる動きがすべて封じられている

本当に申し訳ない

おっと、涙涙

レイがルエを押さえつけている間に何とかルエの涙を回収する

そしてラグが帰ってきたところでポーションを出してもらい傷口にかけてあげた


『はぁ…はぁ…』


ルエはすでに満身創痍だ

作るのは明日にして今日は休ませてあげよう


『だ、ダメっす!満月水はすぐに使わないとただの水になっちゃうっす!今作るから待ってほしいっす!』


そう言うとルエは材料を机の上に置き手を伸ばした

材料の下に魔方陣が浮かび上がり眩い光が部屋を包み込む


『完成っすよ』


光が収まり机の上を見ると材料は消えて水色に輝くポーションが置かれていた


『それはエリクサーっす。部位欠損を治しなんと蘇生もできる最上位のポーションすよ!』


なんと!あの伝説のエリクサーですか!

…そんなの作ってよかったのか?

いや、ポポロのためだ!

ばれなきゃいい!


「ポポロ」


俺はポポロを呼びベッドに座らせる

そしてポポロの耳に触れる


「んっ…。んぅ…」

「ポポロ?」

「ふぇ?…っ!!あ、あの!ち、違うんです!気持ちよくて出たとかそんなんじゃなくてですね!?」


痛くて出たんじゃないのか

良かった…

それにしてもかわいい声だったな

そして気持ちいい手触り


「治ったらまた触らせてね?」

「は、はい!いつでもどうぞ!」

「ははは!ありがとう!…それじゃ、行くよ?」

「…はい」


ポポロの返事を聞き俺はゆっくりとエリクサーをポポロの耳にかけていった

するとエリクサーはどんどんポポロの耳に吸収されて耳の傷が塞がっていった

そしてすぐに傷は跡形もなく消えた


「ポポロ、耳の調子はどう?」

「…大丈夫です!ご主人様、ありがとうございます!」

「お礼ならルエに言ってあげて。今回一番頑張ってくれたから」


何しろ鱗を1枚剥したんだからな

俺なら気が狂ってるかも


「ルエ様、僕のためにとても痛い思いをさせてしまい申し訳ありません!この御恩は一生忘れません!」

『おいらこれでも龍皇っすから、あの程度の痛みへっちゃらっすよ!耳が治ってよかったっすね!』


ヒューヒュー!ルエかっこいい~!

涙目じゃなければもっとかっこよかったけどな!


「はい!ありがとうございました!」


ポポロの耳の傷は消えた

心にできた傷もいつか消えるといいな

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