無事Aランクになりました
翌日、今日はAランクになるためにちょっとした試験がある
ギルマスさんとバトルか絶対嫌だぞ?
オワタ式でやるほどマゾってないからな
「こんにちわー」
「タツト様ですね。修練場でマスターが待っていますのでご案内いたします」
着いた瞬間連行された
修練場とかあるんだ
修練場に着くとギルマスさんが剣を地面に立てて手を置くというあのいかにも強いっていう感じの立ち方で待っていた
「来たか。待っていたぞ。あの後君のことを調べさせてもらった。なんでもステータスが一般人よりも低いだとか?」
「そうですね。なんで試合とかが試験なら死合になってしまうんですが?」
そういうと軽く笑われた
洒落のつもりじゃなかったんだけどな
こっちにしたらマジで命かかってるんだし
「あぁ、すまない。さすがにそこまで鬼ではない。剣なり魔法なり好きに打ってこい。こちらはやり返さない。一発でも当たればAランクに昇格だ」
うわ、一番苦手な奴
こういうのを言ってくる奴は大体すんごく弱いかすんごく強いのどっちかでこの人は間違いなく後者
絶対に後頭部にも目があるんじゃないかっていう動きしてくる
「どうした?来ないのか?」
く、急かしてくるなよ!
焦るだろ!
えっと、俺が使えるのは剣が少しだけ、魔法は闇魔法と空間魔法と星魔法
それも連発できないから使いどころが大事だし
あー、考えていても終わらないしとりあえず攻撃あるのみ!
「お、来るか?さぁ、最弱勇者はどう戦う?」
「最弱言うなあああああああああああああ!」
さすがというべきかやっぱりというべきか
まったく当たらん!
当たる気がしない
剣で流されるとか受けられるとか以前に避けられる
「いつまで続けんだ?飽きてきたぞ?」
だったらとっとと当たってくれよ!
俺も剣握ってる手が痛くなってきた
「ならこれでどうだ!」
≪黒球≫を5つ作り出しギルマスさんに向けて飛ばす
俺のだと多分当たってもそこまでの威力だから安心して撃てる
「そんな遅いのじゃ当たらんぞ?」
遅い?
言われてみれば確かにレイのより遅い
もしかして魔力の込める量とかによって変わってくる?
もしそうなら
当てるだけなら軽くていい
球自体の魔力は少なめにして飛ばすときに魔力を込める
おぉ、案外簡単に魔力って操作できるのな
「これならどうだ!」
今度の球は消えそうなほど色が薄いがかなり速い
まだレイのやつよりは遅いけどね
「お、良くなったじゃないか」
と言いつつ軽くあしらわれた
でもなんとなくわかった気がする
剣もダメ、魔法もダメ、MPも残りわずか
あれ?詰んでるくね?
「なんだ、手詰まりか?惜しいな。個々で勝てなければお前ならどうする?」
個々で勝てなかったら?
そんなの力を合わせるに決まってるじゃん
…合わせる?
魔法剣みたいなやつ?
俺のMPじゃ無理だ
何かいい魔法ないかな?
ん…これを使えば行けるかもしれない
消費MPも少ないし、いける!
「わかったか?ならば来い!」
「はい!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
まずは切り込む!
当たる当たらないは気にせずとにかく剣を振る
「ここだぁ!」
そして≪黒球≫を掌の上に作り、そのままギルマスさんにぶつけに行く
いわゆる螺〇丸だ
飛ばしても当たらないならその分の魔力をなくして自分から持っていく
多分これも避けられるからその時に備える
「少しは考えたようだが、甘い!」
突き出した手は空を切る
が、
「甘いのはそっちだ!」
「何?…ヌッ!」
脇腹の服が消し飛んでいる
よかった…成功した
「これは…どういうことだ?」
ギルマスさんが信じられないって顔をしている
それもそうだ
だって、消し飛んだ場所は俺の手と反対側で絶対に当たらない位置だからだ
種明かしをすると、
≪黒球≫の乗った手を突き出してよけられた後空間魔法の≪転送≫っていう魔法を使ってギルマスさんの脇腹に≪黒球≫を転送したのだ
MP?ぎりぎりだよ
あと1
当たってなかったら本当に詰みだった
「ふはははは!いやぁ、まさか本当に当てられるとは思ってもいなかった!いったいどうやって当てたのか見当もつかないぞ!」
「えっと…ひ、秘密で」
自分の手の内を明かすのは三下のやることですよ
この方法知られたら俺絶対勝てなくなっちゃうからね
教えませんよ?
「そうか。気になるが仕方がない。試験は合格だ!カードを出せ、帰るときにAランクのカードを渡してやる。これでお前も上位冒険者の仲間入りだ!死なない程度にがんばれよ!」
ギルマスさんにカードを渡すと受付のお姉さんがギルマスさんの後ろから現れてカードを持って行ってしまった
い、いつからいたんだ?
「忘れるところだった。帝王がお前に会いたいそうだ。街をモンスターの大群から救った褒美を与えるためだそうだ」
「わかりました。いつですか?」
「今からだ」
ん?
「今から?」
「あぁ、今からだ。行くぞ」
「其方がリヒテンバッグで召喚された勇者か。名は何という?」
「た、タツトです」
あの後本当にすぐにお城まで連行されて今ここだよ
リヒテンバッグの王様と違って何となく優しそうに見える
ぽっちゃりしてるからかな?
おっと、失礼か
「ではタツト、よくぞモンスターの大群から我が帝都を守ってくれた。龍皇様方もありがとうございます」
『吾輩たちはタツトを守っただけだ』
『そうそう、たまたま町も一緒だったってだけ』
『たまたまっす!』
守ったことに変わりないんだから普通に受け取ればいいのに
照れ隠し?
「町を守った栄誉を称え勲章を与える」
そういわれて胸元にバッヂをつけられた
勲章ってこんなのなんだ
「それて金貨500枚を渡そう」
・・・
金貨500枚?
えっと確かリヒテンバッグで貰ったのって白金貨3枚と金貨100枚で合計金貨400枚
リヒテンバッグよりも多い!?
「あ、ありがとうございます」
「うむ、話は以上だ。下がってよい」
勲章とお金をもらって終わった
ふぅ…緊張した…
『かなり緊張していたようだったな。ククッ。見ていて面白かったぞ?』
久々におちょくられた…
仕方ないじゃん!
王族との話し方知らないんだから
無礼なことしてなかったかな…?
『何も言ってこなかったから大丈夫だよ』
『そうっすよ。それにもし何か言ってきてもおいらたちがいるから安心するっす!』
ありがとう
やりすぎない程度にお願いします
にしてもお金いっぱいになってきたな
どうしよう…?




