豪快に燃やしました
3日たちおっちゃんの下に向かった
3日の間に街を巡ってみた
みんなでショッピングをしたりおいしいものを食べて回ったり
ときどき外に出てモンスターを倒したり
異世界版休日の過ごし方って感じだな
そして今日
頼んでいたものができる日だ
「おっちゃーん。来たよー」
「あ、タツトさん!お待ちしてやした!今親方呼んできやす!」
お店に入るとこの間のネズミさんが店番をしていた
まぁ俺を見てすぐに奥に行っちゃったんだけども
てか店番してなくていいのか?
俺の他にもお客さんいるぞ?
この3日でいろいろと増えている
お!レイピアだ!すげぇ!カットラスまである!
さすが異世界の武器屋!
てか3日で頑張ったなおっちゃん
「待たせたな。なんかいいもんでもあったか?」
剣を見てたらおっちゃんが出てきた
剣は男のロマンでしょ!
「どの剣もかっこいい。よくはわからないけど王様から貰ったものよりいい奴ってのはわかるよ」
「そ、そうか。ありがとよ。ほれ、これがお前さんたちのだ」
そう言って布に包まれているものを渡された
布をとってみると透き通るような水色をした剣と包丁だった
これはまさか?
「お前さんのドラゴンがとってきたのはミスリルの原石の塊だったんだ。ミスリルってのは質がいいほど加熱すると透き通っていくんだ。こんなにきれいになるミスリルは初めて見たけどな。一体どこで採ったんだ?」
俺の読んでた異世界物の小説とは少し違うみたいだ
おっちゃんも初めて見るようなものだからそこらへんに落ちてるわけないよね
『えっと、グランドリザードマンが寝床にしていたあの穴から西に500メートルくらい行った場所に縦穴があってね、そこにいっぱい落ちてたよ?』
「縦穴?……あぁ、あれか。あの穴は深さがわからねぇから危険だってんでよく調べなかったんだよ。そうか、あそこにあんのか…」
『行こうと考えているならやめておけ。翼のない貴様たちでは到底底に行くことなどできん』
どんだけ深いんだろう?
でもこんなミスリルが出るってことは相当な深さなんだろうな…
「そうか…残念だが諦めよう。他にはなかったか?ミスリルじゃなくてもいいんだが」
『あとはこんなのがあったよ』
ラグは大小さまざまな塊をゴロゴロと出した
てか多すぎぃ!
「ま、また大量だな…ん?んん!?こ、こりゃぁ…お、オリハルコンじゃねぇか!?こっちは鉄だがこんなにいい鉄は見たことねぇ!」
オリハルコンって確か超硬い金属だっけ?
そんなものまであるのか
さすが異世界だな
『とりあえずはそれだけ。見た感じまだまだあったよ』
「そうか。タツト、これを俺に売ってくれねぇか?もちろんただ買うだけじゃねぇ。しばらくお前さんの装備をタダで見てやろう。あとはそうだな、素材を持ち込みで装備も作ってやる。代金はこっち持ちだ。どうだ?」
至れり尽くせりだ
でも悪いなぁ…
『「そんなにしてもらって悪いなぁ…」って思っているな?』
ギクッ
また顔に出てましたかね?
「ガハハ、気にするな!俺はこんなにいい材料で物が作れるってことが一番だからな!あとはお前さんと繋がりを持っていると何か面白いものを持ってきてくれそうだと思ってな。俺は自分の事もちゃんと考えてる、これでもまだ何か思うところがあるか?」
なるほど
それならいい…のかな?
持ってても仕方ないし
「1個。売るんじゃなくて差し上げます。これだけは譲りません」
「そうか、ならありがたくいただくよ。そういやまだ俺の名前言って無かったな。俺の名前はゲーベだ。最高の物を作ってやるから期待しとけ!」
「よろしくお願いします!」
武器屋の繋がりは持っておいた方がいいよね
ゲーベのおっちゃんはいい鍛冶師みたいだし
なんてことを考えていると急にルエが慌てだした
『た、タツト!やばいっす!このままじゃ町が!』
「なに!?どうしたの!?」
『もうすぐこの町に大量のモンスターが来るっす!1000や2000なんて言う優しいもんじゃないっすよ!』
マジかよ!?
…なんでそんなことわかんの?
『おいらが占い専門だって言わなかったっすか?星詠の宗派の星魔法は極めると≪未来視≫ができるっす。短時間だけっすけどね。そして≪危険予知≫と≪未来視≫を組み合わせて何か危険なことが起こりそうならわかるようにしてるっす』
そしてそれが発動したと
にしてもやばいな
ルエのそれが発動するってことはそれなりの数なはず
「とりあえずギルドに行こう。ギルドマスターに言っておいた方がいいと思う。あとどれだけでここに着くかわかる?」
『約1時間後っす!』
早いな
とりあえず急ごう
「ゲーベのおっちゃん、ちょっと急ぐ用事ができたから俺たち行くね!」
「おう!生きて帰ってこいよ!」
俺だってまだ死ぬ気はないよ
店を出てダッシュでギルドに向かった
「すいません!ギルドマスターに合わせてもらえますか?」
走る勢いそのままに扉を開きカウンターにいるお姉さんに聞いた
「えっと、初めての方ですよね?ギルドカードをお願いします」
「これです。早く!」
「少々お待ちください。…すぐにギルドマスターの下にご案内いたします。こちらへどうぞ」
ギルドカードの裏面を見たお姉さんはすぐに案内してくれた
裏面には変な文字があるだけだったんだよね
暗号の一種?
まぁ、今はそんなことはどうでもいい
あと40分もしないうちに来るぞ!
「マスター、失礼します」
『開いてる』
素っ気ない声がかかるとお姉さんは扉を開けた
中に入ると犬の獣人さんが机で書類とにらめっこしていた
「マスター、こちらリヒテンバッグで召喚された勇者のタツト様です。マスターに急ぎの用事とのことでしたのでお連れ致しました」
「そうか。君はもう下がっていいぞ」
「失礼します」
不仲?
そう思わせるほど淡々した会話だった
「それで?急ぎの用事って言うのは?」
俺はルエに頼んで見たものをそのまま話してもらった
「…なるほど。これで確証を得た。すぐにこの町にいる冒険者全員に通達しなくてはな」
「確証?」
「あまり詳しくは言えないが、部下からモンスターが大量発生しているという報告を受けていたのだ。方向的にもあっているからおそらく同じものだろう」
なるほど
それですぐに動けたのか
「しかし数が数だな…。すまないがタツト、君のドラゴンの力を借りてもいいか?」
「どう言った風にでしょうか?」
危険なことだったら断るからな?
「そう睨むな。簡単なことだ。向かってくるモンスターどもに向かってブレスを吐くだけでいい。それだけでかなりの量が消し飛ぶだろう」
確かにそれならモンスターを簡単に減らせる
でも地形が破壊されるぞ?
「この町に近くの物も消し飛びますよ?」
「安心しろ。モンスターが来る方向には人の住む村などはない。あるのは小さな森ぐらいだ。消し飛んでも何ら問題はない」
なら大丈夫か
レイたちもやる気みたいだし
「わかりました。やります」
「それはよかった。すぐに彼についていってくれ。ブレスのタイミングは君に任せる」
いつの間にか扉の隣に男の人が立っていた
この世界の人気配なさ過ぎて怖い
言われた通り男の人についていくと街を囲んでいる塀の上に連れてこられた
もうすでに軽く見えているがかなりの数だ
これレイたちがいなければ無理だろ
『もう撃ってもいいか?』
「もうちょっと…それと倒すの優先でお願い」
『わかった』
レイたちは元の大きさに戻り俺の声が聞こえる範囲で広がった
あともう少し…
できるだけ奥の方にまで届くように…
「今!」
合図をした途端体中を熱風が包む
暑い
後ろで鎧を着ている兵士さんが何人も倒れている
これはやばい
そしてモンスターだが、うん
あるのは燃える草原だけ
奥の方に何体かいるがとても少ない
そいつらは燃える草原に阻まれてこちらに来れないようだ
『ふむ、加減したのだがな』
『まだちょっと強かったみたいだね』
『みたいっすね』
ちょっとではないがな
まあ地形は破壊するぞって最初に行ってあるし何も言われないでしょ
あれだけいたモンスターをほとんど倒したんだし許してくれるでしょ
「さ、さすが勇者だ。まさかここまでなるとは思ってもいなかった」
暑さのせいか大量の汗をかきながらギルドマスターさんがこっちに来た
「俺もです。しかもあれ、手加減されてあれですからね?びっくりですよ」
そう言うとマスターさんもかなり驚いていた
「まだ奥の方に残っているので火が収まり次第やっちゃってください」
「お前は行かないのか?まあ、これだけやったんだ。帝王から何かしらはあるだろうが」
「俺はもういいですよ。あとはほかの人に任せます」
「そうか。わかった、あとのことは任せろ。あぁ、あまりことに忘れるところだった。お前のランクをAにするからギルドカードを渡せ。明日Aランクのカードを渡すから取りに来い」
え、Aっすか!?
あれ、Aになるには試験がいるんじゃ?
「あんなもん見せられて試験もくそもあるか。まあ確かに従魔の力で合ってお前の力ではないからな…。わかった、明日軽くお前の力を見てやるから必ず来ること、良いな」
そして半ば強制的に追い出されてしまった
…力を見るって何をするんだろう?