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強いのは僕ではなく僕の龍たちです  作者: 七面鳥の丸焼き
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依頼は達成しました

「ぶぎゃああああああああああ!」


鼻先を殴られたグランドリザードマンは吹っ飛びはしなかったものの鼻から血を流しレイを睨みつけた

レイの攻撃を耐えたやつは初めてだったのでかなりびっくりだ


『ほう…吾輩の攻撃を耐えるか。楽しめそうだ』


レイの顔はどことなく楽しそうで、口を三日月の形にした笑顔をしている

傍から見たら悪魔のような顔だ


『あ~…スイッチ入っちゃったね』

「だね。あまり地形破壊しないでくれるよう祈ってよう」


採掘するところが崩壊したらシャレにならないからな



それからは一方的な戦いだった

いや、戦いとも言えないな

レイが一方的に殴り続けただけだし

グランドリザードマンは最後の方涙目ですっごい弱弱しい声になってたし

むしろあれだけ攻撃されて生きてる方が俺としては驚きではあるんだけどね

時折こっちに助けを乞うような眼で見てきたときはもうかわいそうだと思ったよ

助けなかったけどな!

言い訳をさせてもらうと助けなかったではなく助けられなかったが正しい

止めようとはしたんだよ?

あの時のレイは俺やラグ、ルエでは止められなかった

あの時のレイは近づくものすべてを攻撃しそうだったもん

俺なんかが敵うはずがない

だから悪いけど助けてあげられなかった


「キュゥ~……」

『ふう、吾輩の攻撃をここまで耐えるとは思ってなかったぞ。久しぶりに楽しめた』


ようやく殴るのをやめたレイ

首をゴキゴキと鳴らし満足げな顔をしている

グランドリザードマンは仰向けで倒れている

もう力も入らないようだ

殴られていた個所はへこみところどころに青あざができている

指も何本かはあらぬ方向に曲がっていて見ていて痛々しい


『さぁタツト。止めを刺せ』


止めという言葉にグランドリザードマンの尻尾がわずかに反応したがそれ以上は動かない

これ止め刺すとか俺にはできないんですけど…

俺は倒れているグランドリザードマンの顔の横に立ち声をかけた


「もうここには近づかないって約束できるなら見逃してあげるけど、どうする?」

「…ぎゃう」


首をわずかに縦に振り小さく鳴いた

良かった、理解してくれたようだ

俺はラグを呼んで回復ポーションを大量に出してもらいグランドリザードマンにかけてやった

安い奴だからへこんだところは治らなかったが、骨折していたところは辛うじて骨がくっついたみたいだ

それでも腫れはひどいし熱を持っている

かなりの量を振りかけていると青あざは見えなくなったし動けるくらいには回復したようだ


「これだけ回復すれば大丈夫かな?さっきの約束忘れないでね?」

「ぎゃう!」


グランドリザードマンは大きく声をあげると山の奥に行ってしまった

とりあえずは依頼達成かな?


『なぜ、止めを刺さなかった?それどころかなぜ回復までした?』

「いや、あんなの見せられたらさすがに無理でしょ」


俺の言葉にラグとルエも頷いて賛同してくれる

あそこまでやればもうここには来ないだろうし


『…確かにやりすぎてしまった感は否めん。これからは気をつける』

「うん。まあ確かに経験値はちょっともったいないけどね」

『あ、近くに何かいるよ!これは…ファイヤーラットかな?かなりたくさん』

「じゃあ、悪いけど代わりに経験値になってもらおう!」

『うむ、さっそく狩りに行くぞ』


それから日が落ちる前までファイヤーラット狩りを続け街に帰ったころには町を歩くのは酔っぱらった冒険者や見回りをする自警団の人たちだけになっていた


「今日はギルドもお風呂も無理だね。宿でお湯を貰って明日の朝いちばんに銭湯に行こう」

『うむ。今入れないのが残念だがそれで構わん』

『ゆっくり入りたいもんね~』

『おいらお風呂初めてっすから楽しみっす!』


ルエも気に入ってくれるだろう

俺もお湯に浸かってゆっくりしたい


次の日は朝起きるのがいつも遅いレイが俺が起きるよりも早く起きていた

風呂楽しみにしすぎでしょ

朝ご飯を食べてすぐに銭湯に向かう

個室に入ると大きい湯船がある

みんなで入っても大丈夫な大きさである


『背中を洗ってあげるっす!』

『あ、じゃあ僕は前~!』

『ふむ、では吾輩は頭を洗ってやろう』


と言われみんなに全身ピカピカにされた

うん…楽だけどすごく恥ずかしかった

お礼にみんなを洗い返してあげた

お湯に浸かると程よい湯加減でとても気持ちいい


「あ~…生き返る~」

『やはり風呂はいい。できることならずっと入っていたい』

『わかる~。これを作った人間は本当にすごいと思う…』

『ホヘ~…』


ルエも気に入ったようでお湯にぷかぷか浮いている

また1人お風呂好きができてしまった

いいことだ




「おじさ~ん、帰ってきたよ~」

「お~!よく無事に帰ってきた!だが早かったな。やはり無理だったか」

「いや、ちゃんとやってきたよ!ラグ」


ラグはカウンターの上にロックリザードマンを1体出した

おじさんは目を丸くし驚いている


「こりゃ…マジでか…。しかも剣で切られた傷がない…。殴って倒したのか!ハハっ!面白れぇ!で?グランドリザードマンはいたのか?」

「いたよ。でもレイがお仕置きしたから多分もう来ないと思う」

「レイってぇのは?」


そこで俺は自己紹介がまだなのを思い出した


「自己紹介がまだだったっけ。俺はタツト。でこっちの黒いのがレイ、薄灰色のがラグ、水色のがルエ。んで、ロックリザードマンたちをやったのがレイだよ」

「あ~…このおチビが一匹でやったってのか?嘘だろ?」


う~ん、やっぱりすぐには信じてもらえないか

…この店いま物無いから意外と広いな


「レイ、元に戻って」

『いいのか?』

「お店を壊さないようにお願い」

『わかった』


おじさんが「元に戻る?」と首を傾げているのを無視してレイは元の大きさに戻っていった

天井に頭が当たりそうになって頭を下げつつ大きくなっていく

元の大きさに戻ったのを確認しておじさんの方に向き直るとおじさんは口をあんぐり開けていた


「あ…ああ…りゅ、りゅりゅりゅ龍うううう皇ううううううううううう!?」

『ん?そうだが?』


おじさんは慌てふためいていたが何とか鎮めて話をつづけた

ラグとルエが龍皇ってことは言って無いよ

また慌てられて話ができなくなるとめんどくさいし


「確かに龍皇がやったのなら納得だ。もう山にはロックリザードマンはいねぇんだな?」

「だよね?」


レイとラグの方を向く

2人は首を縦に振る


『うむ。あの辺りにはもう気配はなかった』

『僕も確認したけどいなかったよ』

「だそうです」


それを聞くとおじさんはニカッと笑顔になり


「そりゃぁよかった!おう、あいつらにもう大丈夫だって言ってきてくれ!」

「わかりやした!」


おじさんがお店の奥に声をかける遠くから人型のネズミが出てきた

あれはもしや獣人では!?


「おじさん!」

「な、なんだ?」

「今の人って獣人ですか!?」

「そ、そうだが?何だ?見たことないのか?」


やっぱりそうか!

異世界に来て初めて獣人を見たよ!


「初めてです!リヒテンバッグにいた時は獣人を見かけなかったので」

「あの国も結構な獣人がいるはずなんだがなぁ…。ま、そう言うこともあるか。さてと、あともう一個お前さんたちに頼んでたやつがあったんだが、あるか?」


おじさんの言葉にラグが強く頷いた


『ちゃんととってきたよ!龍眼を使って確認したから間違いないよ!はい!』


ラグはカウンターに岩の塊を出した

あれなに?

話の流れから鉱石なのはわかるけど


「こ、こりゃぁまたでけぇもん持って帰ってきたなぁ…」

『ダメだった?』

「いや、むしろ感謝するよ。これでいくらかの武器が作れる!そうだ!お礼にお前さんたちに何か作ってやるよ!」


嘘!このおじさん太っ腹!

見た目も太っ腹だけど!


「誰が見た目も太っ腹だって!?」

「何故ばれた!?」

「声に出てたはバカたれが!まあいい、で?何を作ってほしい?」

『包丁!』


ラグが元気よく言う

武器屋で包丁頼むって…


「いいぜ」

「いいんだ!?」

「おう、包丁くらい簡単だからな。お前さんたちはどうすんだ?」


俺は…剣かな

今の剣ボロボロになってきてるし


「剣で。できれば軽くて丈夫なのがいいです」

「わかった。で?そこの2人はどうすんだ?」


おじさんはレイとルエにも聞く

2人は首を振る


『吾輩はいらぬ』

『おいらもいいっす!その代りタツトとラグのを最高のにしてほしいっす!』

「へっ!そう言うことなら仕方ねぇ!俺の持てる力全てを注ぎ込んでやるぜ!おうお前ら、どんなのがいいか詳しく聞きてぇからちょっと奥に来い」


おじさんに連れられてお店の奥に入る

あーだこーだとどんなのがいいか聞かれて完成は3日後だと言われた

なんか性格変わったようにやる気に満ち溢れてたけど大丈夫かな?

無理しないよね?


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