活を入れられました
『その・・・おいら、宗派が違って≪解呪≫を覚えてないんすよ…。だから…タツトにかかっている呪いを解いてあげられないっす…ごめんなさいっす!』
嘘やん…
せっかく呼び出せたのに…
呪いが解けないなんて…
ていうか魔法に宗派ってあんの?
『≪解呪≫は星魔法なのだろう?星魔法を極めている星龍皇なら使えるのではないのか?』
『確かに≪解呪≫は星魔法なんっすけど、星魔法は大きく分けて3つの宗派に分かれているんっす。1つ目はその力を使い未来を見通す星詠の宗派。2つ目はその力を使い皆を危険から守り導く恒星の宗派。3つ目がその力を使い病に侵されたもの、傷を負ったものを癒す衆星の宗派。おいらは1つ目の星詠の宗派だったっす。そして≪解呪≫を使えるのは3つ目の衆星の宗派の星龍だけなんっす…。宗派が違うと覚えられる魔法も違うっす。だから、おいらは占いとかはできるっすけど呪いを解くことはできないっす』
異世界の、それもドラゴンの所にも宗派とかあるんだ…
そして宗派が違うから≪解呪≫も使えないと…
「マジかぁ…」
『申し訳ないっす……』
ルエは悪くないよ
だからそんなにしょんぼりしないで?
でもまいったな
今回ルエを召喚してしまったからもう星龍を召喚できない
呪いを解く方法がもう衆星の宗派の星龍を探すって方法しかないぞ
『あと、おいらたち星龍の住処は星龍にしか見つけられないし、星龍以外の種族を入れることもできないっす』
最後の希望も今潰えた…
俺はもうずっとこのままなんだね…
畜生、ほんと迷惑なものを残していきやがったな…
『力になれなくてごめんなさいっす…。代わりにおいらができることなら何でもやるっす!』
ん?今何でもって言った?
って言う定番のネタを言う元気も出ないよ…
『いつまでもうじうじするな。まだ完璧に望みが絶たれたわけではない』
「え…どういうこと?」
『≪解呪≫を使えないならほかの方法で呪いを解くことができないか探せばいい。呪いを封印した精霊や封印されるまでは呪いを使っていた影龍、呪いとは違うがそれに準ずる魔法を使う死霊龍。こやつらに聞いてみればいい。それでもわからなければこの世界全てを探し尽せばいい。吾輩たちにはそれができる魔法が、翼がある。何もしないまま膝を折るな!』
探し尽す…
…そうだよね
何もしていないのにあきらめちゃだめだよね
わかるまで探せばいい
「レイの言うとおりだ。探せばいいんだ。この世界を隅々探し尽せば!」
『そうだ。敵が来たら吾輩が矛となり』
『僕が盾となり』
『お、おいらが目となるっす』
3人は俺の前に肩膝をついてそう言ってきた
その姿は王に忠誠を誓う騎士そのものだ
「ありがとう、みんな。そうと決まれば早速出発しよう!」
『その前に飯だ。吾輩腹が減った』
『ちょうどいい時間だしいいんじゃない?』
確かにこの空間に来る前太陽はちょうど真上辺りにあったね
俺もお腹空いたし
『それじゃあこの空間を閉じるっす』
ルエがそう言うと視界が歪み元の世界…でもないや
別次元の世界に戻った
太陽は少し移動しているがまだお昼と言える
『今日は何にしようかな?』
『吾輩はカツを希望する』
『おいら初めてなんで何でもいいっす!』
「じゃあ俺もカツで!」
『はーい!ちょっと待っててね!』
「グレスタイン帝国ってあとどのくらいかわかる?」
食べ終わり片づけをしてくれているラグを待っている間にレイに聞いてみた
『この山を下ればすぐに砦がある。そこを越えてしばらく進むと見えてくるぞ』
つまりまだもう少しかかると
ま、気長に行きますか
『片付けすんだよー』
「はーい。じゃあ、出発しますか」
元の世界に帰ってきて僕たちはグレスタイン帝国を目指し山を下りた
「本当に砦だね」
『言った通りであろう?』
山を下りてすぐに目に入ったのは大きな砦
石の壁が地平線の彼方まで伸びている
「次の者!」
「は、はい!」
砦の門兵さんに大きな声で呼ばれて驚いた
近いんだからもう少し小さな声でもいいと思うんだけど…
「身分証の提示を。…君のような子供がBランクか。リヒテンバッグは相当人手が足りないようだな。ではこの球に触れて」
態度悪くないっすか?
こんなもんなの?
まあいいや
どうせ今日限りなんだし
ところでこの球なんだろう?
「この球って何なんですか?」
「あぁ?この球は触ると盗賊だとか犯罪に手を染めていたら色が変わるんだよ。そんなことも知らねぇとはどんな田舎から来たんだ?」
ムカッ
この世界に来てまだ全然なんだから仕方ないじゃん
知らないことの方が多いいし
「ま、Bランクになれる実力と従魔3匹も連れてりゃ特に心配することもねぇけどな。お前まだ若いんだから無茶すんなよ?ほれ、終わったなら行った行った」
…もしかして今までのって心配して言ってくれてた?
え、何?ツンデレさんなの?
何それ萌える
わけない
こんな顎髭生えたオッサンのツンデレなんて萌えない
誰得だよって話だよ
砦を抜けると先ほどまでのごつごつした道ではなく平らな道が続いていた
わきには草原…
月草と陽草だ…
やっぱどこにでも生えてるんだな
他には森、山、…村?かな?が見える
肝心の街はまだ見えない
日もだいぶ傾いてきたし野宿する場所を探さないと
と言っても別次元に行くからどこでも変わらないんだけど
「ご飯も食べたし、歯も磨いたし。寝るか」
歯磨き粉がないから塩で磨きましたよ
口の中超しょっぱい
でも結構すっきりする
『どうやって寝る?』
『吾輩はタツトの隣だ』
『ずるいっす!おいらもタツトの隣で寝たいっす!』
俺の隣争奪戦が始まっている
ここで誰でもいいと言ったら怒られるからお口チャックです
そして結局じゃんけんになり俺の隣にはラグとルエがきた
レイは小さくなって俺の頭の上で丸まっている
『吾輩が負けるとは…』
『レイうるさい』
『そうっすよ。その代り明日は無条件で隣になる権利があるんすから我慢っす!』
俺の知らないところでまたルールができている
ま、俺は暖かく寝れればそれでいい…
「…なんか違う」
『ほえ?タツト、どうしたっすか?』
何だろう、何か違和感が…
暖かいんだけど触り心地というか抱き心地というか
とりあえず違和感のせいで眠れない
ラグの方を向いても背中に違和感を感じる
「ごめんルエ。今までレイとラグに挟まれてたからこの2人じゃないと違和感があって眠れない…」
『そんな…せっかくタツトと一緒に寝られると思ったっすのに…』
『そういうわけだ。早くそこをどけ』
大きくなったレイがルエを強引に押しのけて横になってきた
そして翼を器用に前に持ってきて俺を包む
あぁ、これだ
ルエには悪いけどやっぱり安心する…
『レイずるいっす!これじゃあじゃんけんの意味がないっす!』
それもそうだ
俺のわがままでせっかく勝ち取った場所をとられたんだもんな
あ、そうだ
「ルエ、小さくなって」
『ほえ?これでいいっすか?』
小さくなったルエを抱きしめてまた横になる
これならみんな俺と寝れるし俺もレイとラグを感じられるし
解決!
『仕方がない。妥協してやる』
まあそう言わずにね?
明日はレイを抱っこしてあげるからさ
なんてことを考えていたらいつの間にか眠っていた




