2日目(3)
「あのさ、本当に事故死だったのか調べてみない?」
俺が不意に発した言葉に彼女が息をのむ音が聞こえた。
しかし少しの間のあとで声が聞こえた。
「でも、私たぶん外の世界には出られないと思う。」
彼女は半分あきらめたような声でそういった。
その言葉を聞いて俺は初めて疑問に思った。
「優花は今どこにいるの。」
今まで疑問に思わなかったほうがおかしかった。
彼女の体は葬式が終わって今は墓の中にあるはずだ。
そんな実体のないはずの彼女が電話をかけてきているのだ。
俺が発した言葉に彼女はしばらく黙り込んでいたが
やがて口を開いてゆっくり話し出した。
「真っ白で何もなくて、どこにあるのかわからない空間にいる。」
彼女は不安そうな声で俺に告げた。
俺はその情報から状況のすべてを察することはできなかったが
自分がもしその状況に置かれていたら不安でおかしくなるだろう。
そのなかでも前向きにどうにかしようとする彼女にはいつも同じ年なのに関心させられる。
だからこそ俺は彼女のために何か自分にできることをしてあげたいと思った。
「そっか、つらかったな。
だったら俺が優花からの情報を頼りに犯人を見つけ出すよ。」
そういうと彼女は、本当にそんなことできるの。といって笑った。
そんな彼女の言葉に俺は、できるよ。と言い話を続けようとした。
そのとき彼女との電話がプツンと切れた。
俺はなにかあったのかとリダイアルボタンを押したが聞こえてきた音は
『現在使われておりません』という感情のない機械音だった。
俺はそのあと彼女を失うのではないかという不安に襲われ
何度もかけ直したが、その声が感情を持った声に変わることはなかった。
ふと気がついて時計に目を向けると針は一時を指していた。
俺は突然の睡魔に襲われ、ベッドに携帯電話と体を投げたあと目を閉じた。
夢の中では何が原因だったのか喧嘩をする彼女と俺がいた。