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深夜徘徊は怪  作者: ふん
9/9

ラブ

 祭提灯のように街灯が連なる道を下り、暑さで枯れた落ちた葉を踏み歩く。蒸し暑ささえなければ、木枯らし吹く季節のようにも思えるが、車の排気口から出る熱風のような風を浴びながら、額に吹き出す汗を拭いて歩いているのでそうもいかない。

 しばらく歩くと大きな道路に出た。交差点は三つの光が灯っている。信号の赤と青。街灯の黄色。ここまでくればあと少し。オレは少しでも汗を乾かそうとゆっくり歩く。

 結局は汗は引かないまま、いつでもクリスマ気分の赤い帽子を被ったペンギンがいるディスカウントストアの中に入ると、化粧と汗と埃のが薄く混じったニオイがした。ラッキースケベを期待できそうな服を着ているねえちゃんの脇を抜けて、何故か深夜にいる幼児の足元の暴走をくぐり抜けて、ようやく目当ての物を手にする。うちの近所のコンビニには置いていない、粒タイプの入浴剤。よくある錠剤タイプのではなく、粒を浮かばせて体の周りからショワショワとするのが好きなのだ。

 どの種類にしようか悩んでいると、足元に影が近づいてきた。赤いリボンを付けた猫のキャラクターサンダルに、黒に金で刺繍のされたジャージに、プリン頭。おまけにキツイ香水のニオイつきときたもんだ。

 嫌いなタイプだが、退かないわけにも行かないので体をずらす。ギャルはオレに軽い会釈をしてスッと目の前にある入浴剤を手に取ると、彼氏の元へと歩いていった。

 ……オレが好きな入浴剤を持って。

 なんだろうこの……。趣味が合った途端に好感度上がる昔のギャルゲーみたいな感じは。

 アレだ。アレに似ている。

 向こうが自分のことを好きだったら、なんとなく自分も向こうを好きになり始める。中学生の頃のような気持ちだ。

 


 思わぬところで、懐かしいトキメキに出会えた。ナイスだギャル。






ネタが無いのでこれにて終了。

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