04
気が付いたら空から地面へ落ちる瞬間だった。
身体中から力が抜けていくような感覚とともに私は地面にぶつかった…はずだったけれども、衝撃は僅かなものでまったくと言っていいほどどこも痛くなかった。
そのまま目を開けられずにいると耳元から心臓の鼓動が聞こえてきた。それはとても居心地がよく、私はそのまま眠りへと入ってしまった。
「…なんなんだ。厄日か今日は」
いきなり上から人が降ってきたため下敷きにされてしまった青年が呟く。
彼はここからそう遠くない村に住んでいるのだが、今日幼馴染に誘われ村を旅立ったばかりだった。幼馴染は水を調達しに行くといって近くの小川まで行っていて自分は木陰で休憩していた所だったのだけれど、いきなり人が降ってくるとは思ってもみなかったため受け身もも取れずに、人の下敷きになってしまったのだった。
「…おーい…ダメだ。気絶してる…」
上に落ちてきた人に声をかけるも返事はなく、どうやら意識はないらしいがそのまま下敷きになっているわけにもいかず、ゆっくりと上の人物をどかす。
「女の子…?」
改めて観察してみると身近には珍しい黒髪長髪の女の子だった。服はちょっと良さそうな生地で白のワンピースをまとっていた。
顔はまだ幼い感じがするので、自分より年下だろう。
自分の村にはこんな子はいなかったので別の村の子だろうか…
そこまで考えて首をひねる。
ここから一番近い村は自分の村だ。ほかには半日歩かないと人が住む村はない。それに最近魔物が増えてきたのにこんな軽装で、こんな女の子がこんな森の中に一人でいるだろうか。
「おーーい!リューン!」
と、そこで幼馴染の声が聞こえてきたので一度思考をストップさせる。
自分だけじゃ判断がつかないといったん考えるのをやめて、幼馴染の声がしたほうへ振り返る。
そこには両手の皮袋にパンパンになるほどの水を入れニコニコと微笑みながら歩いてくる幼馴染がいた。