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10年前に考えた封印武器の名前で精神的ダメージを受けた

「これってヌルゲーだよな?」


「何を今更・・・」


俺と火燐は、『洞窟』を進んでいた。

この『洞窟』は俺達が考えた物ではなく、元々ゲームにあった場所で、

地下3階まである物語の終盤で訪れるダンジョンだ。

つまり、難易度が高い・・・ハズなのであるが・・・


「やっぱ、カンスト廃装備だとなぁ・・・」


「装備はずしたら?」


「・・・痛かったらどうするんだよ!」


「・・・」

「面倒くさいわね・・・」


先程からこの調子である。

自分達で考えた話である以上、負ける事も無く、”絶対”にクリアできる。

『黒歴史』で精神的ダメージを受ける事以外はヌルゲー。

つまり”面倒くさい”以外の何ものでもないのだ。

コレしか手掛かりが無い。

だから仕方なくやっている。

そんな所も面倒くさいと言うことに拍車をかけていた。


「やっとボスの間みたいね。」


「サクサク終わらせようぜ?」


扉を開ける。

そこには『邪神官』の姿は無かった。

代わりに仮面を被った人物が立っていた。


「お前達が英雄とか言われてる奴等か?」


声からすると、若い男のようだ。

俺達の設定に、こんなヤツは居なかったハズである。


「あまりに遅いから、『邪神官』は殺しておいてやったぞ」


「ちょっと! なんで『邪神官』を倒せるのよ!」


俺達の設定通りにやらねば倒せなかったハズだ。

少なくとも、今まで倒した『二人』はそうだった。


「・・・お前、何者だ?」


「お前達と同じだ。」

「・・・この世界はつまらないだろう?」


「同感だ。」

「つまり、協力してサクサク終わらせようって訳だな?」


何故、この世界に俺達以外が居るのか、

何故、俺達の考えた設定無しに『邪神官』を倒せるのか、

理由は分からない。

だが、早く現実に戻る事ができるかもしれない。

それに関しては、願ったり叶ったりだ。


「・・・お前、勘違いしてないか?」

「私はこの世界がつまらないと言った。」

「だから魔王を復活させ、魔王を利用して世界でも征服しようと思ってな。」


「ちょっと、魔王を倒さなきゃ帰れないのよ!」

「・・・多分だけど」


「ほう、では敵同士になるという訳だな。」


「凍夜兄ぃちょっとコイツ黙らせて。」


過激な事を言う妹である。

・・・てか、俺がやるのかよ!

と心でツッコミつつも、”漆黒の大剣”を抜く。

火燐の魔法よりは、手加減ができるだろう。


「俺達の邪魔をしないように、ちょっと黙ってもらおう。」


どっちが悪役か分からない台詞である。


「雷光一閃 スラント!」


大剣の初級スキルである。

雷光の如く繰り出された一撃は・・・

・・・

・・・あっさりと止められた。


「今度はこちらの番だな?」

「雷光一閃ッ! スラントッ!!」


仮面の男はまったく同じスキルを放つ。

俺は”漆黒の大剣”で其れを受け・・・

・・・止められない!?


「火燐ッ! エンチャント!!」


「え!? エンチャントウェポン!!」


魔力の光を帯びた”漆黒の大剣”は辛くもスラントを受け流す。

・・・受け流した筈なのにHPが削られた。


「ふむ、流石は『封印武器・覇皇龍斬剣”戒”』と言ったところか」


ぶほっ

こんな状況で吹いてしまった。

ん?

・・・

・・・

俺が考えた武器だ・・・

やべぇ・・・

俺が考えた最強武器()笑

マジ精神的ダメージでけぇ・・・

ってか、


「ちょっと待て、何故お前がソレを持っている?」


「ああ、封印してあった物をありがたく頂戴した。」

「これで、最強スキルを発動したらどうなることだろうな。」


くっ

それはマジでヤバイ。

正直ヌルゲーと馬鹿にしたが、とんだバランスブレーカーだ。


「・・・はっははは、冗談だ」

「これで倒したらヌルゲーもいいところだろう?」

「私は魔王城で待つことにする。」

「もうひとつの封印武器を手に入れてから来る事だな。」


「・・・火燐の封印武器・・・か」


「どちらにせよ、封印武器無しでは魔王城に入れないわ。」

「言われるまでも無いッ って事ね。」


「では、私は魔王城で待つとしよう。」

「・・・おっと、言い忘れていた。」

「私の事は『仮面”ペルソナ”』と呼んでくれたまえ。』


言って、『仮面”ペルソナ”』は転移した。


「正直助かった。」

「あのまま戦っても勝ち目は無かった。」


「・・・アイツ何者なの?」


「分からん・・・」

「だが・・・一つだけ言える。」


「ヤツは厨二病だ!」

「アイツは厨二病ね!」


見事にハモった。


『古城』と『封印武器』そして『魔王城』・・・『仮面”ペルソナ”』

俺達の『黒歴史』が少しずつ”ズレ”ていった。

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