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届けたい音  作者: 夜の桜
7/8

始曲

「そっか…響君は、その女性の為にキーボードをやってるんだ…」


(だから、激しくも寂しい音だったんだ…)


奏が寂しい顔をする。


「奏も…似たようなもんだろ……男の子の言葉を信じて、歌ってるんだし…」


(似た者同士…だからかな……この事を始めて人に話したのは…)


響は響で、物思いに更ける。


二人は何故、お互い過去の出来事を話し、お互いが今、迷いながらも、互いに惹かれていることを、まだ二人とも気付いていない。


静かに時間だけが過ぎていく…


そして、一時過ぎ…


ジリリリ…


響の携帯がなる。


「もしもし…」


「響か!?悪いんだが、今日弾けるか!?」


太一の焦っている言葉に、響が耳を疑う。


「はっ…?どういうことだ?」


「なんか、昼飯が悪かったのか他のメンバーが食中毒で病院に運ばれちまったんだよ!オレは、今、着いたばっかりで大丈夫だったんだが、ギター一人じゃ何も出来ねぇ!頼む!」


響は、太一の言葉を聞いて、断ろうとしたが…


「…なぁ、俺ともう一人知り合いをメインでやらせてくれねぇか?」


全く逆の言葉を発していた。


(俺は何を言ってんだ!?奏にあの事を話して、変な気でも起こしたのか!?)


響が自分の言葉を疑う。


「はっ?」


太一が間抜けな声を出す。


「いや、ちょっと一緒にやりたい奴がいるんだ……そいつと一緒じゃダメか?」


響は自分でも何を言っているか、分からずに、しかし、それでも言葉を紡ぐ。


「……分かった!それなら、オレは今回でねぇ!だから、響の好きなようにやれ!」


太一が響の言葉に何か感じたのか、今回の件を響に任せた。


「そうと決まれば、すぐにステージ裏に来てくれ!事情はオレが説明するから!」


太一はそれだけ伝え、携帯を切った。


「………」


(マジで俺は何を考えてんだ?…太一達の代わりにステージに立つ?しかも、奏と一緒にとか考えて……そもそも、奏を勝手に巻き込んでるけど、奏にオッケーもらってねぇじゃん!…)


数々の疑問と今更ながらの後悔が、津波のように響に押し寄せる。


しかし、


「奏……悪いんだが、一緒にステージに立ってくれねぇか?」


響は自分の今、まだ分からない感覚に身を任せ、奏に聞いた。


「えっ…?それは、どういう意味かな?」


響のいきなりの誘いに奏はキョトンとする。


いきなり、そんなこと言われれば誰だってそうなる。


響は、さっきの太一の話と事情を説明する。


「……響君と一緒なら…良いよ…」


(奏となら…)


(なんだろう…響君となら…)


((答えが見つかる気がする!))




二人は音楽をやる意味を、やめられない意味を探していた。


そして、二人は出会い、音が始まる。




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