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届けたい音  作者: 夜の桜
5/8

過去

響がキーボードをやり始めたのは、三年前……


当初はただの興味本意だった。


周りがギター、ベース、ドラムなどをやる中、響はある女性ひとのキーボードに惹かれた。


その女性が弾くキーボードは上手いだけではなく、どこか人を惹き付ける魅力があった。


その魅力に響は惹かれ、その女性にキーボードを教えてくれ、とお願いしに行くほどであった。


しかし、女性は響にキーボードを教えることはなかった。


女性はただ一つだけの事を響に教えた。


「いい?響君…音楽って言うのはね、誰かに想いを届けるための手段なんだよ。今はまだ分からないかもしれないけど……君も、そのうち分かると思うな!」


その女性は優しく笑って、響に言ったのだった。


そして、響がキーボードを始めて二年が経ったとき、その女性は病気でこの世を去った。


今、思えば、その女性は響にとって初恋の人だったのだろう。


女性が亡くなった白勢を聞いた響は、入っていたバンドを抜け、一人スタジオでただ、キーボードを弾くようになったのだった。




奏は物心ついた時から、歌を歌っていた。


両親も奏の歌声に才能を感じ、歌教室などに通わせるようなった。


奏は歌が好きだったし、上手くなる自分も誇らしかった。


歌教室で奏は一人の男の子に出会う。


奏よりも歌が上手く、成長すればオペラにも出れるのでは…と期待された男の子だった。


奏は競うように、男の子に絡むようになった。


奏自信もその時は気付いていなかったが、初恋だったのだろう。


男の子も奏と歌うのを楽しそうにして歌っていた。


奏はある時、男の子に聞いたことがある。


どうして、歌うのが楽しいのか?と。


男の子は迷うことなく、


「それはね、歌は幸せを届けるからだよ!」


と答えたのだった。


その言葉を交わしたのを、最後に男の子は事故に遭ってこの世を去った。


奏はしばらく、歌うことをやめ、歌教室もやめた。


しかし、男の子の言葉を思い出し、数年前から一人、再び歌い始めた。





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