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奏
「奏〜!今日はどこいく〜?」
ツインテールにした明るい女子が、奏と呼んだ腰まで伸ばした黒髪をポニーテールにした女子に後ろから抱き付く。
「ちょっと〜!美里!危ないじゃない!」
奏はそう言って、ツインテールの女子…美里を引き剥がす。
「だって、奏って柔らかくて、良い香りがするんだもん〜」
美里は全く反省した様子もなく、その様子に奏はため息をつく。
「それに今日は用事があるから、遊びにはいけないよ…ごめんね」
奏は両手を目の前に合わせて、謝る。
「え〜…また、スタジオ〜?」
美里はうんざりしたように、聞く。
「うん……歌いたい気分なんだ…」
奏はどこか遠くに視線を向けて、答えた。
「もぅ!奏が歌いたいなら、しょうがないけどさ!たまには、あたしと遊びなさい!」
「うん…ありがと!明後日は遊びにいこ!」
奏は笑顔で約束する。
それに満足したのか、美里も笑顔を返す。
「約束だからね!明後日は新しくできた、ケーキバイキングに行くんだから!」
いつの間にか行く場所まで決めている美里に呆れつつ、奏は頷き、手を振って歩き出した。