誰もが知らぬ世界
残酷な表現が含まれています
「えっ?…う、うう、腕がぁぁぁぁあああ!!!?」
紅石と枝野の目の前で一人、自分で作った血だまりの中に倒れた…
「行くぞ!」
飯田の掛け声で西田と南原はハンドガンを、北上と東と馬場崎はショットガンを、白田と飯田はラ○トセーバーらしきところから何やら赤黒いモヤモヤをまとった紺色(らしき)刀を出している
「なぁ雄貴、もしかして、これからあのイカみたいなのとみんなが戦うのかな?」
「…それは、そうだなぁ。戦うつってたし、そういうことじゃね?」
「もし、戦ったら…」
枝野は途中で声は途切れた
なぜなら、現実世界ではありえないことが起きたからだ
いきなり北上の腕が無くなったからだ
勿論、無くなったところからは平凡な高校生、ましてや平凡な人間には理解に苦しむ光景が目に映った
北上の肩付近から赤黒い鮮血が吹き出ている
「えっ?…う、うう、腕がぁぁぁぁあああ!!!?」
「クソッ!どうなってやがんだこのイカ野郎!アイツいつの間に北上の腕を取ってやがんだ!!」
そう、イカの数本ある触手のうちの一本が北上の腕をつかんでいた
「おら、さっさと死ねやゴルァァァァ!!!」
ショットガンからはドンッドンッと、ハンドガンからはバシュゥッバシュゥッと発砲音|(らしき音)が出ているが弾らしきものが見当たらない
「イカのヤツ止まったままだからあたるんじゃねぇかな?」
「そうだな、なのにあたった気配が無く、さらに穴が開くだけ?」
「クソォッ!このイカ野郎に銃は効かねぇ!白田!飯田!頼む」
「「言われなくても!!」」
と、二人は声を合わして一気に飛んだ
その瞬間、飛ぶ格好をするとこまでは見えたが離陸直後からが全く見えなかった
それに離陸地点が盛大に抉れている
抉れている角度から紅石は察し、そこへ目を向けると白田と飯田がいた
それも空中に…
さらには、空中に鮮血が飛び散っている
イカを見ると、イカの体が3等分にされていた、それも職人が切ったかのようなキレイさで
ドンドドンッ…
イカの体が落ちてきた、そしてイカの体が光初め、パリンと音を立て消えた
「俺が先にやったな」
「勝手に言ってなさい」
飯田と白田は何やらコントらしきことをしているが…
それよりも北上はというと
「痛いよぉぉぉ!でも、生きる!でも、痛いよぉぉぉ!」
コレしか言ってないが、不安になった紅石は南原に
「北上さんほっといて大丈夫なんスか!?助けなきゃ…」
「大丈夫、それよりそろそろね」
今度はどこからか出てきた闇に覆われた
さっきの闇と同じ闇、と紅石はすぐに気がついた
目の前で北上が光初め…
紅石が瞬きをすると最初に来たところと一緒だった
目の前では何故か北上の腕は付いていた
「どう、いう・・・」
「みんな扉のほうを見て」
白田の声でみんな一斉に見た
『今日のさいゆうしゅうせんしゅで賞~』と謎の字があった
その下には白田の名前があった
「飯田、残念ね」
「ホントにそうですね~」
「なんでだよ!あそこは俺の剣が早かっただろ!?」
「もう・・・諦めろよ」
「そうだ。扉が言ってるんだから」
哀れむ目で西田と南原が見つめ、北上と東が慰め(?)、飯田は吠えるだけのシュールな絵が出来た
それより白田が扉の前まで行って
「みんな!私みたいに最優秀選手で賞を取れば、自由になれるわよ!」
と貼ってある紙を見ると、そこには
1、これ、止める?
2、強くなる?
3、みんなをちょっと強くする?
「この中から一つ選べるの。私は3を選ぶわ!」
「いつも通りすぎて・・・涙が出てきちまうじゃねぇかよぉ」
馬場崎が何やら理解不能なことを言ってると目の前にボストンバッグが落ちてきた
中には白田と飯田が持っていたラ○トセーバーが入っていた
「またコレかよ・・・」
「やったぜぃ!」
「ようやくね」
飯田には不必要だと言わんばかりの顔をしていた
「みんな、この剣の切れ味はどれも一緒。なんでも切れるわ。でも、人の『意思』の強さによって長さが変わる。一回みんな伸ばして」
枝野と紅石は何を言ってるかさっぱりだった
みんなは普通位の長さだった
「うわっ!なんだコレ!!?」
枝野はもう伸ばしたみたいだが1mは軽く超えていた
「スゴイわね・・・次、えーっと・・・」
「紅石です」
「そうっ!紅石君、伸ばして」
「相変わらずだな」
「そうですね」
他の人の言葉を聞く限り白田は名前を覚えるのが苦手そうだ
そして紅石は伸ばした
「なに、この子・・・常人じゃない意思を持ってる・・・」
「おいおい、何の天才さんですかぁ?」
「すごーい、長くて、太くて、あ、暑くて////////」
「おーい、西田さーん。ちょっと違いますよ~。何考えてるんですか~?」
「可笑しい、な」
「コイツ・・・変態か!?」
最後の変態は否定できますよ飯田さん、と紅石は思いながら自分で見てみると、3mは簡単に超えていた
「でも、この剣はその時の意思によるわ、みんなもコレ位の長さに出来る『意思』を持ってね」
ということなので意思を強くしよう、と紅石は思っていると
「これからここのことについて説明するわ」
白田の声でみんなは目を見開いた
そう、嬉しさのあまりに・・・
だが、この先にある絶望、悲劇、残酷さ、そして一筋の希望をみんなはまだ、知らない・・・