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episode 8 いいこと



瞬間展開の読みを

マジック・トランスから

マジック・トレースに書き換えました。

今までそれを見てきた方、ご迷惑をおかけしてすみません(泣)



俺と紅葉は20メートル程間隔を開けて向かい合う。さっきまで模擬戦をしていた生徒も学年6位の紅葉と転校生の勝負と聞いて集まり始めていた。


「ルールどうする?」


紅葉が問う。


このアリーナに殺傷生のある物理攻撃、魔法は全て受け流される結界が張られているらしいのだが、怪我をしないというものではない。最低でも骨折まで抑えてくれるというだけだ。

だが、その程度の怪我ぐらいなら今の医療で直ぐに治る。なので本気でやり合っても普通は大丈夫なのだ。普通じゃなければ問題大有りなのだが。


「んー、フリーでいいだろ?」

フリーっていうのはルール無しのなんでもありのことだ。

まぁ俺はあくまで結界の許容範囲内で。


「りょーかい」


言わずとも理解したのだろう。少し不服そうではあるが、すぐに集中し始める。


すでに俺たちの周りには沢山のギャラリーが集まっている。さて、そろそろ――。


「「ジェネレート」」


俺たちは同時に武器を展開する。

紅葉の手に光が収束し、太陽の光で鮮やかに光る刀が現れる。

一方俺は両手に二丁の銃を展開。今回は二丁拳銃のオンリースタイルだ。


俺の手に銃が現れた瞬間ギャラリーからざわめきがおこる。

そんなに珍しいのか?慣れれば結構使いやすいんだが・・・。


少々残念な気もするが、まぁ取り敢えず置いておこう。正面には刀を構えた紅葉の姿が・・・・げっ!目がマジじゃねーかっ!

軽く流そうか、などと考えていた俺とは真逆に彼女は随分気合いが入っているご様子。どうしたものか。


「じゃあ俺が審判するぞ?」


ライラが審判に立候補してきた。


「いや、帰れ」

「お前俺にひどくねっ!?」


もう半泣きですがりついてくる勢いで見つめてくるライラ。


「ちっ、しかたねーな」

「俺お前になんかしたか!?」


ごほん、とわざとらしく咳払い。弄ると楽しいなこいつ。


「じゃあカウント始めるぞ?5・4・3―――」


なんだか紅葉から殺気を感じるんだが気のせいだろうか?まぁいつも殺す気で来いってたのが原因だろう。そうだと願いたい。


「――2・1、始めっ!」


ライラの宣言と同時に紅葉が突っ込んで―――。


「はや―――」


言い終える暇も無く20メートルの距離が一気に詰められ、様子見だろう横薙の一閃。


それを後ろに飛んでかわすが、再び詰められ切り込まれる。


「うおっ!?」


交わしても交わしても距離を詰められては斬られかける。いたちごっこになってきた。


「―――っ!?」


突如紅葉の魔力の流れが変わった(普段垂れ流している魔力から、魔法を使う際に魔力を集中して体外に漏れることに変わること)。周りの連中には気付かれない程の抑えられた変化だが、これは。


「いやいや!!!それはちょっ―――」


言い終わる前に紅葉は居合い切りを放つ。だが、先程と違うのは斬線が飛んでくる上に、それに風属性と雷属性の魔法が混じっていることだ。地面を蹴り上げ、空中に飛ぶ。


「ばっか!いきなり複合魔法ぶっ放すやつがあるかっ!」


「ゆうにはこれぐらいやらないと勝てないでしょっ!!」


なんか怒鳴られた・・・・。

複合魔法とは、その名の通り別々の属性を組み合わせて一つにした魔法のことだ。普通は高校三年生ぐらいからカリキュラムに含まれていると思うんだが。まぁ、一葉の妹なのだからこれぐらいどうってこともないだろう。



今紅葉が放った魔法“風花雷塵”は、風属性と雷属性の複合魔法だ。あんなの食らったりしたら普通は一溜まりもない。


(やっぱり紅葉相手に銃はきつかったか?)


舞の如く振るわれる刀を全て紙一重で避けながら、俺はそんなどうでもいいことに思考を傾けていた。


(うーん・・・)


どう反撃しよう・・・。こっちは銃だし、距離を取らないことには―――。



(・・・いや、そうでもないか)



ちょっといいこと思いついた。


その“いいこと”を実行するために魔力を集中させる。


「――っ!!させないっ!!」


俺の魔力の流れが変わったことのに気づいたのか、先程より斬線の数が増す。でも。


「隙だらけ〜」


周りから見るとふざけているように見られるだろう間抜けな声を出して右の銃の引き金を引く。


ズガァン。


魔力でコーティングされた普通の銃弾が紅葉の腹部に当たる。身体強化をしてるだろうし、結界もあるからこれぐらいの威力なら問題ないはずだ。


だが、衝撃で数秒彼女の動きが止った。そして予め集めておいた魔力を使い、術式を発動させる。


【氷属性添加:銃:纏-氷結-】


引き金を5回連続で引く。5発の弾丸が全て紅葉―――の足下と刀に着弾。


ギャラリーの中では「はずれた!?」なんて言ってる的外れなやつがいる。俺から言わせて貰えば“はずれた”のではなく“命中した”のだが。


着弾と同時にその部位に冷気が散り、一瞬で周りの水分が凝結。足下や刀が凍り付き、瞬く間に動きを封じる。


もっともポプュラーな魔法“纏”ではあるが、その中でも派生系が存在する。普通の“纏”はただ属性をのっけて威力を上げたようなものだが、派生系はそれぞれにオプションを加えた便利な魔法だ。俺の放った“氷結”もその一つで、着弾点付近を凍り付かせる能力がある。


俺は身動きがとれなくなった紅葉に、武器を解除して近づいていき、


「チェックメイト」


そう言い放って指で銃を作り、額に当ててニコリと微笑む。


「はぁ〜、降参する・・・・」


溜め息を吐いてそう吐き捨てると、呆然としていた審判のライラが慌てて取り仕切る。



「し、勝者、華瀬悠希っ!」



同じく呆然としていたギャラリー共がその言葉で正気に戻ったのか、途端に歓声を上げだした。


そんなことを無視して俺は紅葉にかけた魔法を解いてやる。氷が散り、やっと動けるようになった足を屈伸で解して武装解除する紅葉。


「いやー、強くなったな。最初のときなんてびっくりしたぞ」


「それでも勝てないなら意味ないよ」


口を尖らせて拗ねる彼女に苦笑しながら頭をポンポンと叩く。





さて、取り敢えずこの場をどうやって収集するか考える俺だった。



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