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episode 7 強者の余裕



「おっす!」

「・・・・・・おう」

部屋を出ると、ちょうどライラと鉢合わせになった。だが、俺が声をかけてやっているのにまったく元気がない。

「どうした?俺が声かけてやってるんだから元気出せって」

「いや、寧ろ朝からテンションだだ下がりだ。どうしてくれるこのやろう」

む、俺の何処に不満要素があるんだ。この心優しい―――。

「ならば聞こう。お前は昨日俺に何をしたでしょうか」

こ、こいつ読心術の心得でもあるのではなかろうか?

「え?昨日?うーん。鬼ごっこ?」

「その小学生みたいなごまかしで通用するとおもってんのかよ。ちなみに読心術なんてやったこともない。お前は考えてることが丸わかりなんだよ」


な、なんだってー!?

うーん、このリアクションはイマイチだな。

そんなバカな考えは置いといて、俺ってそんなにわかりやすい性格しているだろうか?自分ではそんな風におもったことないのだが・・・。波風姉妹には何故か読まれるのでそういう血筋かと真剣に考えたこともあったのに。まぁどうでもいいっちゃいいんだが。


「ほら、気にすんなって。過去を振り向いてばかりでは前に進めないぞ!」

「振り向かせる原因になったお前に言われたくない!」


朝から近所迷惑も考えず騒ぎながら学校へ到着。


「だから土属性の魔法は近接戦の補助としてばかり使うんじゃ無くてだな」

あれ?なんか最初の時と違って俺の魔術講義が始まっている気がするのだが。

「いや、でもよぉ――」

「あ、紅葉おはよー」


ビクゥッ!!


「ん?どうした二人共?」

『いやっ!な、なんでも、ないっ!』

声が裏変えった。なんでこんなに焦って―――。

「あー、昨日のことか」


ビクゥッ!!


また反応した。

つまり昨日のぶっちゃけトークのせいで気まずくなっちゃった、ということか。

「まぁ気にすんなよ、な?」

『誰のせいだ!!』

「え?俺のせいなの?」

あくまで白を切る俺。それを涙目で抗議してくる二人。数分間そんなやりとりをしていると我らが担任のミレア先生がやってきた。


「はいはい。席についてくださいねー。HRを始めますよー」

間延びした声に渋々席に戻る、といっても前と左だからあまり関係無いのだが。

「では今週末からの学年別トーナメントの話をします」

「・・・・は?」


え、何それ?なんでみんな何も言わないの?


「あー、華瀬くんには言ってませんでしたね。この都市では学期末に学年別に各校舎一纏めにしてトーナメント戦を行うんですよ。こんな時期に転入してきても例外はありません」

「は?各校舎?」


何それ、高校ってここだけじゃないの?


「ええ、この学園都市には高校、中学、小学それぞれ26の校舎があるんです。ここは第11高校。ちなみに大学は専門機関などもあるので64となっています」


「知らないんですか?」と言うような目で見てくる先生。に、26!?ていうかここ第11なの?それすら初めて聞いたんですけど。


まぁとりあえず。


「せんせー、めんどくさいんで休んじゃうかもですけどいいですかー?」


うん、やっぱりめんどくさそうだもの。


「別に構いませんけど、実技の成績がなくなりますよ?」


俺の策を軽々つぶしてくれちゃったミレア先生。げ、それは一大事。これで夏休み補習なんてなったらたまったもんじゃねーぞ。せっかく夏休み前に転入してそのまま夏休みを満喫、なんて儚い夢を抱かせていたのに。



「ちなみに一位になると実技の単位がものすごく貰えますよ?」


ピクッ


「もう一年間分は余裕であるぐらいの」


ピクピクッ


「そうですか、出場しませんか。それは残念です」


「せんせー!自分、スポーツマンシップにのっとって、目の前の戦いを背を向けるような真似はしません!」


『うおぉぉい!!』


なんか周りから非難の声が上がった気がするが無視。今の俺の目にはもはや単位しか映っていない。道を阻む者は誰だろうと捻っちゃうよ、俺。


「まぁ頼もしい。では、そろそろ終わりにしますね」

あとになって、俺はミレア先生の策にまんまとはまってしまっていたことに気付いて泣きたくなってしまったのだった。


まぁ、単位貰えればいいか。




☆☆☆☆☆




3限目、模擬戦闘実習。


この時間はアリーナで魔法を用いて戦闘をするといった授業らしい。らしい、というのは俺が今までそんなのを受けたことなかったからだ。


「なぁー、俺とやろうぜ?」

「えー、なんでライラと?」

「失礼にもほどがあるだろっ!!」


ライラが言ったやろうぜとはもちろん模擬戦のことだろう。だが何故かいきなりキレだした。わけのわからんやつだな。


「ゆう、私とやらない?」

「ん?紅葉か。いいぞ」

『え〜っ!!』


な、なんだお前ら?なんで俺が紅葉との模擬戦を承諾したら『え〜っ!!』などと驚かれなければならないんだ?


首を傾げる俺を見かねたのか、ライラが補足説明をしてくれた。


「波風は中学のトーナメントで6位になってんだよ。そんなやつが転入生をいきなり誘うってのが驚きなんじゃね?」


あれ?紅葉じゃない。なんてのは置いといて、こいつより強い奴が同学年に5人もいるんだ〜、などと全く見当はずれの考えをしている俺。

そんな俺の態度をどう解釈したのか心配そうにしているライラ。


「んー、多分大丈夫だろ」

「んな突拍子もないことを・・・」


半ば呆れ気味に溜め息を吐くライラに「まぁ、見てろって」と言い放って紅葉の下に向かった。



・・・・・ちょっとくさいセリフだったかな?




みなさんお気に入り登録ありがとうございますっ!!


本当にうれしいです!!


感想お待ちしております。

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