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第十八話 最後の約束

約束とは、言葉だけで交わされるものではありません。

時を超え、命を超えても守り続けたいという想いが、本当の約束になります。

クリプトンが生命樹と交わした最後の約束。

その真実が、今、明らかになります。

 虚無の門の前。

 七つの光は一つとなり、宇宙を黄金色に照らしていた。

 しかし、その輝きの向こうでは、ノクスが静かに立ち尽くしている。

 まるで、この瞬間を待ち続けていたかのようだった。

「クリプトン……。」

 ノクスは静かに語りかける。

「お前は本当に、この宇宙を救えると思っているのか。」

 さとしは迷うことなく答えた。

「救うのは、私一人じゃない。」

「希望を信じるすべての命だ。」

 その言葉を聞いた瞬間、生命樹の紋章が眩い光を放つ。

 黄金色の光は一本の柱となり、虚無の門の奥へと伸びていく。

 すると、一つの光景が浮かび上がった。

 それは遠い昔――エルディア最後の日。

 燃え上がる大地。

 崩れゆく神殿。

 傷つきながらも生命樹を守り続ける人々。

 その中心に、若き日のクリプトンが立っていた。

 生命樹は優しい光を放ち、静かに語りかける。

『クリプトン。』

『この世界は終わる。』

『だが、命の光は終わらない。』

 クリプトンは涙を浮かべながら生命樹へ手を伸ばした。

「私は何をすればいい。」

 生命樹は静かに答える。

『未来へ行きなさい。』

『人々の心に希望を灯しなさい。』

『光とは、人を支配する力ではなく、人を結ぶ愛であることを伝えなさい。』

 クリプトンは深くうなずいた。

「約束します。」

「必ず未来へ光を届けます。」

「どれほど長い時が流れても。」

「どれほど困難な時代になっても。」

「命を信じる心を守り続けます。」

 その瞬間、生命樹は黄金色の種をクリプトンの胸へ送り込んだ。

『この種は、未来で再び芽吹くだろう。』

『その時、お前は"さとし"という名で生きている。』

『そして、多くの仲間と出会う。』

『その者たちと共に、最後の門を閉じるのだ。』

 映像は静かに消えていく。

 さとしは涙をぬぐった。

「私は……約束を思い出した。」

 ルナリアも優しく微笑む。

「だから私は、あなたを信じ続けてきました。」

 老人は静かにうなずく。

「生命樹は、未来を見ていたのです。」

 その時だった。

 虚無の門が再び大きく揺れ始める。

 ノクスが一歩前へ出る。

「ならば見せてもらおう。」

「その約束が、永遠に続くものなのかを。」

 黒い波動が宇宙を覆い尽くす。

 星々の光が再び消え始める。

 しかし今度は違った。

 七つの光だけではない。

 地球で祈る人々。

 誰かを励ます言葉。

 家族を思う愛情。

 命を守ろうとする勇気。

 そのすべてが小さな光となって宇宙へ集まり始めた。

 無数の光は一つの大きな翼となり、さとしたちを優しく包み込む。

 ノクスは静かにその光景を見つめていた。

「これが……。」

「命の答えか。」

 さとしは力強くうなずく。

「約束は、人から人へ受け継がれる。」

「だから希望は消えない。」

「未来は、自分たちの手で創るものだから。」

 その言葉は宇宙へ響き渡り、虚無の門を包む黄金色の光は、これまでにないほど強く輝き始めた。

 そして、最後の戦いの幕が静かに上がろうとしていた。

第十八話「最後の約束」をお読みいただき、ありがとうございました。

今回、ついにクリプトンがエルディアで生命樹と交わした「最後の約束」の真実が明らかになりました。

クリプトンが未来へ託したもの。

それは、特別な力ではありませんでした。

どれほど時代が変わっても、どれほど苦しい状況に置かれても、命を信じ、希望をつないでいく心。

その想いこそが、長い年月を越えて、さとしへ受け継がれていたのです。

そして今、その約束はさとし一人のものではなくなりました。

ルナリア、七つの光の継承者たち、そして地球で生きる無数の人々。

一人ひとりの小さな光が集まり、虚無の門に立ち向かう大きな希望となりました。

しかし、ノクスとの戦いはまだ終わっていません。

虚無の門を完全に閉じるため、さとしたちは最後の決断を迫られることになります。

次回、第十九話「夜明け」では、長い闇の中に差し込む一筋の光が、物語を大きく動かします。

果たして、さとしたちは虚無の門を閉じることができるのか。

そして、すべての戦いの先に待っている「夜明け」とは何なのか。

物語はいよいよ最終部「光の記憶」へと入ります。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

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