悪魔の欲しがり義妹
「メイヒル伯爵令嬢との婚約を破棄する!」
ここは婚約者の屋敷の玄関ロビー。
婚約者とその家族の前で言ってやった。俺は領地経営を習うために既に住み着いている。
そんな俺が派手な女をつれて婚約破棄を言い放ったのだ。
「えっ、デービット様・・・昨日までは優しかったのに・・・」
「何故だ!」
「一体、どうされたの?隣の女性は?」
俺はデービット、貴族学園では商業科次席、伯爵令嬢と結婚したら領地経営を任される予定であった。
「理由は、真実の愛に目覚めた。紹介するよ。男爵令嬢のミミリーだ」
「メンヒル様、ごめんなさぁ~い」
伯爵夫人は令嬢を抱きかかえて慰めている。弟妹たちはキィと睨め付けている。
いいね。あ、妹が1人足りないか?メンヒル伯爵家族に地獄を見せてやる。
理由?
こう言ったお人好しの馬鹿を虐めるのが大好きなのさ。ああ、たまらない。
「君、すぐに、出て行きたまえ!」
伯爵が指さして俺に恫喝する。俺は居候の身分だからな。
しかし・・・出て行きませーん!
「伯爵殿、いいのですか?私はメンヒル領債を持っていますがね?」
「な、何だと、それが・・・」
「伯爵殿はサインをしたではないですか?領地債を出すと・・・ほら、取引証書を見て下さい」
「いや、金貨7000枚だと・・・そんな権限・・・」
「持ち主のところを見て下さい。私ですよ」
「な、何だと!何故だ!」
フフフフ、少し認められてからコツコツと領地債を始めたさ。
伯爵債を売り。安くなってから買い戻す。その差額を懐にいれ。
実績を作り。それを裏組織から資金を調達して大規模に行った。
まあ、いわゆる空売りだ。その利益で自分で買ったことにした。
こいつらは領地経営にしがみつく無能だから助かったぜ。
「私は債権者筆頭ですよ。いやならすぐに支払って下さい」
「な、何だと・・・!」
伯爵はブルブル震えているな。
もう、屋敷は接収する。俺とミミリーは一緒に住み。家族達は使用人にしてやろうか?
もちろん、執行機関は抑えている。
「だ、旦那様、貴族院副院長と、商業ギルマスが来られました」
「な、何だと」
「執事さん。通さないわけにはいきませんよ」
これで乗っ取り成功だ。
全く、世間知らずの領民思いの領主にも困りものだ。結局、誰も守れないじゃないか?
「デービット様・・・領民達はどうしますか?」
令嬢が震えながら自分よりも領民を大事にしているアピールしていやがる。
だから、真実を教えてやる。
「この領地は、領民救済の積立金が多くて有名です。だから、裏組織の親分達も金を出したぜ。接収して奪えばいいのさ」
「そ、そんな、奪うの?」
「そうだ。この領地を解体してやる!」
俺は六男だった。生まれながらにして家を継げるこいつらが憎くて仕方ない。
「さあ、商業ギルマス殿、貴族院長殿、破産だと言って下さい!」
2人は口を開いた。
「あ、それ、無理だから・・・」
「そうだ。君は筆頭債権者ではないよ」
「な、何だと?!」
「ですから、メンヒル伯爵一家は屋敷を出て行かなくても大丈夫だ」
「私達はそれを伝えに来たのだ」
「おい、ちょっと、待て・・・」
「とにかく、この領地、屋敷を差し押さえる事などできないよ」
「だから、説明を・・」
2人はそのまま去り。
俺たちは追い出された。
「出て行け!」
「詐欺師め!」
おかしい。何かがおかしい。
「デービット、今日泊まるところないわ」
「金はない」
「あの、何とか『サイ』は?」
「馬鹿女!黙っていろ!」
「キャア、何よ!」
空売り、帳簿上での取引だ。裏組織にある。金貨7000枚分の取引証明書だ。
俺はミミリーを突き飛ばし商業ギルドの取引所に行った。
「メンヒル伯爵債、大高騰だよ!」
「売りない?買うよ!」
何でか、メンヒル債に売り注文が殺到していた。
つまり、値段が上がる・・・・
「おい!早く止めろ!」
価値が上がる。良いことかも知れない。しかし、これは偽物の熱気だ。
俺がやった空売り。わざと売って価値をさげて買い戻す。
あっと言う間に価値が下がった
俺は裏組織に行ったが・・・
その時には価値が暴落していた。
「お、親分、申訳ない・・・」
「大損、金貨5000枚だ。これどーすんのよ」
「お、親分、申訳ございません・・いったい、何が起きているか分からないのです」
フランキー親分は葉巻を・・・俺に押し当てやがった。
「ギャアアアアーーーーー!」
ジュウと肉を焼く音がする。
「殺さない程度にボコっておけ・・・顔はやめろ。男娼窟に売るからな。
もしかして、金融界に住んでいると言う。化け物が出てきたのかもな・・・」
いや、裏組織を喰う悪魔か・・・・
「とにかく情報収集だ!」
「「「はい、親分!!」」」
☆☆☆メンヒル伯爵邸
・・・この屋敷の裏庭の小屋で輪転機を回している幼女がいた。
「ニャ、これぞ、奥義株式分割でちゅ!」
「ニャア?!」
刷っているのはメンヒル領債権証書だ。
フウ、私はメアリー、義妹のメアリーだ。メンヒル伯爵の遠い親戚で両親が亡くなったので預けられたが・・・
この家、結構ヤバい奴がお義姉様の婚約者だった。
輪転機があったから、領地債をすりだし。現代日本で言えば株式分割か?額面上はデービットを筆頭株主から転落されるように価値を下げた。
市場は落ち着くだろう。
そして、私は今日も欲しがりをする。
「お義姉様、領地でとれるブルーベリーが欲し~の!」
「この前、食べたでしょう・・・」
「甘酸っぱく大きくて美味しいの~、食べてから眼が良くなったの~」
「メアリー、私は婚約を破棄されたばかりなのよ・・・」
社交界で領地の産物を紹介している。
これで領地の価値はあがれば私でもやりようがある・・・
その時、クラウディア王女殿下が話しかけて来た。
「メンヒル伯爵令嬢・・・」
「クラディア王女殿下、ご挨拶申し上げます」
「良いですわ。その妹殿かしら紹介して下さらない?」
「え、義妹ですが・・・」
「何故、袖にインクが付いているのかしらね・・・」
ヒィ、と心の中で悲鳴をあげた。
クラウディア王女殿下、学園で商業科主席だったと聞く。
「メアリーちゃんなの~、お絵かき大好きなの~」
「フフフ、クラウディアよ。その光方は、最近話題の輪転機かしらね・・」
バレたか?この異世界にも出来る奴はいるようだ。ひたすら隠れようと思うお年頃だ。
最後までお読み頂き有難うございました。




