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悪魔の欲しがり義妹

作者: 山田 勝
掲載日:2026/06/14

「メイヒル伯爵令嬢との婚約を破棄する!」


 ここは婚約者の屋敷の玄関ロビー。

 婚約者とその家族の前で言ってやった。俺は領地経営を習うために既に住み着いている。

そんな俺が派手な女をつれて婚約破棄を言い放ったのだ。



「えっ、デービット様・・・昨日までは優しかったのに・・・」

「何故だ!」

「一体、どうされたの?隣の女性は?」



 俺はデービット、貴族学園では商業科次席、伯爵令嬢と結婚したら領地経営を任される予定であった。


「理由は、真実の愛に目覚めた。紹介するよ。男爵令嬢のミミリーだ」

「メンヒル様、ごめんなさぁ~い」



 伯爵夫人は令嬢を抱きかかえて慰めている。弟妹たちはキィと睨め付けている。

 いいね。あ、妹が1人足りないか?メンヒル伯爵家族に地獄を見せてやる。


理由?

こう言ったお人好しの馬鹿を虐めるのが大好きなのさ。ああ、たまらない。



「君、すぐに、出て行きたまえ!」


 伯爵が指さして俺に恫喝する。俺は居候の身分だからな。


 しかし・・・出て行きませーん!



「伯爵殿、いいのですか?私はメンヒル領債を持っていますがね?」


「な、何だと、それが・・・」


「伯爵殿はサインをしたではないですか?領地債を出すと・・・ほら、取引証書を見て下さい」


「いや、金貨7000枚だと・・・そんな権限・・・」

「持ち主のところを見て下さい。私ですよ」

「な、何だと!何故だ!」



 フフフフ、少し認められてからコツコツと領地債を始めたさ。

 伯爵債を売り。安くなってから買い戻す。その差額を懐にいれ。

 実績を作り。それを裏組織から資金を調達して大規模に行った。


 まあ、いわゆる空売りだ。その利益で自分で買ったことにした。

 こいつらは領地経営にしがみつく無能だから助かったぜ。



「私は債権者筆頭ですよ。いやならすぐに支払って下さい」

「な、何だと・・・!」


 伯爵はブルブル震えているな。

 もう、屋敷は接収する。俺とミミリーは一緒に住み。家族達は使用人にしてやろうか?



 もちろん、執行機関は抑えている。


「だ、旦那様、貴族院副院長と、商業ギルマスが来られました」


「な、何だと」

「執事さん。通さないわけにはいきませんよ」


 これで乗っ取り成功だ。

 全く、世間知らずの領民思いの領主にも困りものだ。結局、誰も守れないじゃないか?



「デービット様・・・領民達はどうしますか?」


 令嬢が震えながら自分よりも領民を大事にしているアピールしていやがる。

 だから、真実を教えてやる。



「この領地は、領民救済の積立金が多くて有名です。だから、裏組織の親分達も金を出したぜ。接収して奪えばいいのさ」


「そ、そんな、奪うの?」

「そうだ。この領地を解体してやる!」



 俺は六男だった。生まれながらにして家を継げるこいつらが憎くて仕方ない。



「さあ、商業ギルマス殿、貴族院長殿、破産だと言って下さい!」



 2人は口を開いた。



「あ、それ、無理だから・・・」

「そうだ。君は筆頭債権者ではないよ」



「な、何だと?!」



「ですから、メンヒル伯爵一家は屋敷を出て行かなくても大丈夫だ」

「私達はそれを伝えに来たのだ」


「おい、ちょっと、待て・・・」

「とにかく、この領地、屋敷を差し押さえる事などできないよ」


「だから、説明を・・」



 2人はそのまま去り。

 俺たちは追い出された。


「出て行け!」

「詐欺師め!」




 おかしい。何かがおかしい。



「デービット、今日泊まるところないわ」

「金はない」

「あの、何とか『サイ』は?」


「馬鹿女!黙っていろ!」

「キャア、何よ!」



 空売り、帳簿上での取引だ。裏組織にある。金貨7000枚分の取引証明書だ。



 俺はミミリーを突き飛ばし商業ギルドの取引所に行った。



「メンヒル伯爵債、大高騰だよ!」

「売りない?買うよ!」



 何でか、メンヒル債に売り注文が殺到していた。

 つまり、値段が上がる・・・・



「おい!早く止めろ!」


 価値が上がる。良いことかも知れない。しかし、これは偽物の熱気だ。

 俺がやった空売り。わざと売って価値をさげて買い戻す。


 あっと言う間に価値が下がった


 俺は裏組織に行ったが・・・

 その時には価値が暴落していた。



「お、親分、申訳ない・・・」



「大損、金貨5000枚だ。これどーすんのよ」

「お、親分、申訳ございません・・いったい、何が起きているか分からないのです」



 フランキー親分は葉巻を・・・俺に押し当てやがった。



「ギャアアアアーーーーー!」


 ジュウと肉を焼く音がする。


「殺さない程度にボコっておけ・・・顔はやめろ。男娼窟に売るからな。

もしかして、金融界に住んでいると言う。化け物が出てきたのかもな・・・」


いや、裏組織を喰う悪魔か・・・・


「とにかく情報収集だ!」

「「「はい、親分!!」」」





 ☆☆☆メンヒル伯爵邸


・・・この屋敷の裏庭の小屋で輪転機を回している幼女がいた。




「ニャ、これぞ、奥義株式分割でちゅ!」


「ニャア?!」


刷っているのはメンヒル領債権証書だ。




 フウ、私はメアリー、義妹のメアリーだ。メンヒル伯爵の遠い親戚で両親が亡くなったので預けられたが・・・

 この家、結構ヤバい奴がお義姉様の婚約者だった。


 輪転機があったから、領地債をすりだし。現代日本で言えば株式分割か?額面上はデービットを筆頭株主から転落されるように価値を下げた。


 市場は落ち着くだろう。



 そして、私は今日も欲しがりをする。


「お義姉様、領地でとれるブルーベリーが欲し~の!」

「この前、食べたでしょう・・・」



「甘酸っぱく大きくて美味しいの~、食べてから眼が良くなったの~」


「メアリー、私は婚約を破棄されたばかりなのよ・・・」



 社交界で領地の産物を紹介している。

 これで領地の価値はあがれば私でもやりようがある・・・

 その時、クラウディア王女殿下が話しかけて来た。



「メンヒル伯爵令嬢・・・」

「クラディア王女殿下、ご挨拶申し上げます」

「良いですわ。その妹殿かしら紹介して下さらない?」


「え、義妹ぎまいですが・・・」

「何故、袖にインクが付いているのかしらね・・・」



 ヒィ、と心の中で悲鳴をあげた。

 クラウディア王女殿下、学園で商業科主席だったと聞く。


「メアリーちゃんなの~、お絵かき大好きなの~」

「フフフ、クラウディアよ。その光方は、最近話題の輪転機かしらね・・」


 バレたか?この異世界にも出来る奴はいるようだ。ひたすら隠れようと思うお年頃だ。



最後までお読み頂き有難うございました。

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