カジュアルBar パズル3rd
カランコロンカラン
鉄の重たいドアを引くと
『しゃうせー』『しゃせー』『させー』
元気がいい
誰もいらっしゃいませなんて言ってない
店内はジャズの用な音楽が流れ、それを誰も聴いてる様子もなく色んな会話が飛び交い客で溢れていた。
店に入って左に曲がると、トイレ
右に曲がると カウンターがあってその中から
『ヨッ!ヒロト!』
カイが声をかけてきた。すぐにわかった見たいだ。
そのカウンターには6人客がいて カウンターは空いてる席はなく
その奥にはボックス席が何個かあって
ここはもともとはキャバクラだった所の居抜き店舗だ。
席の配置、内装がBar ではない。
パズル系列のBar はどこもカジュアルBar だと言ってるが、ほぼサパークラブだ。
店員は皆私服。制服などない。
(店内は、カウンター6席 その後ろにはボックス席が3つ ボックス席の配置が 手前角6人ぐらい座れる席に、真ん中の席4人 奥角も6人ぐらい座れる)
店内は席が埋まっていて、ボックス席などは各々楽しんでいる様子だ。
『おせぇよ。早く来いよ!ノノちゃん帰っちゃったぞ。』
ガサガサの風邪を引いてるような声で
カイがカウンターから出てきた。
『そうなんだ。ノノカ帰ったんだ。でも俺座れるとこないね。』
最初は来るつもりなかったのにおせぇよ。って何か約束でもしてたかのような言いぶりだ。ノノカとも何も約束などしていない。
『イヤ。お前はあっち↑』
カイが指差した方向はカウンターの席
『え?カウンターの客誰か帰るの?
とりあえず生で。』
そう俺はビールを飲みに来たんだ。
『違うよ!お前は中! カウンターの中!』
ガサガサ声カイが、風邪声カイが、頑張って声を出してる。
『なんで?俺今日客じゃないの?』
ガサガサが
『じゃ、客ならボトル入れるか。シャンパン入れてくれよ。今日周年なんだわ。』
ガサガサが
ボトルとシャンパンと周年を強調して声張ってきた。
そうか今日周年の日だ。そうかコイツのガサガサは風邪ではなく、酒やけだ。
そして俺は外で花輪数えて、
3階着いたら生花に鼻やられたんだ。
ヤバい…生ビール呑もうって
居酒屋感覚で来てしまった。
コイツはガサガサの声して、ツレに商売してきた。
『どれくらい、、、手伝えばいい?でも俺カクテルとか作り方…どうかな。覚えてるのもあるけど…』
ガサガサカイが
『オォ手伝ってくれるか!カクテルとかは中の2人に聞くか作ってもらって。俺はちょっとボックスに挨拶行くから』
とボックス席の方にカイは行ってしまった。
あんな風邪引いたような声で挨拶来られても…
で俺はカウンターに入るのね。ってカウンターの左端←から入って左←は厨房で、その厨房を暖簾越しに覗くと誰かが何かを一生懸命作ってる。
そして→カウンターに入ると2人男性従業員さんがいた。
『こんにちは』
真夜中なのに緊張でこんな事いっちゃった。
『あぁどうもマコトです。』←黒髪ゆるふわパーマ 身長175ぐらいのクロブチメガネ細身 身長は俺と同じぐらい
『マコトです』←なんか2回言って来たメガネ男子細身 ↑声高め↑
『よろしくお願いします。ヒロトです。』←真夜中にこんにちはを仕掛ける 身長175 中肉中背 25歳 短髪茶髪
『こんばんわ、タクミです。』←身長180あるかないかぐらい 黒髪ポニーテール 細身 イケメン
『こんばんわ、ヒロトです。よろしくお願いします』←こんにちはなんて言ってなかったように、こんばんわをスッとだす。
声高めクロブチメガネゆるふわパーマと
180ポニーテールイケメンに挟まれながら1年振りの接客が始まろうといていた
始まりかけたその時
マコト君が
『ヒロトさん、よかったらでいいので、厨房の方に洗い物たまってるんです。よかったらでいいので』
何をこのクロブチは言ってるんだ。よかったらいいのでって?
なんか洗い物をよかったらいいので召し上がって下さい。見たいな言い方。なんだよそれ。
『はい。わかりました。洗い物しますね。』
そりゃ素直に聞くさ。接客なんて1年ぶりだし、カクテルの作りも微妙なんだから。
←暖簾をくぐって厨房の中に入って行くと、
床にはシャンパンの空瓶がパッと見て10ぐらい
ワインの空瓶が5ぐらい
俺が来るまでにかなり盛り上がってたんだな。
そりゃこんなに飲んでたら酒やけもするな。
厨房には、注文のオーダーを一生懸命作ってる
50代ぐらい 細身小柄身長160ぐらいの男性がいた。
黒髪 オデコ少し広め
黙って洗い物始めるよりはと思い、
『ヒロトって言います。洗い物しにきました。よろしくお願いします。』
『あん。そこたまってるから、グラスと皿とか早く洗っちゃって』
よろしくお願いします。に、あん。で返すヤツ始めて見た。貴重だ。オデコが広いな貴重だ。
『はい。わかりました。』いい返事をする俺。昼間の現場に比べれば洗い物などなんともない。
グラスや食器などをカチャカチャカチャと洗っていたら、カウンターの方から
『アハハハー』『ヤダー』と楽しんでる声が聞こえる。
『グイグイっ!グイグイっ!グイグイヨシ来い!』クロブチ声高めが楽しそうにコールして煽ってる。
俺は食器達とカチャカチャカチャと楽しくないけど話してるのに。店内に流れるジャズに合わせてるかのように。カチャカチャとカチャカチャと。
あれ?俺何しに来たんだ?
カチャカチャカチャと食器に問いかけるがカチャカチャしか言ってくれない。
『すみません。これもお願いします。』
大量の食器とグラスを運んできたクロブチ
『あぁっはい。』
あぁっの所でマイナスな感情を表現したのだが、クロブチは気にも止めずに大量の食器とグラスをお盆に乗せたまま俺の横に置き
オデコが作ったフードを違うお盆に乗せて、またカウンターに帰って行った。
あれ?手伝ってくれって接客じゃなくて、
洗い物担当? ふと横を見るとオデコがフードを作り終え一段落のように丸椅子に座り、缶ビールを呑んでいた。
ちょっと待てよ。この店に来てから俺何も呑んでないな。
ちょっと待てよ。時給とか聞いてなかったな。
『ワハハハハ』かすれのタクミのばか笑いが聞こえてくる。
そして真横では、グビグビと音を立てて、見せつけるようにオデコが缶ビールを呑んでいる。
なんか急に洗い物してるのがバカらしくなってきた。冷めてきた。
よーし、一旦洗い物中止だ。
よし!一旦俺は客に戻りビールを頼もう。
クロブチに『ビール』って言ってやろう。
よーし、洗い物辞めた、辞めた。
蛇口からずっと流れていた水を止めて、キッチンにあったタオルで手を拭いていたら、
おもむろにオデコが
『自分いくつ?』
スカシながら聞いてきた。何だよそのタイミングは。
『25です』
そりゃ聞かれりゃ答えるよ
『まだ若いな』
そりゃアンタに比べれば若いよ
それを言いたかっただけだろう。
『はい。』
こう返すしか言うしかない俺。
オデコ他に言う事ないのか?
ほらっそっちにボール投げたんだぞ。
見つめ合う
オデコと洗い物担当。
オデコからボールは帰って来なかった。
よし。オデコの相手なんかしてられない。
とりあえずクロブチに『ビール』を言おう。
と、またクロブチが厨房に入ってきた。
なんてタイミングがいいんだ。
クロブチ君が
『内田さん。オーダーお願いします。』
とオデコにオーダーをお願いしている。
そこではじめてオデコは内田という名前なんだとわかった。
よし。俺もクロブチ君にオーダーお願いしよう。
『マコト君だっけ?生ビール頼めるかな?』
よしビール持って来い!
『あ~そういうのはお客さんから頂く物なんで、従業員に言うんじゃなくて、お客さんから頂いて下さい。』
と言ってやったぜの顔をしたクロブチはまたカウンターに帰りやがった。そりゃそうだ。
『お前初めてか?水商売?』
オデコがなんか俺の背中越しになんか言ってくる。
変なボール投げてきた。背中に変なボールをぶつけてきた。
構ってられない、このボールは俺は見えてない。
カイの所行って話しをしよう。
オデコをシカトしつつ、厨房を脱出し、カウンターを通り過ぎボックス席にいたカイを、見つけ。
『あのちょっといいかな?』
『おう!呑んでるか!』
ガサガサかすれは何もわかっちゃいない。
『イヤ。あのちょっと』
と俺が言うのとに被せてカイが
『コイツ高校の時からのツレです。ヒロトって言います。1年ぐらい前まで一緒にやってたんです。今日手伝ってもらってます。』
そのボックス席にいた人達に(どこかのクラブ風の着物ママ、その店のホステスだと思われる2人 その店の客中年男性2人金持ってそう)説明しはじめた。
誰かもわかんない人達に名前という個人情報をコイツはペラペラと。手伝ってるってかお給金も決めてませんよ。
『あら~カイの友達なの?どこかで見たような。何か呑んだら?』
着物ママがなんと素晴らしい事をおっしゃいましたよ。
ママの横にいる金持ち客も頷いている。
ナイスカイ!ナイス着物!ナイス頷き!
『ヒロト。何か呑み物頂いたら?』
ガサガサよ、それを待ってたんだ。
『生ビール頂いてもよろしいでしょうか?』
もちろん着物は
『いいわよ。何杯でも』金持ち頷く
いい台詞だ着物。いい着物だ、わからないけど。
金持ちは頷くだけでいい。
俺はカウンターに行き
『マコト君、ビール、生ビール1つ』
言ってやったぜ。
『え?ビール2つ 生2つ?どこのお客様?』
2つ違うちがう、ちゃんと聞いてよ
『生1つ。オレです。お客様から頂きました。』
よし決まった。やり返した感じだ。少し疲れがとれた。
『自分で生やって下さい。』
と生ビールサーバーの方を指を差して一瞥もくれずに、
犬に行けって指示する人見たいに、指を指した。
そちらですか。そちらにありますか。わかりました。
はい。はい。やります。やります。呑みます。
黙って俺は生ビールをグラスに注いだ。
そうして俺は着物からビール券をゲットして、
1時間位その卓で呑んでいた。何杯も呑んだ。
無料ビールを呑む為、その卓を精一杯盛り上げた。
そして閉店の時間になり最後の客、その卓の着物ご一行様が帰られるので、エレベーターまで見送り、深々と頭を下げて
『ありがとうございましたー!』
手を振る着物。頷く金持ち。
そして、俺も帰ろかと思っていたらカイが
『今日はありがとう。助かったよ。』
何を言うカイ君 僕も無料でビール頂いたよ。
でもお給金の話ししてなかったよね。
『これ少ないんだけど。』とカイがお札のような物を俺のズボンのポケットにくしゃくしゃと入れてきた。
酔っぱらってるからって雑じゃない。
俺も少し酔っぱらってるけど。
って思いながらポケットに入れられた英世を確認したら、
英世ではなく諭吉がいた。
福沢の諭吉がいた。ちょっと酔いが覚めた。
『おい、これは貰い過ぎだわ。俺呑んでただけだぞ。少し洗い物もしたけど』
『いやこれは貰ってくれ。久しぶりに会えて嬉しかったしな。お前面白かったし。』
『それは貰い過ぎだわ。』『いや貰ってくれ』
を3往復した所で俺が
『あっ、じゃ周年に何も持って来なかったからこれはお前に渡すよ』
『何言ってんのお前。それは俺がお前に渡したんだから、俺に渡しても帰ってくるだけだぞ』
うーん俺も酔っぱらってるから訳がわからなくなってくる。
俺が
『じゃこのお金で今からお前の店で呑む』
カイが
『ん~それもな~お前に俺が渡したのに帰ってきてる…』
また同じラリーが続きそうだったんでとりあえず店に戻ろと話しを切り上げ店に戻った。
店に戻るとクロブチは洗い物をしていた。
本来はキミの場所だったのか。
タクミ君は店内の掃除
オデコはクロブチの横で食器類を拭いて並べている。
深夜2時をまわっていた。
かたずけなどは手伝わなくてもいいと言われたが、代行が来るまではと手伝った。
すぐに代行が来たので何も手伝ってないのと同じだった。
そして、家に戻り思い出した。
諭吉を1万円を福沢を貰って帰ってきてしまってる事を。




