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(名前)  作者: Queen
2/2

きっかけ

同じクラスの男の子Rくん。小学校も一緒で、小学6年生から割と遊ぶ仲のいい男の子だった。

遊ぶ回数を重ねる度に、私に好意を持ってくれたらしい。有難いことだ。

私は彼が好意をもっていたことを、共通の友人から聞いていた。その当時、好きな人当てゲームとかが流行っていて、それを使って知っているのにワザと知らないフリをし、回りくどく聞こうとしたりして遊んでいた。

彼は小学生まではポッチャリだった。だけど当時の私は無神経そのものであり、「ポッチャリの男の子は私は無理かな」と言ってしまった。

今思えば最低だ。対して自分も特別可愛いわけじゃない。むしろカースト制度を取り入れたら下位は確実なぐらいだ。なのに、調子に乗っていた私は言った。

すると、中学に上がって部活動の影響もあってか、彼が痩せた。

元々綺麗な顔立ちだったので、痩せてかなりカッコよくなった。周りの女の子もそれに気づき、噂するほどだった。


中学入ってからも、彼とは仲が良かった。まだ好意を持ってくれていて、私に告白してきてくれた。

私は普通に仲良かったし、かっこよかったし、一緒にいて楽しかったから、付き合いたいと思った。

中学1年生、夏。初めての彼氏が出来た。


その当時は携帯を持っている人は少なかった。

だからゲーム内のメッセージ機能を使って、連絡を取り合っていた。

寝る暇も惜しんで、連絡を取っていた。

「大好き」やら「愛してる」やら、中学生が全てを分かったような口ぶりで、愛を語っていた。

今思えば恥ずかしい。だけど、その時はそれが全てだった。


それも長くは続かなかった。

たかが中学生の恋愛ごっこ。その時はそれが全てと思えたことでも、少しすると感情が変わってしまうものだ。

私は薄々感じていた彼の気持ちの変化に耐えられなかった。大好きだった。離れて欲しくなかった。

話をしようと思った。けど、無理だった。


私のこと好き?

なんで最近連絡くれないの?

一緒に帰ろうよ。


もっと、甘えたかった。言いたかった。

でも、言わなかった。

恥ずかしかったし、迷惑をかけたくなかった。

ウザいと思われたくなかった。


そんなある日、彼がもしかしたら違う人が好きになったかも。と言う噂を聞いた。

本人から聞いたわけじゃなかった。だけど、何故か納得いった。

認めたくは無かった。だけど、分かってしまった。


私は別れを切り出そうとした。

けど、別れたくなかった。彼が違う人と歩いていることが耐えられなかった。

だから、私は別れようと言わなかった。

日に日に、彼は私に興味が無くなっていくのが分かった。

少なくなった連絡。交わさなくなった挨拶。遊びに誘われることも減り、私を見る回数も減った。


それでもまだ関係は続いていた。

そんな時に、気づいてしまった。

私に向けていた恋をしている目を他人に向けていることに。私の友達だった。

「ずっと一緒にいるよ」

「愛してるよ」

って言ったくせに。

裏切られたと感じた。

それだったら、別れを切り出してしまえばいいじゃないか。私はもう要らないじゃないか。なんで、付き合っているのか、もっと分からなくなった。

その頃の私には、かなり大きな出来事だった。


6ヶ月付き合って、別れを切り出した。

別れる際彼に聞いた。結局、彼が私のことを好きだったのは、最初の1ヶ月だけだったらしい。

スキンシップは無かった。中学生だから、そんなの分からなかった。何をどうしたらいいのか分からないから、しなかった。


中学生の私はそれが全てだった。

初めて他人に認められた感覚、愛された感覚、必要とされた感覚を知った。それを裏切られる感覚を知った。そこからねじ曲がってしまった。

自分の欲望が弾けた瞬間だった。

私を第1に優先してくれる存在、私を第1に見てくれる存在、私を第1に大切にして甘やかして愛してくれる存在。ーーそれが「恋人」。そう感じた。

その存在に、裏切られた。それは私にとっては耐えられない事態だった。


感情が抑えきれなくなった私は、漫画を取り出した。

漫画を読むことが好きで、彼とも漫画を交換し、読み合ったりしていた。

彼との思い出を忘れられないまま、彼に次に会った時貸そうと読んでいた途中の漫画を見ていた時、漫画の1コマをどうしても真似したくなった。


真似をした。

気持ちが晴れた。

軽くなって、スッキリした。こんなことで、スッキリすると思わなかったが、漫画の中で私の好きなキャラクターがオススメしてたから間違いないと思ったからしてみたら、本当にスッキリした。

私には、革命だった。

その日から、私は自傷行為が癒しの時間となった。

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