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3.青年
この階級制度により反対するものが、増えると思われたが、気候難民を含め、現状に納得のいかない多くの人はそこを”理想”として受け入れた
それでもまだ移住を拒む者たちもいる
犯罪者など、移住を拒む理由は様々だったが、最も多かったのは、電脳世界そのものへの不信感を持つ者だった
特にNEUROSHIFTの計画に関わった研究者の家族の多くが、その不信を強く抱いていた。
なぜなら、家族らが研究者の姿を最後に見たのは、研究に関わり始めた日が最後だったからだ。
だが、拒否は許されなかった。
逃亡者たちは拘束され、強制的に電脳世界へと“転送”される。そして、その際に必ず割り振られるのは――「第4階級」。
「はぁ……はぁ……くそ」
逃げ続けていた1人の青年――
彼も、ついに追い詰められていた。