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終章
タカシが大の字になって伸びている。
「女一人も守れねえお前が俺に勝てるわけねえだろ。」
「そこに穴がある。お前が来る前に掘っておいた。早くとどめを刺せ!」
「そう熱くなるなよ。いつものクールなお前はどこに行った?」とケンが言った。タカシは息が上がっている。
「あの女、お前のこと、つまんねえ男だって言ってたぞ。ベッドの上で俺にそう言ったんだ。」とケンは言った。タカシは何も言い返さない。ケンはわざと急所を外して包丁を刺した。タカシが悶えている。しばらく悶えた後、徐々にタカシの動きが鈍くなってきた。しかしまだ息はあるようだ。タカシが何か言おうとしている。
「分からな・・・った。」
「なんだ?」
「分からな・くなった。。。」
「何が分からなくなったんだ?」
「何も、かも。。。」
「どういう意味だ?」
「答えは、なんだ?」
「はぁ?」
「答えは、なんだ?」
「お前、学校にでもいるつもりか?答えなんかねえよバーカ。」
「そうか、じゃあ、問いは、なんだ?」
「はは、おもしれえ。死ぬ間際の人間ってのはこんなことになるんだな。」そういってケンは包丁で急所を刺した。