挨拶以上天気未満
魔術院では淑女と紳士を含めた7人で過ごしている。
なのに、淑女と紳士は挨拶を交わしたことしかない。7人組の他の男女とは普通に会話できるのに、淑女は紳士とは挨拶以外で話をしたことがない。
7人組の他の男女もそのことには気づいているようで、なんでもいいから淑女と紳士を親しくしようと計画していた。
淑女と紳士は互いのことが好きなことは、なんとなく周りはわかっていた。
淑女と紳士は天気の話題なら無難だと信じていたから、周りが気を利かせて、いつもの魔法の話ではなく、天気の話をしてみた。
淑女と紳士は天気の話をするようになって、婚約することになった。
この国では婚約する人とは挨拶以外での初めての会話は晴れた空の日に天気の話をするのがいいとされる。
そうすると必ず新婦と新郎になって正装をする日は見渡す限り空が青くなると言われている。
そして、本日。
淑女と紳士は正装をして、遮るものがない晴れ晴れとした空の下で新婦と新郎として多くの人々に祝福された。