竜罪
目の前で銀色に光る剣が振り下ろされる。あまりの速さに受け止めるのがやっとだ。
ついに剣を持つ力もなくなってきて剣を受けた衝撃で地面に倒れこむ。
「ここまで!」
僕は倒れこんだまま、つい先ほど自分を倒した男の方を見る。
身長は高くかなり鍛え上げられた筋肉が見える。
「おいおい、大丈夫か」
男はそう言いながら笑って自分の手のひらの二倍はありそうな手を僕の方に差し出してきた。
「……大丈夫だよ、お父さん」
僕はすこしむすっとしながら手を掴んで立ち上がった。
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ここはマガレット大陸にあるベイン王国領。
僕はその辺境の地であるバラー村に住んでいる。
僕の名前はクリス・ガーメント。
父親のあこがれの人の名前からとってきているらしく、あまり悪い気はしない。
小さいころから内気な性格というのと小さな村だということもあり友達というのがあまりいない。
ただ自分でも行動力はある方だと思っていていつも何かを思いついたら一度はやってみないと気が済まないのだ。
この前森に生えていた奇妙な形をした草のことが気になって食べてみたのだがすぐにぶっ倒れてしまった。
そのあと母親からフラメール草という毒草なのだと怒られながら聞いたのだがこのこともあって、食べる前に調べてみる習慣がついた。
しかし魔物のことになると話は別だ。
この世界にはたくさんの魔物がいるから自分の身は自分で守らなくてはならない。なにも知らずに挑むのは自殺行為だとされている。
基本的には学校に通って身を守る方法を学ぶのだが、一番近くの学校があるベイン王国でも歩いて三日もかかる。
だから僕は両親から最低限の生き抜くすべを学んでいる。
先ほどのも訓練の内の1つだ。人には適正というものがあり学校で学んでいるうちに剣か魔法かの適性のあるものを見つけることができる。
そして見つけたものを生涯使い続けることになる。
魔法と剣の両方を使おうとするとどちらもほとんど使いこなせないことになるからだ。
僕の場合は剣だった。そのため父親に剣の修行を付けてもらっているのだ。
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「かなり剣筋はよくなってきているぞ」
父親は剣を鞘に納めながら嬉しそうに話す。
「これなら並大抵の大人には負けないだろう」
父親の名前はダインバーク・ガーメント。僕はダインと呼んでいる。
特徴はなんといってもその筋肉、とくに腕は大木のように太い。父親いわく王国で三本の指に入るとされるほどの剣士だったらしく剣を当てることができればだいたいの大人に勝てるらしい。
「ダインが強すぎるんだよ」
僕は不満ありげな顔でそういった。
「ちょっとくらい手加減してくれてもいいのにさ」
そういった後に遠くから声が聞こえた。
「クリスー! そろそろ帰ってきなさいよー」
「やべ、長くやりすぎたな、早く帰らないと怒られるぞ」
焦ったような顔で笑いながらダインは言った。
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急いで修行場所から家まで帰った。
家はお世辞に大きいとは言えないが三人家族で住むには十分すぎるほどの大きさだ。家の前には畑があり木も植えられている。
母親は手を振りながら畑の横に立っていた。
「お昼食べるわ……って、ケガしてるじゃないクリス、今すぐ治すから手を出して」
そういうとなにやら術を詠唱し僕の腕に触れた。するとすぐに腕にあった切り傷がまるでケガなどなかったかのように治ってしまった。
母親の名前はアリス・ガーメント。
彼女は元冒険者の魔法使いで、特別優れているわけではないようだがだいたいの魔法は使えるそうだ。
ダインとは冒険の途中でベイン王国へ訪れた際に出会ったらしい。
ダインから惚れて最初は付き合うのを断っていたらしいが、何度も告白されるうちに惹かれていったと聞いた。
お母さんは子供の目から見てもかなりの美人だと思う。特にほかにあまりいない美しい金髪が特徴的だ。
ダインはよくお母さんと結婚できたなと思ってしまうほどだ。
「まだクリスは子供なんだから無理させないでって言ってるでしょ」
すこし顔を膨らましながらアリスは言った。
ダインは申し訳なさそうに頬をポリポリと搔いている。
「僕は大丈夫だよ、あんまりダインを責めないでお母さん」
僕も手加減はしてほしいと思っているが、しゅんとなっているダインを見てそう言った。
両親の中が悪くなるのはごめんだ。
「おまえはほんとにいい息子だよぉー」
そういいながらダインは俺に抱きついてきた。すこし汗臭い。
「……もう!」
そういいながらお母さんも笑った。
これが僕の家族だ。
何不自由なく暮らしているし修行はちょっとしんどいけど毎日が充実している。
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お昼を食べた後僕は近くにあるカルディアの森に行った。
いつも午前中は修行をしていて午後は自由なのだ。
迷いのない足取りで僕は森の中を進んでいく。僕は森が好きだ。
森の中は村よりも涼しく心地が良い。
そしてなにより……。
「わん、わん、わん!」
「やっとみつけたぞ、元気だったかー?」
動物がいるのだ。
人間と違って動物は純粋だ。
そしてかわいい。
人はすぐに嘘をつくし動物と違って何を考えているかが全然わからない。そのためほとんど両親としか話さない。
この生き物は頭に角が生えていて白い毛並みのモフモフした生き物だ。
パウと僕は呼んでいる。
触り心地がとてもいい。
「食べ物をもってきたぞ、食べるか?」
パウの大きさに合わせてしゃがみながら言った。
「食べる!」
尻尾を振りながらパウは答えた。
実は僕は動物と会話ができる。
物心がついたときからずっとそうだ。
生まれつきなんだろう。
このことは両親にも言っていない。
あまり余計な心配をかけさせたくないのだ。
ただでさえ心配性なお母さんが、ほかの子にない能力を持っていると知ったら気絶してしまいそうだ。
街に行ったとき本で調べてみたのだが昔にそういう人がいたらしいということ以外詳しいことは書いていなかった。
特別このことで困ったこともないし何より話す相手が家族以外いない僕にとって動物は唯一の話し相手でもあるのだ。
「美味いか?」
一心不乱に冷蔵庫からくすねてきた肉を食べているパウに言った。
気づけばもうほとんど食べ終わっている。
「美味かった! いつもありがとな!」
そう言いながら丸々とした目を向けて話し、また森の中に帰っていった。
毎日行くと両親からなにか疑われるかもしれないから一週間に1回だけはいつも森に来て餌を上げているのだ。
これが僕の癒やしの時間だ。将来は動物に囲まれて生きるのも悪くない。
「よし、そろそろ帰るか」
そう言いながら立ち上がる。
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帰る道中村人たちがなにやら慌ててどこかに向かっているのが見えた。
どこに行くのか聞いてみると、村長が村の広場に村人全員を集めているらしい。
なにやら嫌な予感がする。
村長が村人を集めるときはいつも悪い話だ。
前、集められたときは村が財政難に陥ったかなんかで銀硬貨の寄付を求められたりもした。
今回はお金関係じゃなきゃいいんだが。
その後広場にいた両親と合流した。
ふたりとも集められた理由を知らないらしい。
少し待つと村長が現れた。
村長はもう年のようで杖をついてゆったりとした足取りで歩いてきた。
いつもは優しい顔をしているが今日はかなり険しい顔をしている。
「王国から伝令があったんじゃ、それを皆に伝えようと思う」
村長はそう言った後伝令を話し始めた。
なにやら竜が二匹ベイン王国領内に現れたらしい。
そのうち一匹を捕まえたがもう一匹を重傷を負わした後逃がしてしまったと。
その逃げ込んだ先がカルディアの森らしい。
王国軍が討伐に向かっているので安心しろと言ってはいるが表情が深刻そうだ。
村長がそう言い終わるや否や村人たちから悲鳴やどよめきなどが起こり始めた。
引っ越した方がいいのではないかなどを口々に話している。
お母さんなんかは恐怖で顔がひきつっている。
それもそのはず、竜は1000年以上前に絶滅したとされている伝説の生き物だ。
竜は災害のような生き物だとされていて、1匹で1つの国を滅ぼせるほどの力を持つそうだ。
その強大すぎる力を恐れた昔の人々が存在自体をタブーとして竜を滅ぼしたとされている。
そんな生き物がまだ生きていると知りしかも村の近くに逃げたと知れば恐怖するのは無理のないことだ。
だが僕はそんな村人たちとは反対で目を輝かしている。
顔が熱くなるほどに興奮している。
生き物好きの僕にとっては竜というのは本の中でしか聞かない憧れの生物だ。
一度は見てみたいと何度思ったことか。
明日の午後、森に行って竜を探しに行こうと僕は心に誓った。
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次の日の訓練の後僕は竜を探しに森へ向かった。
念の為、剣と光石という明かりの代わりになる石を持って出かけた。
森の中は静かでこんなところに竜がいるなんて思えない。
本当にこの森に逃げ込んだのだろうか。
竜がいたというのも少し大きな鳥を討伐したというのが誇張されて広まったのかもしれない。
そんなことを思いながら森の奥へ進んでいると急いでいる様子で走っているパウと出会った。
相当慌てていた様子で身体には泥や小枝などがついている。
「どうしたんだ?」
「はぁ、はぁ、……どっ洞窟に……化け物が」
息を切らしながらパウは言った。
まさか本当に竜がこの森にいるのかもしれないな。
洞窟といえば森のかなり奥にあるはずだ。
これは夜までに帰れないな。 そう思いながら洞窟に向かっていく。
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かなり洞窟に近づいてきた。
だんだんと空が暗くなってきているがあと5分ほどで着くだろう。
洞窟に近づくにつれて思うことがある。
それは……。
「魔力濃度がかなり高いな……」
お母さんによるとどんな生物であろうが少しずつ魔力を放出し続けながら生きているらしい。
その人が持っている魔力量によって放出する量が変わる。
だがこの魔力量は異常だ。
魔法使いでもない僕がこんなにも魔力を感じることはないはずだ。
竜というのはそれほどまでに強大な生き物ってわけか。
パウはいつの間にかいなくなっている。
この魔力に耐えられる種族ではないのだろう。
なんか怖くなってきたな。
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洞窟に着いた僕はまず光石を置いていく。
もう夜になっていて真っ暗だがこれ1つでかなりの範囲を照らせるはずだ。
洞窟はかなり広くて光石を置いていても天井が見えない。
前が見えなくなったら光石を置き、暗くなるまで進むというのを何度も繰り返し進んでいく。
進むほどに魔力濃度が上がっていっているのがわかる。
本当にこの洞窟に竜がいるようだ。
一時間ほど経っただろうか。
普段からよく家へ帰らずに森で遊ぶことが多いから、両親はあまり心配していないだろう。
ただ明日の朝くらいには帰らないとさすがに心配されてしまう。
竜が出たとなるとなおさらだ。
子供というのは欲求に勝てない生き物なのだよ。
ダインだって子供の頃よく夜にこっそり家を出ていたらしいし親子は似るものだな。
そんなことを思っているとかなり開けた場所に出てきた。
ここが最深部らしい。
ここに来るまで魔物に出会わなかったがこれも魔力のせいだろう。
それはそうとなんかここに来てから急に温かいな。
生ぬるい風がずっと吹いている。
とりあえず光石を投げて竜を探すか。
そう思い光石を投げると何やら硬い壁にあたって跳ね返ってきた。
「あれこんなところに壁なんかあったっけ」
そう言ったあとにふと上を見てみると大きな目がこちらを覗いていた。
「ここで人間がなにをしている」
低く唸るような声で大きな目の主が言った。
竜であった。
どんな攻撃をも跳ね返しそうな鱗に一振りでだれでも切り裂けそうな爪、そして僕なら一飲みできる大きな口。
竜に憧れていたといっていたのは嘘ではない。
ただ実際に本物の竜をみるとその威圧感に腰を抜かしてしまいそうだ。
「子供か、なら追手のものではないようだな」
とりあえずすぐに殺されることはないらしい。
ならばまずは会話をしてみよう。
「は、初めましてクリスといいます、あなたのことが知りたくてここに来ました」
まずは挨拶からだ。敵意がないことを伝えないと。
「何! こいつ竜語を話すのか、殺すか」
あれ、もしかして失敗してしまったか。
まずい! このままじゃ殺されてしまう。
どうしたら敵ではないと信じてもらえるんだ。
「ちょ、ちょっとま……」
その時僕は気づいた。
光石によって照らされている体はぼろぼろで血が噴き出している。
そういえば逃がした竜は重傷を負っていると聞いたな。
ここは治して信用を得ることにしよう。
体を治してあげるから殺さないでと言ったら思っていたよりもすぐに了承してくれた。
最初は絶対に殺してやるという剣幕だったが、治してもらわないとそのまま死んでしまうということをわかっていたのか僕が治すことに賭けてくれたみたいだ。
お母さんに応急処置くらいの治癒魔術は教えてもらっていたので、それを使い痛みが和らぐくらいには治してあげた。
竜は僕が治したことを確認するとすこし落ち着いたみたいだ。
「私の体を癒してくれたこと、感謝する」
「い、いえ。けがをしているものを治すのは当然です」
治さないと殺されそうだったからな。とはいえこれで信用を得たみたいだ。
「人間、おぬしの名はなんという」
「クリス・ガーメントといいます」
竜はすこし考えるそぶりを見せた後言った。
「そうか、クリス。信頼できるお主に1つ頼みがある」
なんだろう。
傷を治したくらいで、頼みごとをするくらい信用するのは早いんじゃないだろうか。
もちろん憧れの竜に頼みごとをされるのはうれしいのだが。
なにか考えがあるのだろうか。
「捕まった私の息子を助けてほしい」
予想外の頼みだった。
僕はただの村人である。
いくら憧れからの頼みといえど無理難題である。
「そ、それは難しいと思います。王国に竜が一匹捕まったという話は聞きましたが、僕はあなたが思うほど強くありません。あなたが行ったほうが助け出せる可能性は高いと思います。」
「私が助けに行くことはできない」
「どうしてですか?」
「ベイン王国は1000年前の戦争で竜族を滅ぼした国だ。その時勇者にかけられた防御結界が王国に張られているため、中に入ろうとすると体が崩壊してしまう。そのため、人族であるお主に頼んでいるのだ。」
なるほど。自分は王国へ助けに行けないが、いつ捕まった竜が殺されるかもわからないため少しでも信用ができる僕に藁にもすがる思いで頼んでいるのだ。
しかし無理なものは無理である。助けたいのはやまやまだが、ここは丁重にお断りさせていただこう。
「すみませんが僕にはどうすることもできないのでお断り……」
「断られたりしたら私は口封じのためにお主を殺さなければいけなくなる」
……こんなのどうしようもないじゃないか。
「や、やらせていただきます…………」
ほとんど強制だが、僕が竜を助けに行くことが決まった。
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ひとまず僕は家に帰った。
旅の準備を整えないといけない。
両親には心配をかけてしまうと思うがこっそり王国へ向かうことにする。
最低でも一週間ほどの旅になると予想される。すこしでも早く着くために明日、日が昇る前に出発しようと思う。
ダインはともかくお母さんは心配でおかしくなってしまうかもしれない。心配するなと手紙だけは書いていこう。
今日は疲れた。いつも同じような日々を過ごしていた自分からすればとても刺激的な日だった。
手はまだ恐怖と興奮で震えている。明日出発するのにあまり寝れなさそうだな。
朝、僕は両親を起こさないようにしながら家の外に出た。
空気がひんやりとしていて気持ちがいい。まだ空は暗いが少し歩けば明るくなってくるだろう。
王国まで一人で行ったことはないが、お母さんに連れられて行ったことが何度もあったので道は覚えている。というよりほとんど道なりに沿って行けば王国まで一本道で行けるのだ。道に迷うことはない。
半分強制のような形で決まった旅だが、内心ではかなりわくわくしていた。初めて村から離れたところに一人で行くのだ。自分の憧れを助けに行くと聞いて、わくわくしない男はいない。ただ気を引き締めないといけない。当たり前だが僕が今からすることは犯罪行為で捕まればどうなるかは想像にかたくない。
不安なことはたくさんあるが僕の旅は始まった。
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王国に向かい始めて二日ほどたった。
旅の休憩所に来た。王国周辺の道にはところどころ簡易的な休憩所があるのだ。周りにはほかにも旅をしている人が多くいる。今日はここで寝ることにしよう。あと一日ほど歩けば王国に着くだろう。
焚火の近くに座り、休もうとしていると遠くのほうから馬に乗った百人ほどの軍が向かってきているのが見えた。人が持つにしては大きすぎる槍のような武器や怪しげな光を纏っている鎧などを着ている。
「ありゃあ王国軍だ。噂によるとあいつらは任務に忠実で、任務のためなら子供や女でも容赦なく殺すらしいぜ」
あー怖い怖い、などと言いながら近くに座っているおじさんが話しかけてきた。
「兵士たちが付けているあの装備はなんなんですか」
「あれは対竜属性のついた魔法装備だよ。ベイン王国だけが持っている特殊なもんで1つ作るのにかなりの金がかかるらしい。最近噂の竜とやらを討伐しにいくんだろうよ」
なるほど。あれほどの竜が重症を負うとはどれだけ王国が強いのかと思っていたが、あの装備を使って攻撃をしたのだろう。魔法装備には様々な種類があるが物によっては元の十倍以上のダメージを与えるものだったり、ほとんどの攻撃を弾いてしまうものもあるらしい。そんなものでやられたのなら納得だ。
しかし思っていたよりも早い。あれだけの軍を動かすとなると完全に竜の場所は見つかってしまったと考えて良さそうだ。もともとは慎重に情報を集めてできるだけ安全な方法で助け出そうと思っていたが急がないといけなさそうだ。少し危ないがあの方法を使うしかなさそうだ。とりあえず今はこんなところで休んでる暇はない。早く向かわなければならない。
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途中で馬車に乗せてもらうことができたため半日もせず王国につくことができた。
王国は周りを大きな城壁で囲まれていてその大きさはだいたい25メートルから30メートルはあるだろう。そして昨日建てられたかのようにきれいで崩れているところはおろか苔むしているところさえも見つからない。おそらくなんらかの魔法がかけられているのだろう。
城壁の上には屈強な兵士たちが虫一匹すらも通さないというような剣幕で見回りをしている。
僕はここに来るといつも感嘆の息を漏らす。ベイン王国はマガレット大陸で一番の大都市だ。そのため大抵の男はベイン王国の兵士になることを夢見る。
今回は気を引き締めないといけない。
この城壁から出る方法を考えなければもし助けてもここから出ることができない。竜によると王国には防御結界が張られている。魔法使いが常に張っているわけではないためどこかに魔力を大量に放出し続ける魔力結晶があるはずだ。
それを壊すか無力化しなければ結界が解けることはないだろう。
魔法使いなら魔力探知をして魔力結晶と竜の位置をすぐに割り出すだろうが僕は魔力探知がほとんどできない。
そこで僕は王国に入って探し物のためすぐに人気が少ない路地裏に入った。そこには思っていた通りねずみがいた。そのネズミに話しかけて王国中のネズミをここに呼んでほしいと頼んだ。
これが僕の思っていた危険な方法だ。
大量のねずみに王国中を探し回ってもらって竜と魔力結晶の位置を見つけてもらうのだ。ただこの方法はネズミだとしても相手の魔力探知に引っかかってしまう可能性が高い。
そのためほとんどの王国軍が竜を討伐に向かっている今しかこの方法は使えない。おそらく王国軍はこの異変に気づくだろうがそれまでに竜を助け出すという作戦だ。
30分ほどたったときにはかなりの量のねずみが集まってきた。そこでねずみたちに作戦を教えて散ってもらった。ねずみの量が多いとはいえ王国内はかなり広いため時間がかかる。
竜は禁忌のような扱いだから人がほとんど来ないところにいるだろう。そのためほとんどのネズミたちには王国の中心にある王宮の地下のほうに向かってもらった。あんな大きな生き物を隠すのだとしたら地下が一番見つかりにくいだろう。
ねずみから情報が来るまでに少しでも準備を整えないと。
気がつくと空がだんだん暗くなりつつあった。そんなときやっとネズミが僕の前に現れた。
「やっぱり王宮の地下に竜が閉じ込められていたよ」
「魔力結晶はどこにあるか分かったか?」
「竜の場所は兵士が話しているのを聞いただけで魔力結晶の位置は王宮の中に入ることができなかったのでわからない」
これはおそらく自分のように動物を使って、中の情報が盗まれるのを防ぐためになにか別の結界が張られているらしい。
魔力結晶は自力で見つけるしかないがとにかく時間がない。
とりあえず魔力結晶を探しながら竜の囚われている場所までいこう。
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王宮は警備が少ないからかなんとか入り込むことができた。
ほとんどの兵士が王国から出ているとはいえ拍子抜けだったな。最悪の場合戦うことも視野に入れていたがそうはならなそうで良かった。
王宮の中は静まり返っている。
ここはエントランスだろうか。王宮の床に使われている白い大理石が不気味な輝きをまとっている。黄金で作られているシャンデリアや赤いカーペットが自分のような庶民に似つかわしくないことを告げているようだ。
似たようなところで村の教会があるがそんなところとは比べ物にならないほどすべてが美しく洗練された作りになっている。
歩くとコツコツと音が鳴る。まるで自分が王様にでもなった気分で気分がいい。こっそり侵入しているという状況でなければもっと良かったが。
とにかく、感傷に浸っている場合ではない。一刻でも早く竜を親の元に帰してやるという使命があるのだ。
しかし困った。あまりにも王宮が広すぎて地下への入り口がわからない。しらみつぶしに探すと間に合わなくなってしまう。そう思いながら足を踏み出した瞬間ブゥンというにぶい音が聞こえ足元に紋様が浮かび上がってきた。
「まずい!」
そう言い終わるときには周りの景色がさっきまでいたきらびやかな場所ではなく真っ暗な空間に変わっていた。
突然の変化に動揺を隠せず冷汗がにじみ出てくる。一度、深呼吸をして冷静になろう。
さっきのは魔法陣だ。おそらく一定の範囲内に入った人を指定された場所にテレポートさせる魔法が込められているのだろう。
テレポートさせる魔法陣は乗ったことも見たこともないがそんなものがあると村へたまに来る魔法使いが
言っていたような気がする。
そしてここがどこかというのは不明だ。なぜあんなところに魔法陣があったかということも不明だ。とにかくわからないことだらけだ。
そのためまずは情報収集からしなければならない。
光石を投げて明かりを確保すると岩肌が見えた。どうやら僕は地下に飛ばされてしまったらしい。
それならば好都合だ。地下への道を探す手間が省けた。
その時、突然ぎいっと扉の開く音が聞こえたかと思うと目の前の岩肌が真っ2つに割れてその奥から光が漏れ出してきた。岩の奥には広場のような空間があり壁にはたいまつがかけられていてすこし薄暗いような明るさだ。
そして奥を見ると竜がいた。
前に見た竜よりかは1回り小さい体に木のように大きく太い鎖が何重にも巻かれている。体中に傷があり血のしたたり落ちている様子は目を背けたくなるほど痛々しい。
それを見るとふつふつと怒りがわいてきた。どうしてこんなひどいことができるのだろうか。いくら災害級の生き物だとしても殺すことをせずに拷問、いやあれは実験か。
よく見ると何に使うのかわからない器具や注射などが竜のそばに置いてある。その器具によって何が行われてきたのかを想像するとさらに腹が立ってくる。
その時一人の男が広場の中心に現れた。その瞬間、広場はとても明るくなり一番奥までみえるようになった。
「よく来たな、賊よ」
「この竜に何をしている。答えろ!」
「そう熱くなるな賊、いやダインバークの子よ」
突然出てきた父親の名前に先ほどまでの怒りが消え、頭の中は驚きでいっぱいになった。
なぜこいつは父親の名前を知っているのだ。なぜ僕のことを知っているのだ。こいつの目的は何なんだ。
「私は王国軍軍隊長のグリモスだ。お前がここに来ることはずっとわかっていた。おまえは思ったよりも簡単に侵入できたと思っただろうがこれはすべて私がお前をここまで誘導したにすぎないのだ」
「なぜそんなことをした!」
「お前の父親には少々恨みがあってねぇ。あいつの息子が来ると分かったときには竜を守るという任務のことなど頭からすっかり消えたよ」
そう言った男の目は憎しみと狂気に満ちていた。その目を見て僕は背筋が凍るような感覚が体中を襲う。
「あいつと俺は王国で一位二位を争うほどの剣の達人だった。この国の軍隊長は戦いで決めるのだが、おれはあいつに敗れ軍隊長の地位はやつのものになった。だがあいつは突然女ができたからと言って軍隊長の地位を降りやがった。私に敗北という屈辱を味わわせたあげくにやめるだと! ここまでコケにされることがあるか! だからお前を少しでも惨く残酷に殺し、あいつに死体を見せてやる。そのためにさんざん根回しをしてお前がここに来るように仕向けたのだ」
そういうとグリモスは長剣を鞘から抜き放ちこちらに走ってきた。
すぐさま相手の攻撃を剣で払う。
冷や汗が背中を流れ落ちる。あと少しで腹を切られていたところだった。
グリモスは冷酷な顔に少しだけ驚きの色を走らせる。
「さすがはダインの息子だ。少しは剣が使えるらしい」
そういいながら相手は攻撃の手を休めない。
こちらが攻撃をする隙を与えない戦い方はダインと似ている。
しかし今回の相手は自分を殺すために剣を振っている。訓練とは違いしっかりと急所を狙って攻撃を仕掛けてくるため、そこを意識して戦うというのは心身がすり減る経験だ。
すこしでも隙を見つけて反撃をしないといつかは体力的に限界がきて敗北してしまう。
「このままではらちが明かんな。すこし力を加えるぞ」
そういうや否や岩がのしかかってきたのではないかと思うほどの衝撃が剣に走り腕ごと地面へ叩きつけられた。
なにが起きたか理解するよりも早くグリモスの蹴りが自分の腹に突き刺さる。
バキバキと骨が折れる音と同時に体は遠くに吹き飛ばされた。激痛で悲鳴が上がりそうな体を必死に起き上がらせるが思うようには動かない。
「ふっ。ふっ。ふっ……」
短く荒い息を繰り返す口からは血が流れている。
そのとき、近くから聞き覚えのない声が聞こえてきた。
「上だ! 上を見るんだ!」
その声の主を確認するよりも先に痛む体を動かして天井を見てみる。
天井はガラス張りになっていて部屋のようになっている。
その奥に水色の大きな結晶があった。
あれこそが探し求めていた魔力結晶だ。ただその大きさが異常だ。
普通の魔力結晶と比べてそれは何十倍にも大きく、まるで家のような大きさだ。
「あれを壊せば対竜属性のついた装備の効果はすべて消えるのだ。俺の体に巻き付いている忌々しい鎖からも解放される」
そう言う相手を見ると予想はしていたが声の主は竜であった。
「は、初めまして。あなたを助けに来ました」
今にも倒れそうでぼろぼろな体だがあと一歩のところまで来たのだと、激痛に負けそうになる心を奮い立たせる。
「はっはっはっ。お前は竜語を話せるのか。魔力結晶の場所を見つけたからといって私がいる限りどうにもならんよ」
そう言いながらグリモスは距離を詰めてくる。
その通りだ。
グリモスと自分の間にはどうしようもない差がある。勝つことは絶対に無理だろう。
だからこそ一か八かの方法に賭けるしかない。
竜にその方法を伝えると竜は笑った。
「お前にとって関係のない俺にそんなことをするとは。面白い。わかった、その心意気に応じて協力してやろう」
その言葉を受けて懐から瓶を取り出す。
そしてそれを割ると中から大量の蛇が出てきた。
これは魔法瓶で中に入っているものは魔法の影響を受けない瓶だ。
その効果により人間以外の動物が入れない結界の張ってある王宮に生き物を持ち込んだのだ。
蛇たちにグリモスを襲うようにと合図をする。蛇は一直線にグリモスのほうに向かっていくがほとんどは到達する前に切り伏せられる。
だが少しの時間稼ぎはできた。その間に竜の元へ行き、尻尾に上っていく。
「お願いします!」
その瞬間、尻尾が大きく動き僕の体は空中に大きく吹き飛ばされた。
そのまますごいスピードで上がっていくかと思うとガラス張りの天井を突き破った。
それでも勢いは落ちずにさらに上の天井にぶつかりガラス張りの床に叩きつけられた。
床に叩きつけられた衝撃は背中から突き抜け、腹部を揺らす。
下を見ると蛇をすべて殺し終えたグリモスがなにやら詠唱をしている。
時間はあまり残っていないらしい。
数メートル先に魔力結晶が見える。激痛により失いそうになる意識を必死に手繰り寄せる。
今意識を失えばすべてがおわりだ。
永遠にも思えるような数メートルを必死に這い進んでいく。
「くっ、がぁ! ぐぅ、ぐぐ」
うめき声にしか聞こえない声を上げ、意識を保つ。そして魔力結晶が手に届くところまでやってきた。その時、ブゥンと聞き覚えのある音が聞こえた。
---
「残念だったな。竜の尻尾を使ってこの場所まで来た時には驚いたがもう悪あがきはおしまいだ」
もう暴れる力もない少年の首をつかみ上にあげる
。致命傷であり、死ぬのは時間の問題だ。
だが、グリモスは自分の手でとどめを刺したいのだ。
剣を振り上げとどめを刺そうと少年の顔を見ると、笑っていたのだ。
グリモスからすればこの少年にできる限りの絶望や恐怖を与えて殺すことでダインバークへの復讐になると考えているのだ。
しかし、目の前の光景はグリモスの想像していた顔とは程遠い顔をしている。
「な、なぜ、笑っているのだ?」
気持ちが悪い。この状況で笑っている少年がグリモスの目からすれば気味が悪かった。
「何か答えろ!」
すると異様な光を纏った鋭い眼光を向けられ、一瞬だけ息を飲む。
そのとき、グリモスが感じたのは恐怖だった。
覚悟を決めた少年の目に恐怖を感じたのだった。
怖い人間というのは強い人間や技術がある人間などではない。
家族を守る父親、子供を守る母親、女を守る男、相手を守ると覚悟をした人間が一番怖いのだ。
それだけではない。この少年からは不気味な何かを感じ取ったのだ。
だがすぐに我に返り、その瞬間に襲ってきたのは羞恥心だった。
こんな少年相手に、王国軍軍隊長であり王国一強い男である自分が恐れを抱いたなど、認められるはずがなかった。
「この糞餓鬼が! 死ね!」
グリモスは剣を振り上げる。
だが殺すことに意識を支配されていたグリモスは首を持ち上げている手の力が緩んでいることに気が付かなかった。
---
僕は最後の力を振り絞りグリモスの体を思いっきり蹴った。
すべてがスローモーションのように感じ、グリモスの表情もよく見える。
その瞬間のグリモスは理解ができないといった顔をしている。
まだこんな力があったことに驚いているのか。自分でも驚いている。
ただ、やらなくてはいけないと感じたのだ。
体をねじり手に持っているものを振り上げる。
これは尻尾で上げてもらう前に竜からもらった鱗である。竜の硬度をもつ鱗なら魔力結晶を破壊できるだろうと思いもらってきたのだ。
それを振り下ろし魔力結晶に突き立てた。
青い光が漏れ出してきたかと思うと光が濁流のように押し寄せてきた。
それに吹き飛ばされた僕はまたもや意識を失いかける。
少し離れたところでグリモスがなにやら小さい石に向かって話しているのが見える。
そしてこちらに叫びながら向かってくる。
「これはこの国の秘宝だぞ。なんてことをしやがった餓鬼が! 殺してやる!」
もう体は少しも動かない。
死を覚悟した。
その時、ガラスが割れる音とともに巨大な口がグリモスの下から現れグリモスの姿が消えた。
それは鎖による拘束が解け自由になった竜の姿だった。
漆黒の鱗が王宮へ入った時に見たシャンデリアのように輝いて見える。
さっきまであった傷は自己治癒によってすでに治っている。
ずっと動いていなかったのか、固まった体をほぐす姿は世界の王者といってもいいほどに美しくかっこいい。
「よくここまでやってくれた。感謝をする」
そう言いながら鋭い爪でその太い足を少し切った。そして流れ落ちる血をすくいこちらに差し出してきた。
「これを飲むんだ。竜の血にはすべての傷を治す力があるのだ。やつらはこの力を狙って俺を捕まえたのだ」
動けない僕の喉に竜は無理やり血を流し込んだ。竜の血が血液中に流れ込む感覚がした。すると体中を走っていた痛みが消え、疲労感などもなくなっていた。
「改めてお前に感謝をする。名前はなんというのだ」
「クリス・ガーメントといいます」
「クリスか、いい名だな。早速だが母のもとへ向かおう。クリフは母に頼まれて俺を助けに来たんだろう」
「そうです。今王国軍があなたの母を探しています。早くいかないと手遅れになってしまう」
「俺の背中に乗れ。送って行ってやろう。振り落とされるなよ」
竜は僕を背中に乗せて飛んだ。飛ぶ経験は初めてのことだった。
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一時間ほどで村の近くまでやってきた。
ただ何かがおかしい。まだ夜のはずなのだが村の方面が異常なほどに明るい。
すると竜の飛ぶスピードが上がった。
しっかり鱗をつかんでおかないと振り落とされそうだ。
「急にどうしたんですか?」
「母の魔力がかなり弱くなっている。急がないと間に合わなそうだ」
「そうですね。その前に僕を村におろしてほしいです。なにか嫌な予感がします」
村に着き竜と別れたがそこはもう知っている場所ではなくなっていた。
たくさんあった家や広大な畑はすべて炎に包まれていた。
村の中には火をつけて回っている兵士たちが見える。
その光景を見て僕は膝から地面に崩れ落ちた。
まさかさっきグリモスが話していたのはこのことだったのか。
いや、今となってはそんなことはどうでもいい。
ダインは、母さんは無事なのか。
そう思い村の中心にある広場を見るとたくさんの丸い物体が無造作に転がっている。
あれが何かということを確認するのは本能が拒絶していた。
だが確かめなければいけないような気がした。気が付くと走り出していた。
広場に着くとその物体の正体がわかった。
首だ。
村人の首が捨ててあったのだ。その中にはダインと母さんのものもあった。
「おげぇぇぇぇ!」
唐突に嘔吐をしてしまった。
ほとんど液体の吐瀉物がバチャバチャと大地を叩く。
零れ落ちる涙と嗚咽は止まることを知らないようだ。
この気持ちがなんのかは自分でもわからない。
怒りなのか悔しさなのか無力感なのか。
ただひとついえることはダインと母さんは死んでしまったのだ。これだけはどうしようもない事実なのだ。
だんだんと周りの兵士が集まってきた。皆殺しにしろと命令が出ているのか全員が剣をこちらに向けてくる。
僕は震える足で立ち上がった。そして目の前の兵士を殴り剣を奪った。そこまで強く殴ったつもりはないが兵士は十メートル以上吹き飛んでピクリとも動かなくなった。初めて人を殺した。だがそんなことはどうでもいい。
「僕は……俺は、人間が嫌いだ。全部壊してやる」
そのあとのことはよく覚えていない。気が付けばその場にいた兵士はみな地面に倒れていた。
息をしているものはだれもいない。
神経が張り裂けそうなほど感情が高ぶり無我夢中で剣を振り回していたのだけは覚えている。
すると竜が戻ってきた。
「間に合わなかった。母はもう死んでいた」
「そうか。こっちもだめだった。みんな死んでいたよ」
そのことを口にするとまた涙があふれてくる。少しのあいだ沈黙が流れた。
「クリフ、さっきのお前の力は竜の力だ。俺の認めた相手が血を飲むと竜の力が使えるようになる。どんな傷でも時間がたてば回復するし魔法も使えるようになる。お前はもう竜の仲間だ」
「なにが言いたいんだ」
「人間どもに復讐をするのだ。俺とお前は家族を人間に奪われたんだ。やつらを根絶やしに」
「そうだな。人間はこの世界の害虫だ。手始めに王国を滅ぼしに行こう。ダインと母さんの弔い合戦だ」
目には1つも光などなく顔はまるで死人のようだ。
だが俺にはやらなくてはいけない使命がある。
俺は竜の背中に乗り王国へ向かった。
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「……以上のことからベイン王国消滅事件が起こったと推測されます」
議員たちからはざわざわと声がする。あれほどの事件があれば当然だが。
一週間ほど前に世界有数の大国であり最大の軍事国家であるベイン王国が一夜にして滅びていたのだ。
正しく言えばベイン王国があったであろう場所は大きなクレーターができていてまるでもとからそこに王国がなかったかのような様子だったのだ。
調査員によるとその近くで滅びた竜が飛んでいるの見つけたらしい。
生き残った王国民は竜と少年がやってきて突然攻撃を仕掛けてきたという情報もある。
議員の中にはわが国を混乱に陥れるための偽情報だとする声もあるのだが、あまりにも竜を見たという声が多い。そのため竜がせめて来た時のために厳戒態勢で防御を固めるということが決まった。
そして少年については……。
「少年は国家反逆罪、大量殺人をした罪、そして禁忌である竜に接触し世界を恐怖に陥れた罪。すなわち、竜罪として指名手配とする。見つけ次第即刻殺すのだ!」
ここまでお話を読んでいただきありがとうございました。
この話はこれから書こうと思っている長編ファンタジーの前日譚として書いた話になります。
いつになるかわかりませんがその話も楽しみにしていただけると嬉しいです。
初めて書いた作品のため文章力が足りない部分が多々あったと思います。次の話までにしっかりと勉強をして少しでも読みやすくできるようにしようと思います。
本当にありがとうございました。