表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢です。ヒロインがチート過ぎて嫌がらせができません!  作者: 一番星キラリ@受賞作続刊発売決定:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/49

21話:後夜祭

 エール学園祭最終日。


 パン食い競争は、ジャムパンと一位の景品もすべてなくなり、盛況のうちに終えることになった。片づけが終わると、後夜祭が行われることになり、グラウンドに集合だ。


 グラウンドの中央にはキャンプファイヤーのための、薪が積み上げられている。洋弓部アーチェリーの生徒が火入れを行う。


 炎が燃え盛ると、いよいよ後夜祭がスタート。


 学園祭実行委員によるパレードが登場する。


 そのパレードはまるでミュージカルのよう。

 紙で作った巨大なエレファント、エキゾチックな衣装をまとった令嬢や令息、舞い散る花びら。テーマはアラビアンナイトで、魔人も登場した。


 パレードでは、踊りながら籠に持つ造花を配ってくれる。造花を受け取った令息は、令嬢へプレゼントすることが、この学園祭の習わし。贈る相手は友達だろうと、恋人であろうと、片想いの相手だろうと、そこは自由だった。


 それでも婚約者がいれば。婚約者に贈ることが一般的。だがジャレッドは当たり前のように、アナへ贈っている。そしてゲームではこの場面で、悪役令嬢エマが、自身の婚約者=ジャレッドに文句を言うシーンでもある。そして無理矢理、エマはアナから奪うのだ。ジャレッドからアナが受け取った造花の花を。


「なぜ、婚約者である私にくれないのかしら?」と。


 というわけでセシリオとヴェルナーとパレードを眺めていたが、シナリオの強制力で体が動き出す。


 つまりジャレッドに文句を言いに行こうとしている……!


 既にアナは、ジャレッドから造花を受け取っていた。そして近づく私に気づいたアナが、こちらを見る。


「なぜ、婚や」「キャンデル伯爵令嬢!」


 まさにゲームのセリフを言おうとしたら、アナが私の方へ駆け寄るのでビックリしてしまう。


「このお花。キャンデル伯爵令嬢と同じ、アメシスト色をしているんです。よってこれは、キャンデル伯爵令嬢の髪に飾るといいと思います。どうぞ」


「あ、え、あ……ありがとうございます」


 アナはニコリと笑うと、私の髪にその造花を飾ってくれた。

 そしてすぐジャレッドの所へ戻る。

 ジャレッドは不機嫌そうな顔で私を睨んだが、アナに声をかけられ、すぐに表情が緩む。


「まさかレディに先を越されるとは。キャンデル伯爵令嬢、遅ればせながら、お花をどうぞ」


 ヴェルナーはそう言うと、造花を私の制服のブレザーの胸ポケットに飾ってくれる。


「ありがとうございます、ホルス第二皇子殿下!」


「僕もプレゼントしていいかな?」


 セシリオはそう言うと私の右手をとる。そして中指に指輪のように造花を飾ってくれたのだ!


 そこで後夜祭のクライマックス、打ち上げ花火が上がる。

 皆の視線、関心が花火に向かったその時。


「なぜ君には婚約者がいるのだろう」


 一瞬、空耳かと思い、それでも確認を込め、セシリオを見る。

 彼は造花の指輪を飾ってくれた私の右手を取り、甲へとキスをしていた。


 その言動に、胸がドキドキしている。


 だが私の手を離し、碧眼を細め、笑顔を見せたセシリオは――。


 何事もなかったように打ち上げ花火を眺める。


 そこで社交辞令なのだろと気が付く。

 何を、期待してしまったのだろうか、私は。


 オーケストラ部の演奏にあわせ、花火が激しく夜空で明滅していた。


 ◇


 学園祭が終わると、束の間の穏やかな時間が流れる。


 新学期開始と共に、体育祭、課外授業、学園祭があったが、ここでイベントがひと段落となった。だが、それは嵐の前の静けさ。ホリデーシーズン開始前に、前期テストが待っている。


 前世の三学期制と違い、テスト範囲が広い。いきなり期末テストのように科目も多いのだ。前期テスト三週間前からテスト勉強をスタートさせ、そこからはもう、あっという間で時が流れていく。


 その間、ゲームのイベントもないので、ひたすら勉強・勉強・勉強の日々だった。


 課外活動もテスト二週間前から自粛される。一週間前となると完全に休みだ。


 そうなると放課後の教室や図書館で、勉強をする生徒が増える。


 ジャレッドはアナと、教室で勉強をしていた。

 堂々と二人で。


「アナ、分からないところがあれば、遠慮なく聞くといい」

「ありがとうございます、イートン令息」


 頭脳派のジャレッドとしては、本領発揮だろう。

 もはや私が婚約者であることを……忘れている人も多いだろう。

 婚約しているのはジャレッドとアナだった。

 そんな風に思う人もいそうだ。


 一方の私は、そんな二人とわざわざ同じ空間で勉強をする必要もないので、図書館へ行ったり、自習室へ行ったりしていた。そうするとかなりの確率で、セシリオとヴェルナーに声をかけられる。


「あ、キャンデル伯爵令嬢! 良かったら一緒に勉強しよう」


「キャンデル伯爵令嬢、ここ、席、空いていますよ。一緒にどうですか?」


 二人は一緒に勉強をしているようで、私を見かけると、こんな風に声をかけてくれた。


 こうして私は三人で勉強をしていたが。


 セシリオとヴェルナーは共に頭脳明晰。

 学業全般ができるのだが、セシリオは文系の学問が得意で、ヴェルナーは理系の学問が得意。おかげで分からない問題があると、それぞれが得意分野に合わせ、小声で指導をしてくれる。


「十万の軍と三万の軍での激戦。エール王国は圧倒的に不利と思われたこの戦いに勝利している。そのカギが、一羽のカササギだったと言われているんだ。だから『カササギの戦い』という名前がついたんだよ」


「これはマランゴニ対流を応用しています。表面張力の温度差により、この流れは発生しますからね」


 つまり優秀な家庭教師が二人もついてくれる状態で、勉強は大いにはかどった。


 そして迎えた初めての前期テスト。


 赤点はなく、追試もなかった。

 これはセシリオとヴェルナーのおかげとしか言いようがない。


「明日からホリデーシーズンか。しばらく会えなくなるね。ホルス第二皇子殿下も、母国へ戻るのだろう?」


「そうですね。ホリデーシーズンは家族と過ごすのが基本ですし、公的行事も多いので」


「ああ、そうだよね。僕も同じ。カウントダウン舞踏会にニューイヤー舞踏会。新年のあいさつ行事……。地方領の貴族も挨拶のために王都へ来なきゃならないし、この時期は大変だよね」


 終業式のため、入学式が行われたホールへ向かうセシリオとヴェルナーは、王族・皇族ならではの忙しさを口にしているが、本当に彼らは多忙になる。一方の私は、まだ社交界デビュー前。よってカウントダウン舞踏会、ニューイヤー舞踏会も、両親は出席するが、私の出席はなし。


 セシリオに関しては、社交界デビューうんぬんに関係なく、王族として行事に顔を出す。ただし未成年なので、冒頭に顔を出すだけで、すぐにはけるはずだ。それでもきちんと着飾り、その場に臨むのだから、神経を使うはず。


 ちなみに私の社交界デビューは、年が明けてバカンスシーズンに入った時の舞踏会だ。


 そしてこの社交界デビューとなる舞踏会で、私はジャレッドから婚約破棄と断罪をされる。それがゲームでのシナリオの流れ。


 つまりその時は、確実に迫っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●新作スタート!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄の悪役令嬢は全力ざまぁで断罪回避に成功!のはずが……まだ終わらないなんて聞いていません!
『婚約破棄の悪役令嬢は全力ざまぁで断罪回避に成功!のはずが……まだ終わらないなんて聞いていません!』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ