表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/110

魂ごと木っ端微塵に砕いてくれる……!

「ふ、ふふふふふふふふ……」

 それまで痛みに絶叫していた“神”が笑い出した。リリムとルーヴェンディウスが警戒度を上げる。


「もう許さないぞ。転生すら不可能なほどに、魂ごと木っ端微塵に砕いてくれる……!」


 “神”の背から溢れ出ている靄の量が増えた。鉄砲水のように溢れ出る勢いで、周囲を黒く染めていく。


「ルーヴェンディウスさま、あれを見てください!」

 リリムが“神”を指さした。


 動きを止めた“神”。しかしその丸まった背だけがぴくりと動いたのが見えた。

 やがてそれは左右に裂け、裂け目からはこれまでと比較にならない量で靄が飛び出していく。


「な、何が起こっているのじゃ……?」

「ルーヴェンディウスさま、念のためにデルフィニウムさんの保護を」

 デルフィニウムは無数のお守りによって守られているが、万一の場合にはルーヴェンディウスがデルフィニウムを保護することがあらかじめ打ち合わせられていた。


「しかしそうなると、ヤツへの対応はリリムたんだけになるが、大丈夫か?」

 ルーヴェンディウスの指摘にリリムは今もうずくまり靄を放出し続ける“神”を見た。


「なんとかするしかありません。この作戦の『要』はデルフィニウムさんです。何が何でも守らなければ鳴りません。“神”が何をし始めるのか未知数の部分がありますが、そもそも“神”の力は相当衰えているはずです」


「希望的観測にすぎんが、致し方あるまいか……」

 デルフィニウムの存在はこの戦いの核だ。彼女を放置するという選択肢はあり得ない。


「リリムさん、無理しないで欲しいの」

「ありがとうございます、デルフィニウムさん」


 そうしている間に“神”の側に変化が生じてきた。

「あれを見てなの……!」


 デルフィニウムが指さした先には“神”の発した靄があった。いつしか、“神”を中心に渦を巻くように対流していた靄が、その中心部からまるで触手を伸ばすように靄が伸びていき、『カテドラル』の屋上に取り付いた。


「何をするつもりじゃ……?」

 三人が身構える。

 その警戒をよそに、靄は次々屋上の床に取り付いていき、そして……。


「うわっ……!」

 突然『カテドラル』が揺れた。リリムやルーヴェンディウスが全力で攻撃をしても一切揺らがなかった『カテドラル』が揺れたのだ。


「靄が……!」

 最初に気づいたのはデルフィニウムだった。


 中心部から伸びた触手状の靄がいっせいに中心部に戻りつつあった。取り付いていた『カテドラル』の天井構造物をもぎ取って。


 まるで地面に落ちている石を拾い上げてポケットに入れるような気安さで靄は次々と『カテドラル』の天井構造物を取り込んでいく。


「な、何が起こっているのじゃ……」

 ルーヴェンディウスの驚きをよそに、靄は建材を取り込んで大きくなっていく。

 そうしていく間にも靄からは次々触手が伸びていき、屋上構造物を取り込んでいった。


 そして、唐突に靄が弾け飛んだ。

 中から現れたものは――


「な、なんなのあれは……!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ