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それがどうした?

「“神”の楽しみのために、“神”の歓心を得るためだけに殺したのであれば、それは家族の仇。決して許すわけには行きません。私が、私の手で家族の仇を討ちます!」


「よく言った!」

 やや興奮した様子でルーヴェンディウスが言った。


「その怒りは正当なものじゃ。思う存分仇討ちを晴らすが良い。我らは先に行き、役割を果たしてこよう。のぉ、リリムたん?」


 リリムの瞳にも力が入っていた。

「ええ。大切な人たちの仇を討つことは残された者の勤め。それは正義となりえます」


「メリアさん。他の誰でもない、メリアさんのために戦うの」

 デルフィニウムも賛同した。


 メリアは頷き、「ありがとうございます」と笑みをみせた。


「ブヘーッヘッヘ! 愚かな下等生物どもめ。この俺が黙って貴様らを神の元まで行かせると思うか? 上のフロアに通じる出口は俺達を倒さんと開かぬようになっている!」


「それがどうした?」

「何……?」

 ルーヴェンディウスがにやりと笑った。そして幼女らしい小さな手を頭上に掲げた。


「弾け飛べ……局所破壊ディストロゲア!」


 小さな破壊音とともにルーヴェンディウスの頭上で爆発が起こった。コロシアム形状となっている高い天井に爆発とともに黒い煙が現れ、そこからぱらぱらと破片が落ちてきている。


 少しして煙が晴れると、そこには人ひとり入れるほどの穴がぽっかりと空いていた。

「出口なぞいくらでも作れば良いわ!」


「それでは、わたしたちは先に行かせていただきます。ご武運を、メリアさん」

「……感謝します。魔王リリム!」

 デルフィニウムをかついだリリムがふわりと浮かび上がり、その穴から上に出ようとした。


「おのれ、神のおわす場所に傷を付けるとは……! 行かせるな! やれ! 神に歯向かう者は皆殺しだ!」

 教皇が命じると、周囲のセラフィムたちが一斉にリリムに向けて飛びかかった。


 しかし、異形の怪物(セラフィム)は四体ともそのはるか手前でたたき落とされた。塔全体が揺れるほどの衝撃が巻き起こる。

 教皇の前に立つメリアの隣に小さな影が並んだ。


「フェンさん……」

「こいつらはぼくがやる。メリアはカタキに集中すればいい」


 そう言ってファイティングポーズを取る狼少女の頼もしさに、メリアは背中を預けてもよいと思った。


「はい、お任せします!」「まかされた」

 それを合図にメリアとフェンは同時に、しかし逆方向に跳んだ。


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