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『魔王復活』の報を無条件に信じられん奴にこの計画が務まるとでも?

「では、リリムたんがするはずだった役割も含めてわしがやるとするかの。少々――いやかなりの強行軍になろうが」


 ため息をつきながらそう言ったルーヴェンディウスに、リリムが済まなそうな目を向けた。

「申し訳ありません、ルーヴェンディウスさま」


「なに。戦力の底上げは必要じゃ。これも作戦の成功率を上げる大切な役割だとわかっておるよ」


「少々お待ち下さい。わたしがふみを書きましょう。勇者イリス。書く物はありますか?」

「あ? あぁ……。倉庫にあったかな。ちょっと見てくる」

 そう言って小屋の裏手に出て行こうとしたイリスをルーヴェンディウスが引き留めた。


「いや、結構じゃ」

「…………?」


「『魔王復活』の報を無条件に信じられん奴にこの計画が務まるとでも? これの使用許可をくれるだけで良い」

 そう言って懐の中からちらりとみせたものにリリムは「いいでしょう」と頷いた。


「それじゃ、いくか。ルーヴェンディウス」

「そうじゃの。外のことは我らに任せ、リリムたんはメリアたんをビシバシ鍛えてくれ」


「お任せ下さい」

 見た目八歳の吸血鬼と見た目十七歳の魔王は固く握手をしてそれぞれの仕事に取りかかろうとした。


「あ、あの……」

「どうしたメリアたん……?」

 不安そうに声をかけたメリアにルーヴェンディウスは怪訝だ。


「その『メリアたん』というのは……?」

 その問いにリリムは諦めたような顔をして、イリスは困ったように笑っていた。


 フェンが小屋の外から「早く特訓する」という声だけが聞こえてくるほかは、メリアの問いに答える者はいなかった。




「それじゃ、行ってくる」

 島に残る三人――リリム、フェン、メリア――が出立する二人――イリス、ルーヴェンディウス――を出迎えている。


 メリアが一歩前に出てイリスの正面に立つ。

「勇者さま、大丈夫ですか? 着替えは持ちましたか? 歯磨きセットは? ちゃんと食べてくださいね。勇者さまは夢中になるとすぐ食事のことを忘れて――」


「だあーっ! お前はオレの母ちゃんか!?」

「でも勇者さまのことが心配で……」


「まあ、その気持ちはわからんではないの。勇者イリス(こやつ)と来たら見るからに情けなさそうじゃからの」

「お前に言われたくねー!」


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