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9 両親

今度はイニsideです!


ーー死ぬな


やけに美しい声が、私の奥底に入り込んでくる


その声がある場所へ行く私を引き留める


綺麗で懐かしい様な


前にも行ったことがあるその場所


そこに早く行きたくて仕方がなくて


私は何もない場所で手を伸ばす


けれどそれを止めるのは


美しい少年の様な声


ーー生きてくれ


「死なせてよ!」


私は叫ぶ


叫んだはずだった


けれどそれは言葉にならなくて


虚しい


何も無い


何も出来ない


死なせてもくれなくて


幸せもくれなくて


あぁ


“ わたし ”は何なのだろう


***


ーー目に入ったのは闇。


その闇の中に手を伸ばすけれど、体はピクリとも動いてくれなかった。


闇に慣れてきた目であたりを見回すと、どうやらやけに豪華なベッドの上に寝かせられている様であった。


天蓋。そう、成金ではなく、少し質素だけど、やはり豪華で質の良い天蓋が目に入った。そしてピクッと、手に力が入ったその時に、触った布は、かなり肌触りが良かった。

(あぁ、死んだのか。こんな豪華な所に寝られるなんて、あの世としか考えられねぇ。)


少しずつ思い出してきた。私は…そうだ。金庫に閉じ込められて、そこから意識が朦朧としてきて、死にたくなったけど、死んでやるのは悔しくて、どうにかして困らせてやろうと思って、日記を書いて、その後は覚えていないけれど…


生きて居られる訳がない。

なら死んだのだろう。死んでからもこんな夢を見せる神様というものはなんて非情なのだろう。


最期くらいとか言う情けが、どんだけ惨めで、残酷かを分かって居ないのだ。淡く叶わぬ夢を見させ、それが一瞬として消え去る恐怖を、皆は分からない。


眼球のみを動かして辺りを観察してみると、私の体には何やら管が繋がれている事に気付いた。その管の先は、液体の入った袋の様なものに繋がれている。

(死んでは、ない?…人体実験?)


私の頭はいよいよ冷静になって来た。


そして改めて考えて見ると、一つの事実に思い当たる。

私は、あの地獄から生き残ってしまったのだ。

私はとうに疲れた。死ぬ事よりも、まだ生きなきゃならないと言う事の方が、ずっと恐怖だった。

(偽善…)


そんな言葉が私の中に浮かぶ。私は偽善が、好きでも嫌いでもなかった。実際私もやった事があるから、棚上げだったのだろう。


けれど今だけは、その偽善を死ぬほど憎んだ。

(勧善懲悪…ハハッ。何が正義で、何が悪か、誰が判断するって言うんだ。誰がわかるって言うんだ。)


ヒーローが助けてくれる。

どれを指して『助かる』と言うのか。

誰が悪人なのか。

私はヒーローが必ず正義だとは思わない。


何もしてくれなかった偉人も、私を殺そうとしたババァや、ぶん殴った奴とそう変わらない。


偽善者は助けてくれる、その時だけ。助けられた方がその後どうなるかなど全く考えもせずに。

自己満に助ける、死にたかったかも知れないのに。それはヒーローの預かり知らない所。


そのお陰で、幸せになる者も居ると思うし、助ける時に一々「助けて欲しいか?」などとは聞かないのも分かる。でもそう言う奴は、生きるって事の地獄や、死ぬ事での救いを分かっていないのだ。


選べたのは、いつ死ぬかって事だけなのに。

「生きろ!死ぬな!まだ未来は明るい!」

などと言った、私には眩しすぎる正論と言う名の『毒』で私の心を抉る。


だって死ぬって言うのは、消えるっていうのは、いつだってそう言う意味だったから。


居なくても良い存在。


勝手に消えて、あぁ死んだんだと、認識してくれたら良い方で。大体は、死んだ事すら気付かれないって言うのに。


ーーなら、いつ死んだって自由って事だろ?


なのに、多くの平民や貴族は、新聞なんかで可哀想な人を載せて、それに心を痛める『優しい自分』に酔っている。心配してあげる自分は何て心が綺麗なんだろうって。

(なんてバカバカしい。)


私を助けやがったこの貴族も、きっとそう言う偽善者か、人体実験をしてる奴に違いない。こんな豪華な部屋、貴族以外にはあり得ない。

(死なせてくれよ。そっちの方がずっと優しい。)


ーーなんで泣けない。なんで声が出ない。なんでっ、動かないんだ。


また繰り返す。

あの閉じ込められて居た時の様な、苦しくて、寂しくて、希望など何もなくて、でも思考だけは止めることが出来ない、そんな時間を。


私は貴族が嫌いだ。


お金を持ってるとか、偉そうとか、そう言う意味じゃない。だってそれは、その人が手に入れたものだから。私には立てない場所、その事実がある限り、それに嫉妬は生まれない。


私が嫌いなのは、勝手に人の幸せを決めつける所。


私を哀れんだ目で見る。そしてアイツらは、勝手に私の幸せを語るのだ。

「金持ちと結婚できると良いね。」だとか、

「医者になると良い」とか、

「親が居なくて可哀想」とか、

「黒髪とか不憫だね。」とか、

「スラムに住んでるとか、地獄だわ。」だとか。

勝手に憶測でズケズケと零しやがる。


私は確かに、黒髪で、金が無くて、親が居なくて、スラムに住んでいるけど、自分が可哀想だとは思わない。


幸せでは無いし、むしろ不幸だったかもしれないけれど、それを他人に決め付けられるのだけは、私のプライドが許さなかったのだ。


他人を見下すお前らの方が、私よりも幸せだって言うのか?

身分の高い奴らに媚びへつらうのが、お前らの言う幸せって事なのか?

なっがいテーブルで、豪華な食事をする事。

ただのコインの様に金を使う事。

それらのどれが幸せって事なのか、

私には理解出来ない。


私は現時点では幸せでない。他人も信じないし、未来も何も信じなかった。


自分しか信じなくて、信じられなくて、ただ幸せになってやると言う野心だけで生きて来た。


どんな事でも私の未来の為だと思えば、頑張れた、乗り越えられた。


ただ幸せになりたかったのだ。人が言う幸せなど要らない。ただ、自分が幸せだなって思える時間が、今よりも、もーっと増えれば良いとだけは思った。


それが幸せって事だと、幼いながらに思ったから。


貴族全てがそうな訳じゃない事は知っていたし、平民でもそう言われた事もある。だけど、私が知っている貴族は皆そうだった。


私を雇う貴族は、必ずと言って良いほど私に「ここで働くなら、綺麗な洋服も、お金も、なんでも手に入るんだよ?」と息を切らしながら私に詰め寄ってきた。8歳の私に、だ。


それにある貴族は、私達スラムの人間の目の前に銀貨をバラバラと撒き散らかして、それを必死に集めてる人間を嘲笑って楽しんでいた。

私は絶対にその金に手をつけなかった。


貴族は見下している。そして、優越感に浸って、何が幸せかを他人に押し付ける。そして自分もそれに縛られるのだ。毎日、貴族じゃなくなる未来に怯えて。


そっちの方が『可哀想』だ。


だから貴族は嫌いだ。私の幸せは、私自身が決める。それだけは、私の自由だ。何も無い私が唯一持っているもの。それだけは譲れなかった、譲る気など無かった。


闇を見つめると、つい色んなことを考えてしまう。けれど今回は、敢えてそうしたのだ。現実逃避がしたかった、見なかったことにしたかった。


その理由はーー

私の手を握って寝ている人間がいる事。

(誰だよコイツ。)


影しか見えなくて、そいつが何なのか全く分からなくて。

貴族なんだろうとは思うけど、この人間は祈る様に、大切なものを扱う様に、私の手を握るのだ。


こんな扱いをしてくれる人など1人も思いつかない。だから私は戸惑った。そして、同時に恐怖した。

(あぁ、人間を信じられないんだ。自分に向けられる好意が不気味なんだ。)


窓から明るい光が入ってきた。それは綺麗なんだろうけれど…ひたすらに眩しかった。比喩的な、心理的な意味ではなく、物理的に眩し過ぎた。


私は唯一動く瞼を、思いっきり瞑った。灰になるヴァンパイアの気持ちがわかった様な気がした。マジで、溶けるというより、消滅しそう。


「ん、」


隣から吐息が聞こえた。でも目覚めたわけではなさそうだ。モゾッと動いたきり、酷く可愛らしい寝息を立てている。

(んー、子供?…誰か全く思い当たらない。)


そして暫く経った。やっと朝日の明るさに目も慣れて1人でまた思考に耽っていると、突然ドタドタ歩く音が聞こえた。


バタン

とうとう扉が開く音がした。


私は咄嗟に目を瞑り、そしてふて寝をした。

(あぁ、何やってんだよ、自分!)


足音を聞くに、3人程だろうか。その音で隣で寝てた人間も目を覚ました様だった。


「イニは…まだ目覚めないか。」


その声を聞いた私は思わず、ピクッと動いてしまったけれど、その動揺を急いで隠した。

(この声は…タイラー?)


「今、ピクッ動いた気が…。早く目を覚ましてくれ。イニ。」


その声は喜びを含んでいた。つまり、私が回復に向かってくれて嬉しいと思ってくれている様だった。貴族の知り合い居たな、そう言えば。


だけどコイツは…私を騙した奴だ。

信じるものか。


「殿下、少し診察しても良いじゃろうか?」

(殿下…?って何だ。)


「あぁ構わない。」


そう言って先程の温かな手とは違う、少し冷たい手が私の手首に触れる。そして顔や、何かの道具が体に触れて『診察』と言うものをしてる様だった。


「問題は無いじゃろうが、後は目を覚まして、ご飯を食べたり運動をしてくれんと、危険じゃな。点滴で命を伸ばす事は出来るじゃろうが…」


私はその声を聞いて、おぼろげに理解する。つまり、このまま動かなければ死ぬと言う事だ。それも良いかもしれないと思った。


生きててもアテがあるわけじゃないし、親権もどこに移ったか分からない。でもやはり1番は、疲れてしまったのだ。希望のない、不平等な世の中に。


「そんなっ!何とかしてくださいっ!先生、娘を助けて下さい!」

(…娘?)


「こればかりは…私ではどうにもならんのじゃ。」


「そんなっ!」


「ミリアーナ、大丈夫だ。俺たちの子なんだ、彼女は強い、そうだろ?」


「あなたっ!」


ーーやめろ。

私に親などいない。欲しくもない。今更勝手に親だとほざくな。私が強い?どの口が言っている、私の何が分かるんだ!


元々助けて欲しかったわけではないが、『今更』と言う言葉が頭にこびりついて、離れない。私は1人で生きてきたんだ。だからこれからも、死ねないなら1人で生きていく。


これ以上誰かに振り回されるのはこりごりだった。


「イニが寝てるんだ、静かにしてくれ。と言うか、騒ぐなら出て行ってくれ。それはここで無くても良いだろう。それに…娘と言ってる割にはここに余り足を運ばないし、触れもしない。4日も立ってるのにだ。」


綺麗な声が、室内を静寂にする。

(うわぁ、それはヤバイだろ。事情分かんねーけど、明らかに地雷だって。)


私は他人事にそう思った。暫く沈黙が続いたが、ようやく覚醒した、私の両親だと名乗る者が遂に口を開いた。


「だっ、だって忙しいし…それに…」


「何だ?」


私は次に出る言葉などとうに分かっていた。けれどタイラーは本当に分かっていないんだろうなと予想がついた。けれど彼はやっぱり不憫だと感じた。

(うわぁ、嫌われ易い訳だ。抉ってくるな、天然で。)


「それに…不気味じゃない!汚いし!」


「ミリアーナ、流石にそれは…」


だから嫌いなんだ、貴族は。

でも傷付いたりはしない。知っていたから。


貴族は、何処まで行っても貴族なんだ。実の娘だろうが、何だろうが貴族は貴族として生きてるのだ。それは変わらないし、変えられない。

(娘とか、信じちゃ居ないけどな。)


「不気味…?綺麗だと思うが。まぁ汚いのは当然だな、洗えないのだから。まぁ、不気味なら無理してここにいる必要は無いな。」


他意はないのかもしれないけど、遠回しに「出て行け!」って言ってると捉えられる事だけは、私にも理解できた。


「診察も終わった事じゃし、ワシは帰るとするかのぉ。」


居た堪れない年配の医者は、上手い口実で、出て行くことに決めたようだった。


「…殿下でも、それは言ってはいけない事だと思います。」


男の方が口を開いた。

けれどタイラーはもっと上だった。


「何故だ。娘を不気味だと感じるなら、そう思わない時に会えば良いだろう。今で無くても良いはずだし、何よりもイニに失礼だ。」


経験上…正論ほど辛いものはない。私の悪口を言ったこの自称両親を、少し不憫に思う程度には、可哀想な状況であった。


「でも、私は言って居ない。」


「そうだな。好きにすれば良いと思う。だが、負い目を感じての行動なら、それは優しさとは呼ばないのではないか?」


見て居られない。何だこの居た堪れなさ。

よし、医者を恨もう。私も一緒に連れてけよ、このヤロー。


「クッ、行こうミリアーナ。」


「何だったんだ?」


美しい声のタイラーは、全く理解していないようであった。子供ながらの「どうして?なんで?」は割と心にグサァーっと来るものだ。


「こんなに天気が良いのに、イニが起きないなんて勿体無いな。」


私の記憶よりも少しばかり大人びた美しい声が私の耳を通り過ぎる。

(うわぁ、この声やっぱり好きだ。裏切られたけど、騙されたけど、この声の為に生きても良いかもしれねぇな。)


「殿下、食事の用意ができました。」

扉側から女性の声が聞こえた。侍女か何かだろう。


「あ、あぁ。今日はここで食べる。」


「畏まりました。こちらに手配致します。」


そして数分が立つと、美味しそうな香りが鼻をくすぐった。声を聞いても我慢したのに、なのに、どうして、体は正直なんだ!


「イニっ!目が覚めたのか。」


私の目はガッツリ開いて居た。そして話せない私は、「そのご飯をよこせ」と目で訴えた。それは必死に。


私の頭はご飯をしか考えて居ない。彼は目に見えて喜んでくれているけれど、まだ彼を恨んでいるけれど、そんな事は今は良い。

(飯を食わせろー!あとで金払うから!)


「あぁ、そうか。精霊ありがとう。ご飯が食べたいのだな。でもこれを君が食べれるか分からないし…医者を呼んで来る。」

(いいから、それをよこせや!)


私は心と目で訴えるけれど、今度は彼に通じなかった。そして医者を呼びに何処かへとかけて行った。いい匂いだけを漂わせて、何て生き地獄なんだ。


多分数分なんだろうけど、酷く長く感じた。医者が肩で息をしてるのが、丁度視界の端に入った。動け無いのだから、余り詳しい事は分からない。


「お粥とか、で、良い、の、じゃぞ。はぁはぁ。」


「そうか。お粥と、果実水などを持ってきてくれ!」

タイラーは背後にいる侍女に声掛けをして、椅子を医者に差し出し、自分の分の水を彼に手渡して居た。


「ふぃ〜、老体にはキツいのじゃ。」


「すまない。嬉しくて。」


「いや、大丈夫じゃ。だけどまだ動かないだろうから、殿下が食べさせにゃあかんぞ。」


「が、頑張る。」


そして更に数分後に、お粥が到着したらしい。そして彼は、やけに丁寧に私の身体をベットごと起こした。ベットはそういう仕様らしいけれど、私の身体が余りに上の方にあったからか、かなりズリ落ちた。


「うわぁ、済まない。」


痛くはなかったから問題は無いが、私よりもタイラーが焦っているようだった。そして漸く口元に、果実水のストローが当てられる。


私は頑張って吸った。だけど、上手く行かない。

(酷い!なんで飲めねぇんだよこのヤロー!)


それを見かねて、彼がスプーンでひと匙ずつ飲ませてくれた。かなり美味しかった。


「美味しいか?良かった。次はお粥だ。」


そう言ってタイラーはさっきと全く同じく、スプーンで少量ずつ食べさせてくれた。生きてて良かったと思えるほどに、それは美味しかった。


「な、何故泣くのだ。イニ…。」


私は泣いているらしい。けれどそんな事は良いから、食べさせる手を止めないでください。お願いしますタイラー様。


「あ、あぁ、分かった。」


何が分かったのか、私には分からないけれど、兎に角ご飯タイムが再開したから満足だった。そして私はあっという間に用意されたそれを食べ終え、また別のを準備してもらって居た。次はうどんらしい。


ふにゃふにゃで、凄く短くて、味が薄かったけれど、とても美味しかった。それも食べ終わったので、次はスープとの事だった。


「イニ嬉しそうだな。」


普段は笑わなそうなタイラーは、私に笑顔を向ける。そして私に食べさせることを苦だとは思って居ないようだった。

(良かった。飽きたとか言われて、飯が食えなくなるのは困るからな。と言うか、この食費払えるだろうか?ま、今は考えねー。)


「ま、まだ食べるのか?」


彼はやっと驚いたようだ。けれどやめる気はないですよ、食べますが何か?私は再度目で訴える。


「食べれる時に食べるのが良いのじゃよ。こんな病人初めてじゃが。」


実は胃がびっくりして居て、最初吐きそうだったのを意地で我慢したのだ。そこからは何故か、大丈夫になって来たと言う不思議。それにしてもナイスだ、医者!


次はお茶漬けらしい。うまうま。


それからも一杯食べて満足した私だったけれど、寝ようとはしなかった。だってまだ安心は出来ないから。


「イニ…これを読んだよ。」


そう言ってタイラーが見せて来たのは、あの金庫で書いた日記だった。けれど何を書いたのかイマイチ思い出せないし、そもそも声が出ない。


「まさか、声が出ないのか?…そうか。無視されてる訳じゃ無かったんだな。なら勝手に話すから、聞き流してくれても構わない。けれど私に謝らせて欲しい。

あの時、王国祭に誘った時、迎えに行けなくてすまなかった。私は、実は…その、王子なんだ!

だから、あの時迎えに行けなくて。だけど代わりの者をやったから、大丈夫だと思って、それでまさか、不審者だと思われるとは考えつかなかった。

その後も探したのだが、君がなかなか見つからなくて、そしたらダイアール家の令嬢だと分かって、それで、書籍を送ったんだ。

そしたらまさか監禁されてるとは思わなくて、だから、今更迎えに来ても、許しては貰えないとは思うが、すまなかった。

でも私は、イニが生きててくれて心から『良かった』とそう思うんだ。だから、辛いのに、辛かったのに、死なないでくれて、ありがとう。また、君と話せる事が、君と居られる事が嬉しくて堪らない。」


私の身体は、また勝手に涙を流した。

私が死んだら気付いてくれる人が、生きて居るだけで無条件に喜んでくれる人が居たのだと気付いたら、それがとても嬉しくて、涙が止まらなかった。


「な、泣くのか。」


そして少し恥ずかしかった。全て私の思い込みだったのだから。でも疑い深い私は、まだ彼を完全には信じられなかった。でもそれでも、今はこの幸せに浸って居たいなと、そう思った。


嘘でも、虚像でも良い。でもこのセリフを、彼の声で紡いでくれた事が、私にとって全てだった。


ーーあぁ、今のセリフ残しておきたかった!

最後、台無しだよ!

本日2回目、お読み頂きありがとうございます!


でも、声フェチには分かるでしょうか?廊下ですれ違ったイケボに思わず振り返り、「あぁ、録音したかった!」と心で泣き叫ぶこの気持ちがっ!


誰にも言えない秘密、聞いてくれてありがとうございます。因みに私が最近すれ違った時は「ナメクジって歯が一万本もあんだぜ!」的な内容でした…どうでも良いですね、黙ります。


勧善懲悪とは、悪を懲らしめるヒーローの物語とでも思って頂ければと。(小言)

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